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暴力以外で莉子が赤江組の下っ端を一掃した方法とは
-315 下らない真相-
確かにあの日、莉子は渚の様に下っ端達を殴って「一掃した」訳では無いが台所で伸びていた事は事実だ。殴る以外の方法で倒してしまう方法なんてあるのだろうか、ただ転生者達と一緒にいたティアマットのヌラルが1番聞きたかったのはそれでは無かった様な・・・。
ヌラル「なぁ・・・、俺はただ結愛の「お袋の味」を知りたかっただけなのにどうしてそんな話になっちゃったんだ?」
結愛「そうだよ、母ちゃん!!ここに来てもらったのは母ちゃんの手料理を作って貰おうと思ってなんだよ!!」
『人化』した混沌龍により娘は自分をここに連れて来た目的を思い出したと察した様だが、莉子はその言葉を聞いて少し抵抗感を覚えていた。
莉子「結愛・・・、母親としてあんたの長年の願いを叶えたいのは山々だけど出来ないんだよ・・・。」
結愛「「出来ない」って・・・、何でだよ・・・。」
その場で顔を蒼白させる母娘、そこまで深刻な理由でもあるのだろうか。
莉子「結愛・・・、私ね・・・。」
少し抵抗しながら自分の事を語り出そうとする莉子の言葉を突如後輩が遮った。
渚「料理が「ド」の付く程下手だったんですよね。」
莉子「あんた・・・、そんな事をよく覚えていたね。」
渚「そりゃあそうですよ、うちの若が説明した通りに何度も何度も作り直しても不思議な位まずい料理が出来上がってましたもん。」
そう、渚達がまだ中学生だったあの日に下っ端達が倒れた理由は莉子が試作した不味い料理を繰り返し食べたからであった。
渚「見た目だけは若の物とさほど変わらなかったはずなのにそこにいた全員が理由を聞きたかった位不味かったんですもん、誰だって覚えていますって。」
因みにこの事は赤江組の組員達内により「黒歴史」として語り継がれていたという。
莉子「だから・・・、何と言うか・・・、ごめんね。今更言うべき事じゃないと思うけど、きっと義弘も料理の出来ない私に愛想を尽かせて追い出したんじゃないかなと思うのさ。」
恥ずかしそうに後頭部を掻いていた莉子は笑いながら語っていたが、義弘が莉子を追い出した理由は全くもってそうでは無い。
結愛「そうか・・・、分かったよ。じゃあもう無理は言わない様にするから義弘の事を口にするのはやめてくれ、思い出すだけでも吐き気がするんだよ。」
まるで胃もたれを起こしたかのように腹を摩る結愛、「最悪の高校時代」の事を思い出して考慮に入れると無理もない。
莉子「悪かったよ、それにしてもあんた達はさっきからずっと露天風呂に入っていたのかい?まだ真昼間だってのに、贅沢なもんだね。」
確かに平日が休みであったり俺や好美の様に夜働いている者でもなければたった今莉子の眼前に広がる光景はおかしいと言えるだろう、夜勤を行っている海斗については貝塚財閥で行われた宴の時に報告を受けていたので納得していたが結愛については別。
莉子「あんたね・・・、今の状況を旦那さんはどう言っているんだい?」
勿論の事だが、結愛の夫兼副社長の光明は納得していない。実際に今も社長室のデスクで山積みにされた書類に追われている真っ最中だ、結愛がゆったりと露天風呂に入っていると知ったらどう言うか・・・。
莉子「いくらあんたが社長だからってやって良い事と悪い事がある事を知らないのかい?分かったらすぐに服を着て仕事に戻りな。」
結愛「母ちゃん・・・、分かったよ・・・。(念話)光明・・・、今日有休にして良い?」
『念話』を受けた旦那の光明は呆れ顔で既に作成した結愛の有給休暇届けを取り出した。
光明(念話)「全く・・・、これで何回目だよ・・・。」
巨大企業・貝塚財閥はこのままでは大丈夫なのか、まぁ俺が知った事では無いが。
え・・・、駄目?




