281
急すぎて困るんですけど
-281 ナイトマネージャーについて・・・、だよな?-
貝塚財閥魔獣保護養護施設長で義弘の実姉である貝塚美玖からの突然の『念話』に驚きを隠せない2人、やはりこの世界では下手な事を考えてはいけない様だ。
美玖(念話)「あんたね、やっぱり私のいない所では「ババァ」って呼んでいた訳かい?最近テレビで見かけて少し見直さなきゃと思っていたのにあんたは相変わらずだね。」
やはりこの世界の住民は貝塚財閥無しでは生きていけない事が多い様で、プライベートまでとは行かないが結愛を中心とした社員たちの活躍はよくテレビのニュース等で放映されているらしい。と言うか結愛、お前って人気者だな、おい。
結愛(念話)「照れんじゃねぇか、褒めても何も出ねぇぞ。」
ハハハ・・・、今回は褒めた事にしておいて話を進めるか。
結愛(念話)「「今回は」って何だよ!!まぁ良いか・・・、それでおば様、今度そちらのナイトマネージャーは誰がされる予定なんです?」
美玖(念話)「何だい、社長の癖に知らないのかい?あんたと親密な人さね。」
少人数で回している店舗の全従業員について好美が把握しきれていないと言うのに大企業の社長である結愛は尚更だ、もし支社も含めた全従業員の顔と名前を記憶しているというなら結愛は相当な化け物と言える。
結愛(念話)「すみません、流石に私1人で全従業員についてを把握するのは至難の業ですよ(支社の事なんていちいち知るかよクソババァ)。」
おいおい、そんな事考えても良いのか?相手は義弘と同じアーク・ワイズマンだぞ?
結愛(念話)「(そうだった・・・)、それで私の親密な人って?」
美玖(念話)「何だい、本当に知らないんだね。こっちの施設については「クソババァ」に押し付けて忘れていても良いって思ってんじゃ無いのかい?」
ほらね、バレてんじゃん。
結愛(念話)「何を仰いますか、信頼している叔母様だからこそお任せしているのではないですか(畜生、何で分かるんだよ)。」
美玖(念話)「ほら、また本心が出てるよ。別に私は弟みたいにうるさくするつもりは無いから楽にしておきな。」
結愛(念話)「ありがとう、叔母様!!」
美玖(念話)「またもう、一先ず「クソババァ」は今度の祝杯で待っているからね?例のナイトマネージャーについてはその時だ。」
結愛(念話)「分かったよ、おばちゃん!!」
美玖(念話)「「おばちゃん」か、「クソババァ」よりましだから良しとするかね。」
『念話』で聞こえて来た「祝杯」と言う言葉に食らいついた好美、流石は酒好き。
好美(念話)「ねぇ、祝杯って何?!」
結愛(念話)「何だよ、テレビ見て無かったのか?」
好美(念話)「何よ、全然検討がつかないじゃない。」
ネフェテルサ王国に帰ってきてすぐにイャンダやデルアに呼び出された好美は全くもってテレビのニュースを見る事が出来ていなかった、店についての大切な話をしている間に何があったのだろうか。
結愛(念話)「実はな、俺達が強制収容所を出てすぐに再発防止の為か義弘の死刑が執行されて事件が解決したって報道されたんだよ。好美にも迷惑を掛けたからな、悪かった。」
確かに好美にとって折角の卒業旅行を潰された原因である義弘には迷惑していた、ただ死刑囚と言えど実の父を亡くした結愛自身の心境が気にならないと言えば嘘になる。
好美(念話)「・・・ねぇ、結愛は今どういう気持ちなの?」
結愛(念話)「そうだな、肩の荷が下りたというか胸のつっかえが取れたというか。何となくスッキリとした気分だな、やっと自由になれた気がするぜ。実はアイツの所為で光明との結婚式や新婚(卒業)旅行が出来ていなかったんだ、この世界にいるか分からないけど思い切って母ちゃんを探してみようと思ってな。」
好美(念話)「お母さん?元の世界にいるんじゃないの?」
結愛(念話)「いやな、俺も人伝に聞いただけなんだが俺の数年前に心労が祟って亡くなっちまったらしいんだ。でも見つかったとして顔も覚えていないからどうしようも出来ないんだけどな。」
好美(念話)「そうか・・・、見つかると良いね・・・。」
じんわり来る話になってきたな




