307
スタミナ料理を作る為に来たのはまさかの・・・
-307 赤江組-
アイスクリームを頬張りながら3人は渚の家へと向かった、その日父は阿久津組との抗争で留守にしていて母は友人と温泉旅行へと向かっていたので家には誰もいなかった様だ。
先輩「ねぇ、私達ここに来て良かったの?」
確かに父親自体は家を空けていたが留守を頼まれていた組員によって家自体に入って良いのかどうかが分からなくなっていた様だ、ただ渚の顔を見た瞬間に見張りをしていた組員達は一斉に頭を下げていた。
組員達「お嬢、お勤めご苦労様で御座います!!」
渚(当時)「学校から帰って来ただけななのにいい加減にしろ、いつになったらその「お嬢」をやめてくれるんだよ。」
組員「何を仰います、我々にとってお嬢はいつまでもお嬢です!!」
渚(当時)「もう・・・、それで「アイツ」は何処だよ。家にいるんだろ?」
渚の言う「アイツ」とは赤江組の若頭の事だった、若頭はかつてより両親から渚の世話係を頼まれていたので渚とは両親より長い付き合いとなっていた。
組員「ご安心ください、若頭ならお手洗いに行っているだけですのですぐにお会いできると思いますよ。」
渚(当時)「言っておくが「・・・だと思う」という言葉は根拠もなく言って良い言葉じゃないんだ、早く玄関前に出て来いって言うんだ。私の友人達を待たせるつもりかい?」
組員「何と、それは大変だ。すぐに若頭を捜して来るのでもう少々だけお待ち下さい」
渚の父親、つまり赤江組の組長から渚の友人は自分の友人と同様だから丁重にもてなす様にと教えられている組員達は少しでも機嫌を損ねてはいけないと必死に若頭を捜していた。
一方その頃、その若頭は毎日の様に悩まされている下痢により化粧室に入り浸っていた。確かおおよそ20分程だった様な・・・、違ったか?
若頭「お・・・、お嬢が帰って来たってか・・・?」
組員「は・・・、はい・・・。恐れ入りますが時計をご確認して頂ければ助かるのですが。」
組員に言われた通り腕時計を確認する若頭、時刻は渚がいつも家に帰って来る17時前を指していた。
若頭「ま・・・、まずい・・・。お嬢を御迎えしなければ・・・!!」
腹の痛みを我慢しながらお手洗いを後にした若頭は急ぎ玄関先へと向かったがそこに渚達はもういなかった、若頭は顔を蒼白させていた。一方その頃・・・。
渚(当時)「おい!!若は何処だ、台所の準備を手伝って貰わないといけないってのに!!」
今にも暴れそうになっている渚を止める為に急いで駆け寄る若頭、息を切らしながら渚に近付いて宥める事に。
若頭「お・・・、お嬢・・・。おかえりなさいませ・・・。すみません、いつもの下痢で厠に籠っておりました。」
渚(当時)「お前な、いつも言っているだろう。お腹の為にちゃんと温かい物を食べる様にと、因みに今日は何を食べていたんだ!!」
若頭「えっと・・・。」
若頭は朝から何を食べていたのかを鮮明に覚えていたが、正直言ってこの空気では言いたくない。
渚(当時)「おい、はっきりと言わんかい!!」
若頭「えっと・・・、朝はご飯に冷や汁とアイスコーヒー。昼は・・・、素麺でした。」
渚(当時)「素麺だと?薬味は何にしていたんだよ。」
若頭「わ・・・、山葵です・・・。」
渚は若頭の返答を聞いて怒らない訳が無かった、「アイスコーヒー」と「山葵」は物凄くまずい。
渚(当時)「お前な、体を冷やす食品ばっかり食ってんじゃねぇよ!!どんだけ心配させるんだってんだ、せめて素麺を食う時は生姜にせんかい!!」
若頭「す・・・、すみません・・・。」
真希子(当時)「あの・・・、お取込み中の所申し訳ないんですけど。」
若頭「あ、そう言えばお嬢のお友達の方々が来られていると。大変失礼致しました。」
先輩「えっと・・・、お台所はどちらでしょうか?」
めっちゃ冷静やん




