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相当な利益を見込んでルンルンしながら野菜を突っ込む好美
-333 男のとって大切な事-
好美は未だに収穫したばかりの野菜を次々と冷蔵庫へ入れていた、どれ程容量が大きな業務用の冷蔵庫だとしても必ず限界があると思われるがこの冷蔵庫はそうでもない様だ。
この店を開店した際にどんどんとメニューを増やすつもりだった好美が予め魔力を込めていたので『アイテムボックス』と同様に無限に食材を格納可能となっているらしい、そこはやはり「流石は異世界」と言うべきなのだろうか。
好美「ちょっと、私が考えたアイデアなんだから私を褒めてくれても良いじゃない!!」
ああ・・・、凄い凄い・・・。流石は起業家の好美さんですねぇ・・・(棒読み)。
好美「それ絶対思って無いでしょ、誰だって分かるもん!!」
バレちまったか・・・、別に害がある訳じゃ無いから良いか。話を続けますかね。
客足がパラパラとしていたこの時間帯(炒飯じゃねぇよ)、厨房にはオーナーの突拍子もないアイデアのお陰で頭を抱える者達が約2名。店で試食品を提供すること自体は構わない、ただ今重要としているのは決してそこでは無い。2名にとって重要な論点は「いつ提供するか」、実は現店長が異動する予定の新店の改装が何故か未だに終わってない為に異動自体のメドが立たずにいたので新店長と新副店長を中心としたシフトを組めていないのだった。
デルア「イャン、お兄さんはどう言ってんだよ。旅館内で元から厨房のある場所を改装するだなんてすぐ終わる事じゃ無いのか?いくら何でもかかり過ぎだと思うんだけど。」
イャンダ「一応この前兄貴に電話してみたんだけど、ずっと「楽しみにしていてくれ」としか言ってこないんだよ。「楽しみに・・・」って言われてもここと殆ど変わらない厨房になる予定だからどうとも思わないんだよな、ただピューアは異動が決まってから何故か嬉しそうにしているみたいだけどやっぱり新しい場所での生活とかを「楽しみ」にしているのかな・・・。」
現ナイトマネージャーであるニクシー・ピューアの本心に気付いているデルアはイャンダの鈍感さに呆れかけていた、こういった事以外は優秀な奴だと思えるんだが・・・。
デルア「イャン、まだ分からないのか?どうしてピューアちゃんがお前と一緒に仕事をする時に楽しそうに、そして嬉しそうにしている訳を。」
イャンダ「「楽しそうに、そして嬉しそうに」だって?その理由なんて誰にも分かる訳が無いだろ、まさかと思うがデルには分かっているのか?」
2人が共に働く現場を見ていない混沌龍、ただ何となく理由が想像できた様で・・・。
バハラ「イャンダさん・・・、あんたも元々は優秀な将軍さんだったんだろ?なのに女心が分からないってどう言う事なんだい?」
イャンダ「それとこれとは関係無いだろ、それに女心なんて何処で勉強するのさ。」
バハラ「あのね、学校の授業みたいに誰かの手ほどきを受けて学ぶ事じゃ無いんだよ。今度新しい店に動く前にもう1度ピューアちゃんと一緒に働いてみればどうなんだい、これからのあの子はナイトマネージャーじゃなくて副店長になるんだろ?しっかりと相棒の事を分かり合うのも必要な事だと私は思うけどね。」
バハラ「うん・・・、何となくだけど説得力のある言葉だと思わないか?」
イャンダ「それって・・・、龍だからが故の「年の功」って奴か?」
イャンダは自分の無神経な言葉の所為で2人から肘鉄を喰らってしまった。
イャンダ「いてっ・・・!!何すんだよ!!」
デルア「あのな、女性に年齢の話題はタブーだろ。」
バハラ「本当だよ、私の事を「ババァ」だとでも言いたいのかい?あ~あ・・・、これだからこの人は女心って物が分かって無いんだね。」
イャンダ「何なんだよ・・・、それってそんなに大事な事か?」
バハラ「大事だね、これからのあんたの人生とあの子の人生においては下手すりゃ1番大事な事かも知れないよ?少なくとも私はそう思うけどね、デルアさんはどうだい?」
デルア「俺も同感、何となくだがピューアちゃんはお前にとって大事な存在になる気がするぞ?現にピューアちゃんにとってお前の存在が大きい物になっているかも知れないんだからな、ここまで言われても分からないか?」
後頭部を掻きながら未だに悩むイャンダ、こいつが優秀な元竜将軍と今は何となく言いたくない。
バハラ「因みにだけどデルアさん、次ピューアちゃんはいつ出勤するんだい?」
バハラに聞かれたデルアは現時点でのシフト表を確認した。
デルア「えっと・・・、次は明日の夜みたいだな。」
どうなる、ピューアちゃん!!




