302
やはり女性同士が故に分かり合える事がある様だ
-302 母娘の将来-
ヌラル、結愛、そして好美の3人には種族関係なく共感できることがあった、特に転生者達は自分達の学生時代を思い出して混沌龍の台詞の重さをひしひしと感じていた様だ(と言っても好美に至っては今もそうだろうがよ)。
つい先程発覚した事だが混沌龍であるヌラルは2298歳、人間で言うと丁度大学生位にあたる22歳なのでよく食べるお年頃だから大学への通学やアルバイト先への通勤で時間が掛かり食事及び睡眠の時間に影響が出るのは正直言って避けたい(改めて言う事じゃ無いけどヌラルも女性なのね)。
結愛「だったらよ、ヌラル含めた従業員達に賄いを出すのはどうなんだ?」
この場においては最善のアイデアなのかも知れないが、果たして勝手に決めてしまっても良い事なのだろうか。
好美「やっぱりそれに関しては店主やオーナーになるロラーシュさんかデカルトさん、ましてやシューゴさんに一言相談するべきじゃ無いのかな?」
好美、そうは言っているがお前はどうなんだよ。店の料理を肴に酒を吞みまくっているじゃねぇか、いくらオーナーだからってそういうのはありなのか?
好美「私の店(ビル下店)に関してはそれが店舗として1階部分を格安で貸し出す条件だし、イャンダやデルアの雇用条件でもあるんだからセーフなの。」
しっかりとしている様に聞こえるがそのイャンダが抜けた後、副店長としてデルアと一緒に働く人は見つかったのかよ。
好美「こんな短期間で見つかる訳が無いでしょ、なかなか上手くいかないから悩んでいるんじゃない。」
そうか?ここからだとただただ楽しそうに呑んでいる様にしか見えないぞ?まぁ良いか、好美もやり手の経営者だから大丈夫と信じて話を進めるかね。
ビール片手に悩んでいる(?)好美に救いの一言を放ったのはまさかの人物だった。
ヌラル「好美・・・、だったら俺の母ちゃんなんてどうかな?」
ヌラルは少し言い辛そう様子をしていたが今はどんなアイデアでも嬉しくなってくる好美はもう既に500ml缶のビールを6缶も呑み干した混沌龍に質問した。
と言うかヌラル、酒を呑むの初めてなのに大丈夫なのか?記憶が無くなるほど吞んで後で「俺そんな事言ってたの?!」ってなるのだけはやめてくれよ?
ヌラル「大丈夫だって、今知った事だけど俺酒強いみたいだからさ。」
おいおい、そういう奴に限って弱い事が多いんだよ。まぁ今日はゆっくり楽しんで欲しいからこれ以上は何も言わない事にするかね、それで好美は何を聞こうとしてたんだよ。
好美「あんた、作者の癖に妨害のしすぎなの。ちょっとは自重しなさいって・・・。はぁ・・・、まぁこれ位にして置いて取り敢えずバハラさんは料理が美味かったりするの?」
確かに拉麵屋の副店長をするとなるとホールでの接客を行える事もそうだが、調理場での作業をそつなくこなせる事が要求される。好美が尋ねた事は単純な様に見えてかなり重要な質問であった。
ヌラル「そうだな・・・、迫害を受けていた頃はやはり自給自足の畑で育てた野菜ばかりを食べていたから色々と工夫して作ってくれていたな。野菜炒めは勿論だったけど残りを刻んで中身(餡)にした餃子とか、鶏ガラやアゴでとったスープの湯麺をよく作ってくれていた気がするよ(これも具材は野菜ばっかりだったけど)。」
ヌラルの返答に好美が食らいつかいない訳が無かった、よく考えれば「暴徒の鱗」のメインメニューに「タンメン」が無かったのだ。やはり元々の2店の味を大切にする為にそうしていたと思われるが、野菜のみの餃子もそうだけどよく考えたらヘルシー志向の女性中心にウケそうな気がするので今このチャンスを逃せばマズい、しかしあまり独断で動き過ぎたらまた何言われるか分からないとオーナーとしていち店舗をずっと経営しながらも内心でずっと疑問に思っていたので葛藤している様だ。
1人俯く好美の様子を伺いながら申し訳なさそうに声をかけるヌラル。
ヌラル「えっとさ・・・、好美、どうした?」
好美「今滅茶苦茶欲しい貴重な存在・・・、よし!!ヌラル、お母さんをうちで雇わせて!!」
結愛「好美、良いのか?!無理にお前が雇わなくてもダンラルタに出来る新店のオープニングスタッフとして雇えるかも知れないんだぞ!!」
好美「良いの!!私の店に来てもらいたいの!!絶対バハラさんはうちで雇うの!!」
あ・・・、これはまずいパターンだな・・・




