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俺だって色々とわきまえる人間だぞ
-292 有名な(?)話-
同じ酒飲みとして好美の気持ちが分からないと言えば嘘になるがまだ仕事が残っている者を無理矢理誘う事に関しては抵抗してしまう俺、しかし今は恋人達の気持ちを最優先すべきかと思うので何も言わずにそっとしておこうという意見は強くなっている。
好美「もうすぐ終業時間でしょ、それに最近は早い時間から仕事に行ってたんだからたまには2人の時間を設けてくれても良いじゃん。」
どう言う理由であれ好美には一切関係無い、それが故にただただ淋しさを感じさせてしまった事に罪悪感を抱いていた守は一先ず上司に相談する事に。そう言えば以前にもこんな事があった様な・・・。
守(念話)「あの・・・、店長・・・。」
ケデール(念話)「構わないよ、好美ちゃんと呑んじゃいなよ。」
守(念話)「いや、まだ何も説明して無いじゃないですか。」
ケデールにとってじゃ説明など必要無かった、弱みを握られている本人はハッキリ言って好美に逆らえない。狼男だというのにカッコ悪いというか何と言うか・・・。
ケデール(念話)「言わなくても分かるよ、好美ちゃんが酒宴を断る訳が無いじゃないか。」
この日貝塚財閥本社で酒宴が行われる事は何故か有名な話だった、きっとネルパオン強制収容所での事件が世界中に放映されたが故かと思われるが違うのか?
結愛「いや・・・、祝いの席を設ける事は少人数の予定だったから内密にしていたつもりだったんだけど。」
いや聞いてたのかよ、今の今まで別のテーブルで呑んでいただろうが。
結愛「2人の様子が気になっていただけだよ、母ちゃんは秀斗や美麗と楽しそうにしているから邪魔したら悪いと思ってさ。」
かつて一緒に生活していた甥っ子の存在を改めて懐かしむ莉子を遠くから眺めていた結愛、ただ社長本人にはとある思惑があった。
結愛「母ちゃんか・・・。」
少し寂し気な表情を見せる結愛を気にしていた好美、巨大財閥の社長ともあろう者に似つかわしくない表情を見せる同級生の事が気になって仕方が無かったのだろうか。
好美「結愛、どうかした?」
結愛「い・・・、いや別に気にしなくても良いよ。今はただただ楽しもうじゃねぇか、な?」
何かを誤魔化そうとしている事が何処からどう見ても分かる状況だというのに、演技が下手くそな女性社長。
好美「それなら良いんだけど、何か悩んでいる感じがするのは私だけ?」
結愛「うん、好美だ・・・。」
光明「いや、俺もそう思ってた。お前、ずっとお義母さんの方を見ていたじゃねぇか。」
やはりやっとの思いで再会出来た母親に対して何かしら思う所があってもおかしくは無いはず、その事を旦那も感じ取っていた様だが大臣の店の件はどうなったんだよ。
光明「ああ・・・、それか?それならほら。」
光明が手差しした先で再び渚が1人手酌酒をしていた、ただ通常通り屋台を営業していたとしても早すぎる時間帯な上に多少とは言えどサボっていたという事実は拭えない。
渚「い・・・、いや・・・。今日は本当に客がいなかったんだよ、私なら屋台をぶっ飛ばせばそれなりに早く来れる事位分かるだろ?」
おいおい、修理したばかりの屋台でぶっ飛ばして良いと思ってんのかよ。しかも直したのってクラッチだろ?下手な事をしない方が良いんじゃねぇのか?
渚「大丈夫だって、これを機にスーさんに強化クラッチに変えてもらったから。私のクラッチ操作には純正品だとすぐ壊れちゃうんだって。」
それってあんたが乱暴な運転をしていると自白しているのと一緒だぞ。
渚「えっとですね・・・、あの・・・、すんません・・・。」
認めたな?笑




