301
転生者同士の現場は予想外の事が起こりまくる
-301 限度と限界-
もう既に入浴の準備を終えていた渚が突然現れた事により、ヌラルは色んな意味で顔を蒼白させていたが好美からすればこの様な光景は呆れる程に見てきたのでこう言いたくは無いがもう慣れてしまっていたの一言であった。
渚「悪かったって言ってんじゃないか、お願いだから入れておくれよ。」
好美「はぁ~・・・、貴女って人は変わらないですね。お店の為にも風邪を引かれる訳にいきませんから早く入って下さいよ。」
未だ燦燦とした日光が輝く真昼間ではあったが格好が格好だったので風邪を引く確率が限りなく皆無とは言えない、流石の好美でも普段から「鬼」になっている訳では無いので渚を湯船に招き入れた。
結愛「渚さん、良かったら一杯どうですか?」
これは念の為の確認だが、この場においては結愛自身も貰っている側となっているので今の台詞を言うのはおかしいと思われるが時既に遅し。
好美「結愛、あんたもそうだけど仕事中なんだからね?ちゃんとそう言った事分かって呑んでいるの?」
好美自身は別に構わないのだがやはり渚は店主として、ましてや結愛は社長としての責任感が問われる気がするがもう今更な気もする。
結愛「大丈夫だって、会社の方は光明がしっかりやってくれているんだから俺はこうしていても良いの。」
確かに光明が副社長としての責務を果たしている様だが、だからって結愛が何もしなくても良い訳では無い。
渚「私だって大丈夫だって、ロラーシュに屋台を任せているから呑んでも大丈夫なの。」
これも念の為の確認だがあくまでロラーシュは渚の弟子として店主としての修業をしているのであってほったらかしにして良い訳では無い、ましてや酒を呑んでしまっては営業終了後にどうやって屋台をネフェテルサにある家まで移動させるのかが問題となる。
渚「ここは地球じゃ無くて異世界なんだから心配する事ないさね、『瞬間移動』や『転送』に『アイテムボックス』があるんだから方法はいくらでも見つかるよ。」
別に忘れていた訳では無いが、あんたは娘さんと違って能力に頼れるだけ頼りたい派なんだな。「蛙の子は蛙」って一体・・・、まぁ良いか。
渚「何だい、光は私と違うってのかい?」
今言った通りだよ、光さんは能力に頼り過ぎずあまり日本と変わらない生活をしたいそうだぜ。ただそれが立派かどうかは知らんけど。
渚「ふ~ん・・・、別に良いんじゃ無いのかい?私は使える物は何でも使いたい派だからそうさせて貰うよ。」
親子で全くもって違うな、ただ今はそれ所じゃないか。
ヌラル「あの~・・・、お楽しみの所申し訳無いんですけど結局私はどうなるんですか?」
おいおい、酒を吞みながら仕事の話をするのは良いけど黒龍族(ましてや上位種である混沌龍・ティアマット)を蔑ろにしてはいけないだろ?と言うかこの場において人間より混沌龍の方がまともってどう言う事だよ(混沌龍達に失礼か)。
結愛「悪かったよ・・・、お前さん達にはここにいる渚さんが今修業を見ているロラーシュがもうすぐ店主になる新店の従業員になって貰おうと思っていてな。ただお前さん自身は学生になるからあくまで学業優先だが社会勉強と小遣い稼ぎを兼ねたアルバイトにはぴったりだろ?」
好美「結愛、確かに良い考えかも知れないけど学園(バルファイ王国)と新店(ダンラルタ王国)の間を往復するのは流石に大変じゃ無いの?」
確かに両国間はそこまで距離がある訳では無いが、それでも車で片道2時間以上かかるので放課後アルバイトへと向かい帰宅してまた通学するのはいくら何でも無理がある。
結愛「大丈夫だよ、だってこいつは龍だぜ?飛べばすぐだよ。」
ヌラル「結愛・・・、龍の俺でも飯と寝る時間を削られるのはちょっと・・・。」
生物としてというか女性としてというか・・・。




