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また結愛に蔑ろにされている光明
-284 意外な活躍者-
結愛が生き別れた(いや「死に別れた」の方が正しいか?)母・莉子との感動的な再会を果たしていた時、光明は少し離れた所で絶対に忘れてはいけない要人の対応に追われていた。ダンラルタ王国軍の者達と共に招待されたダンラルタ国王・デカルトである、とは言っても今回はビジネスではなく折角の酒宴の席なのでかなり緩めの対応となっていた様だが(まぁ、3国の国王は堅苦しいのが苦手なのでいつも緩めなイメージが強いのだが)。
光明「王様、今回は大袈裟な親子喧嘩にお付き合い頂き有難うございます。」
デカルト「何を仰っているんですか、私はただ国民を守るために動いただけですよ。お気になさらないで下さい、それに活躍していたのは私ではなくハイラ所長や結愛さん達じゃないですか。」
光明「そう仰って頂けて助かります、ただ結愛は我武者羅にやっていただけですので勿体ないお言葉ですよ。」
光明、そう言った言葉は結愛本人が言うべきであってお前が言って良い訳じゃ無いんだぞ。まぁ、さっきも言った様に折角の酒宴の席だから今は気にしない事にして話を進めますかね。
光明にはデカルトが強制収容所に到着した時から気になっていた事があった、あの時は大騒動が起こっていたというのにやたらと冷静沈着だった様な・・・。でも1国の王としては冷静に状況判断するのも当然の事かと思っていたがやはりそれなりの理由があるはずだと聞かない訳にはいかなかった様だ。
光明「王様、恐れ入りますが1つお伺いしても宜しいでしょうか。」
デカルト「光明さん、「デカルト」で構いませんよ(と言うより名前で呼んで欲しい)。それとお気軽に何でも聞いて下さい、私で宜しければ可能な限りお答えしますから。」
光明「そういう訳にはいきませんよ、やはり王様に対してはそれなりの礼儀を尽くさないといけないじゃないですか。」
デカルト「当の本人である私が良いと言っているんですから是非、それに堅苦しい事が苦手ですのでフランクに行きましょう。」
異世界の、しかも鳥獣からどうすれば「フランク」と言う言葉が出るのだろうか。やはりこれもビクターの仕業なのかと傍観していただけの俺は少し動揺していたが何でもありの世界だから気にしない方が正解なのかも知れない、どんな事にも冷静に(?)対応している転生者達が何となく凄い人達に見えて来た。この世界での生活が長いからもう何があっても驚かない様になってしまったのかもと言う見解もあり得るがいちいち深く考え込んでいたら話が進まない、取り敢えず再び2人の会話に耳を傾けてみますかね。
デカルト「それにしても光明さん、先程から私に何を聞こうとしていたんです?」
ご丁寧にも国王の方から切り出して貰えるとは、羨ましい限りだと言える光明。
光明「国・・・、いやデカルトさん。実は何となく気になっていたんですが、デカルトさん達が強制収容所に来る前からやたらと状況に詳しくないかと思っていたんです。可能な限りで構いませんのでどうしてなのか教えて頂けませんか?」
きっとハイラ達強制収容所の所員達から逐一連絡が言っていたのが答えの第一候補だと思っていたのだが、国王の口から出た答えは意外な物だった。
デカルト「古い友人の娘さんが私に状況をずっと教えてくれていたんですよ、光明さんもお会いした事があると思いますが改めて紹介させていただきま・・・、ってお待ちなさい!!」
デカルトが目を丸くして呼び止めたのは貝塚財閥の従業員だった。
デカルト「間に合った・・・、それを持って行ってどうするおつもりだったんです?」
従業員①「いや・・・、そろそろ追加の肴を作ろうかと思っていたんですが。」
参加者には酒飲みや大食いの者達も多くいたので料理が足らなくなってきたと判断した従業員達は丁度すぐ傍にあった食材(?)を料理して招待客に振舞おうとしていた様だ、悪気があった訳では無かったがそれが仇となってしまった。
従業員②「バター炒めにしようかと思ったんですがどうされたんです?」
デカルト「バター炒めなんてとんでもない、ほら、君も早く『人化』しなさい。その姿でいるからこうなるんだよ。」
すると従業員の持っていた「食材になりかけていた物(?)」はピクピクと動いた後に『人化』して光明も会った事のある、と言うより関係者である女性の姿になった。
デカルト「レイトちゃん、今は『人化』していないとまずいって言ったじゃないか。」
レイト「しょうがないじゃん、恥ずかしかっただけだもん。光明副社長、お疲れ様です。」
ちゃんと活躍していたんだな、意外




