表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

284/670

287

娘と初めて交わす酒、落ち着いて吞みたいが?


-287 義理の母と息子、そして実の息子-


 互いに感謝の言葉を述べてから数分後の事だった、他の転生者からすればいつも通りの光景ではあったが不自然さを感じていたのか莉子は周囲をずっと見廻していた。


挿絵(By みてみん)


結愛「母ちゃん、もう酔いが回って来たのかよ。ずっとキョロキョロしてどうしたんだ?」

莉子「いや、ここがこの世界での貝塚財閥本社なんだろ?」

結愛「勿論、紛れもなく貝塚財閥バルファイ王国本社だ。代表取締役社長の俺が言うんだ、間違いねぇ。」

莉子「そうかい、だったら良いんだけどね・・・。」


 折角の酒宴の席だと言うのに1人ため息をつく莉子、あまり楽しく無いのだろうか。

 そんな中、デカルト達と会話を楽しみながら結愛達の様子を見ていた光明が2人に近付いて来た。


光明「なぁ結愛、さっきから一緒にいるこの人は誰なんだ?確か前で挨拶していたみたいだから「貝塚」の人間だとは思うんだけど・・・。」


 結愛が知っていて自分が知らない人物がいるなんて、まさか結愛には内緒にしている事があるというのだろうかと隣の人物を怪しむ光明。


結愛「あ、あのさ・・・。そんな目で見ないでやってくれるか?俺が紹介するのが遅かっただけなんだよ、決して怪しい人じゃないから安心しろよ。」

光明「お前が言うなら間違いないみたいだけど・・・、分かったよ。それで・・・、この人は?」


 自分の母親に対して光明が疑いの目線を向けていた事に若干の気まずさを覚えていた結愛、しかし真実を伝えなければこの状況は決して変わらない。


結愛「この人さ・・・、俺の母ちゃんなんだよ・・・。」

光明「え?!この人が?!確か元の世界で生き別れになってたって言う?!」


 多少ではあるが結愛から母親について聞いていた光明、しかし日本から遥かに遠い異世界で再会するだなんて守と好美に起こった奇跡的な出来事が再び起きたと言う事実を未だに信じる事が出来ていなかった光明の疑いを晴らしたのもこの男。


秀斗「みつもん・・・、ガチだ。」

光明「俺の事をそうやって呼ぶのは・・・、やっぱりかんちゃんだったか。結愛から話は聞いていたが本当に会えるとはな。」

秀斗「それはそうと、そこにいる莉子さんが結愛の母親だ。俺の母ちゃんのお姉さんだから間違いねぇ、それに俺がガキだった頃に一緒に暮らしていたからな。」


 元の世界にいた頃から信頼している幼馴染の言葉を素直に聞き入れた光明、ただ先程自分が取ってしまった態度が許せなかった様で・・・。


光明「あの・・・、何とお詫びすればいいのか・・・。大変失礼致しました、私は結愛の旦那で貝塚財閥副社長の光明と申します。以後お見知りおきを。」

莉子「何を仰っているんですか、私の事を知らなかったんですから当然の事ですよ。それにしても誠実そうな方で助かりました、貴方だったら安心して結愛を任せる事が出来ます。」


 光明の目をじっと見て「光明という人間」を改めて見定めた莉子は安堵の表情を見せ、娘に小声で話しかけた。


莉子(小声)「結愛、そろそろ限界なんだけど。そろそろ呑んでも良いかい?」

結愛(小声)「勿論良いけどどうしたってんだよ・・・。」


 娘に許可を得た母親は近くにあった瓶ビールを一気に煽った。


莉子「かっはー!!光明君だっけ?堅苦しいのは抜きにして呑みなさい、義理の母親の言う事は聞いた方が身のためだよ?」

光明「あ、はい・・・。分かりました。」


 自分と同じ酒好きと発覚した母親と旦那を会わせる事が出来た結愛の目の前で再び辺りを見廻していた莉子、本当にどうしたと言うのか。


結愛「母ちゃん、さっきからどうしたってんだよ。」

莉子「海斗は?何でここに海斗がいないんだい?」

結愛「兄貴は今日夜勤だよ、ネフェテルサ王国にある拉麵屋にいるんだ。」

莉子「拉麵屋だって?!あの子がかい?!」


 驚きを隠せない莉子、何かを思い出したみたいだがどうしたと言うのか。


調理師免許があるから大丈夫のはずだが?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ