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何事も慌ててはいけないと思うんだ・・・、うん
-326 やる気満々なのは分かるが・・・-
自室へと慌てて『瞬間移動』した好美は、急ぎメイクを施して店舗へと戻ってきた。特に知識がある訳でも無いのだがそう言った事は落ち着いて行うべきでは無いかと思ってしまう俺が予想した通り、好美のメイクが少し雑になっていた様なのでバハラによって手直しがなされた様だ。
バハラ「もう何考えてんの、時間はたっぷりあるんだから落ち着きなさいよ。」
好美「ごめんって、早く畑を見てみたくてウズウズしてたの。」
好美の言葉に何かしらの違和感を覚えるバハラ、気の所為だったら良いのだが。
バハラ「何言ってんだい、私のはただの家庭菜園だよ。そこまでハードルを上げられると困るじゃないか、はぁ~・・・。」
メイクの手直しをしながら深くため息を吐く混沌龍、ただ少し楽しそうにしている様にも見える。
好美「な・・・、何?」
バハラ「何も無いから気にしないでおくれ、ただもう1人娘が出来た様で嬉しくなっちゃってね。」
ヌラルの実年齢は2298歳だが人間で言ったら丁度大学生位(だから大学で勉強する事になったと言っても過言では無いのだが)、大学を卒業してから数年後に亡くなってこの世界に転生して来た好美がそのままの姿でずっといるのでバハラがそう思っても仕方が無い。
好美「もう学生じゃないもん、ちゃんと仕事している社会人だもん。」
バハラ「悪かったよ、王城で夜働きながら店を経営しているだなんて凄いじゃないか。あんたみたいなのが私の上司になりだなんて想像も出来なかったんだよ、あんたの為なら何でもするから許しておくれ。」
まずいぞ・・・、好美の顔がニヤついている気がするんだが・・・。
好美「ねぇ、今「何でもする」って言った?」
バハラ「私に出来る限りの事は・・・、だよ?」
好美「言ったね、言ったよね?」
バハラ「何だい、急に態度を変えられると困るじゃないか。」
突然テンションを上げる好美に思わずタジタジになってしまうバハラ、またオーナーの悪い癖が出なければ良いんだが・・・。
好美「いやね、ヌラルも食べてたって言う「アボカドとトマトのサラダ」をうちで出せないかなと思ってさ。」
あら、意外な事を言うもんだな。取り敢えず・・・、悪い想像して・・・、すんません。
バハラ「好美ちゃんが良いなら私は別に構わないけど・・・、本当に良いのかい?ただのサラダだよ?」
好美「良いの、女性目線のヘルシーメニューを増やそうと思っていたから丁度良いんだよ。それより早く・・・、行こうよ!!」
本当の娘の様に駄々をこねる好美、幼少の頃のヌラルはこうだったのだろうか。
バハラ「別に良いけど・・・、いつの間に畑を見に行くって話になったんだい。」
やっぱり違和感があると思った・・・、何でも急に言い出すのは本当良くない癖だよな。
好美「良いじゃん、早く行こうよ~。」
未だにおねだりを続ける好美を見て再び違和感を感じるバハラ、何があったんだろうか。
バハラ「あんたね・・・、いつの間に着替えたんだい。さっきメイクを直した時とは全然違うじゃないか。」
好美「だって畑行くならこっちの方が良いじゃん、動きやすいし汚れても問題無いし。」
何処からどう考えてもスポーツウェアだ、今からジムにでも行くのだろうか。
バハラ「確かに動きやすそうなのは間違いないけど、あんたそんな服着て今から何するつもりだい。」
好美「えっとね・・・、芋掘り?」
バハラ「好美ちゃん、あんた「場違い」って言葉知ってる?」
着替えて来んかい!!




