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あんたらいい加減にせんかい!!
-323 貝塚学園大学料理科の存在意義-
危うく旦那とまた口喧嘩になりかけた結愛は無理矢理『念話』を切って回避しようとしたが、そうは問屋が卸さなかったと言わんばかりに妻の行動を予め予測していた光明はいつも通り無理矢理逃げられてたまるかと今回の『念話』に強めの魔力を込めていた。やはり魔力が強いのと頭が切れる所は「流石はバニティ」と言った所か。
光明(念話)「そういつも上手く行くとは思うなよ、俺だってあれから成長しているんだから今回はちゃんと仕事をして貰うぜ。」
結愛(念話)「だからそれは今夜の晩飯を作るから頼むって言ったじゃねぇか、「一生のお願い」だから頼むよ。」
「一生のお願い」、日本(元の世界)でも誰もが何度も何度も使ったと思われるこの言葉。たまに「あんたの一生、人生はどれ位あるってんだよ」とツッコミを入れたくなる人も少なく無いだろう。
光明(念話)「あのな・・・、いつもそう言うけどお前に料理のイメージが無いんだよ。何が出来るかはっきりと教えてくれや。」
結愛(念話)「えっと・・・、えっと・・・。」
結愛はなかなか答えることが出来なかった、一般的な「焼き魚」や「野菜炒め」は義弘のいない所でよく作ってはいたがこれと言って得意と言える物が無かったのだ。
光明(念話)「答えることが出来ないって事は「図星」って訳だろ?白状しろよ。」
勝利を確信した様子の光明、しかし結愛にも意地というものがあった。これは決して「貝塚財閥代表取締役社長」としてではなく「1人の女」として。
結愛(念話)「待てよ、俺だって頑張ったら何かしらは出来るかも知れないだろ・・・!!」
光明(念話)「「何かしら」って何なんだよ、詳しく言って欲しいんだけど。」
あれ・・・、これはまさかと思うが世に聞く「蛙の子は蛙」って奴か?
結愛「馬鹿か、母ちゃんが料理苦手なのを知ったのはつい最近の事だろうが。それに何も作っていないのにそうとは言い切れないだろ!!」
そうか・・・?お前、この前好美の家で日本酒の肴としてホッケを焼いていなかったか?あれ・・・、それって渚だったかな?まぁ、そんな事今はどうでも良いか。
光明(念話)「そうだよ、渚さんが料理上手なのはこの世界の皆が知っている事だし何より今は結愛の話だろ?」
聞こえてたんかい・・・。やっぱりこの世界じゃ下手な事できねぇな。いやちょっと待て、今は結愛よりヌラルの話だろうがよ。
結愛「流石、偶には役に立つじゃねぇか。(念話)光明、そう言う事だから後頼むわ。」
光明がこの世界の住民としてそれなりに成長したという事は、同様の期間が流れていたので同時に結愛も成長したという事も十分にあり得るのだ、やはりアーク・ワイズマン(リンガルス警部)から直接魔術を学んだネクロマンサーは一味も二味も違う
光明「アイツ・・・、調子のいい奴め・・・。今度覚えてろ・・・!!」
とても夫婦同士の会話とは思えない、でもそこは「十人十色」という事にして話を進めるとしようか。
光明より強めの『魔力阻害』を使用して無理矢理『念話』を切った結愛はヌラルのサポートに戻る事にした、ただお前いつの間に『魔力阻害』を使える様になったんだよ。
結愛「おいおい、俺達には『作成』があるんだぜ?どんな魔術でも一度目で見りゃすぐ出来るようになるもんよ。」
あーあ・・・、1度は言ってみたい台詞だな。羨ましいというか何と言うか・・・、おっと話を進めないと・・・!!
ヌラル「本当に良いのかよ、光明さん大分困っていたっぽいぞ?」
結愛「良いんだよ、今何より大切なのは黒龍族(お前)のサポートなんだからよ?」
なぁ結愛、まさかと思うが貝塚学園の「料理科」って結愛自身の為に設立した訳じゃねぇよな?飽くまでヌラルの様に料理人を目指す学生の為だよな?
結愛「馬鹿な事言うな、俺が個人的な理由で学科設立なんてする訳・・・。」
また図星。




