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満足した表情で帰路に着く3人・・・、ってそれで良いのか?
-306 女の子ですから-
ゆっくりとフルーツパーラーの限定パフェを堪能した3人は自転車に跨り各々の帰路に着いた・・・、と思われたのだがどう考えても家が反対方向にある先輩が渚と真希子について来ていた。
渚(当時)「せ・・・、先輩!!先輩の家はあっちでしょ、何を考えているんですか!!」
先輩「あれ、忘れちまったの?今夜辺りから「両親がいないから困っている」って。」
先輩の様子から見るとどう考えても「困っている」というより「自由を得ている」と言う言葉の方が合っているように思えて仕方が無い、ただ先程の「相談」を聞いてしまっているのでよく考えてみればそのまま帰る訳にもいかない。
先輩「今夜簡単に作れる物を教えてくれるんじゃ無かったの?ちょっと待ってよ!!」
真希子(当時)「私達、まだ「ハイ」と言った訳じゃ無いじゃないですか!!他を当たって下さいよ!!」
先輩「あんた達が頼りなの、私じゃなくても皆2人の噂を知っているんだからね!!」
これは数日前の話、家庭科の授業の一環として行われた調理実習で本来ならマカロニグラタン1品の予定だったのだが、担当教員の知らぬ間に4品も作っていたと全校生徒に噂が回っていたとの事。
真希子(当時)「あ・・・、あれはグラタンを焼いていた間暇だったからついでに作っただけなんです!!大したことではありません!!」
渚(当時)「それに・・・、同じ班の子に使った道具の洗浄を押し付けたって先生に怒られたんですから特に良い話でもありません!!」
その場から逃げる為の言い訳に聞こえるが2人が言っていた事は真実だった、確かにメインのグラタンが焼ける間に他の料理を沢山作っていたので担当教員も他の生徒と一緒に目を丸くしていたのだが調理道具をひたすら洗っている生徒の姿を目にしたので冷静に考えなおして2人を注意したそうだ。
渚(当時)「作ったのは良いんですけど給食のナポリタンがちょっとしか入らなくなってしまったので良い結果にならなかったんです!!」
真希子(当時)「い・・・、いや・・・、それ私だけじゃ無いの!!あんたはガッツリ食べてたでしょ!!」
話の流れでは2人の自業自得という言葉がピッタリと思われる、ただ渚の「ちょっと」という言葉は真希子が頬張った「専用の器3杯分」でも意味を成すというのだろうか。
先輩「「凄い」の一言しか出ない噂じゃん、お願いだから私の頼みを聞いてよ!!アイス奢るから!!」
2人は飛ばしていた自転車をピタリと止めた、先程フルーツパーラーで限定パフェを食べたというのにまだ入るらしい。やはり女子にとって「デザートは別腹」、敬うべきなのか笑うべきなのか・・・。
真希子(当時)「ダブルでも良いですか!?ダブルでも良いですか!?」
誰が聞いても「図々しい」という言葉がピッタリな要求、奢ってもらうなら少しは遠慮というものを覚えるべきだと思うが・・・。
渚(当時)「真希子!!」
良いぞ、ちゃんと言ってやれ!!
渚(当時)「ダブルにするならコーンじゃなくてカップにしなよ、あんたこの前服にダラダラ付いていたんだから!!」
そっちかい!!と言うか渚もダブルにする気満々じゃねぇか!!完全に奢って貰う気満々じゃねぇか!!
おっと駄目だ・・・、話を進めないと・・・。
ゆっくりと自転車を走らせた3人は近くの店でアイスクリームを楽しんでいた、ただ先輩と真希子はダブルにしていたのに渚だけはトリプルと1番図々しい注文をしていた。
真希子(当時)「渚!!何トリプルにしてんの!!」
渚(当時)「い・・・、いや・・・、つい欲が出ちゃって・・・。」
渚は頭を抱えながら笑っていたが本来の目的を忘れていないだろうか。
先輩「あの・・・、ねぇ・・・、そろそろスタミナ料理の方を・・・。」
そうだよ、本題はそこだろ?
 




