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後任はどうすんの?責任重大だぞ?
-280 後任と「ババァ」-
ピューアを新店舗へと異動させる事に際してまず初めに最も考えなければならない事を忘れていた好美、正直いち店舗のオーナーとして過去にも様々な決断をして来たと思われるが将来に関わる事なのでしっかりと状況を見つめ直してから発言すべきだと思われたが今はもう後の祭り。一先ずシューゴが足らなくなった時の足しにする為に醤油ダレの仕込みに入ると申し出たので好美は一旦『念話』を切る事に、ただ「暴徒の鱗」全体の人事を任されている者としては後ほど吉報を知らせに連絡してくれると信じたい様だが・・・。
ピューア「好美ちゃん、私は別に構わないんだけどシューゴさんが言った通り私が抜けた後のナイトマネージャーはどうする訳?まさかと思うけどあんたがする訳じゃ無いよね?」
好美「流石に無理だよ、私だって週3だけど王城で夜勤をしているもん。」
ピューア「本当にあんたね・・・、前から聞こうと思っていたけどどれだけ稼ぐつもり?」
転生者特典で得た1京円もまだ十分に残っているはずなのに未だに金銭欲に塗れている好美、何となく怖くなってきたが今はそれ所では無い。
それから数秒程考え込んだ(?)好美はこの世界におけるビジネスの先輩へと相談をしてみる事に、以前から気になっていることがあったのでそれも兼ねてだ。
好美「う~ん・・・、何も思い浮かばないからあの人に聞いてみて良い?」
ピューア「良いけど、「あの人」って?」
好美「ピューアも知っている人だからすぐ分かるはずだよ。(念話)結愛、ちょっと良い?」
結愛(念話)「おーう、別に構わないけどちょっと待ってく・・・、ああああああああ!!」
どうやら結愛が社長室に大量の私物を持ち込んでいた事を見兼ねた光明が率先して大掃除を始めたらしいが、その際に過去数年分を纏めた書類入れの棚が崩れ去り雪崩が起こってしまった様だ。
好美(念話)「大丈夫な訳?ネクロマンサーでも苦戦する事ってあるのね。」
結愛(念話)「俺はガキの頃から掃除が苦手なんだよ、ネクロマンサーとか関係なくな・・・、ってああああああ!!」
今度は光明が結愛の隠れた趣味の1つであるラジコンを捨てようとしたので焦ってしまった様だ、まるでただの子供にしか見えないこいつが本当に社長とは・・・。
数分後、ある程度の片づけを済ませた結愛は改めて好美に『念話』を送る事に。
結愛(念話)「悪い、待たせたな。それで、どうしたってんだよ?」
好美(念話)「実はね・・・。」
ピューアに代わるナイトマネージャーにピッタリの人物はいないかと聞いては見たが、この世界にある貝塚財閥には人材派遣を専門とした支社が無かった。ただ、「ナイト」と聞いた結愛はある人物について思い出していた。
結愛(念話)「そう言えばさ、俺の兄貴がそっちでバイトしているだろ?そろそろ正社員としてもしっかりと働ける人材になって来たと思うんだがどうだ?」
巨大財閥の社長が思い出したのは調理師免許を取得していたシスコンの兄・海斗の事だった、しかし海斗にはもう既に決まった将来があった様な気がする好美。
好美(念話)「イャンやピューアも言ってたけど、確かに調理の腕はピカ一だったし接客の技術も申し分ないみたいだよ。でも確か海斗さんって魔獣保護養育施設でナイトマネージャーをするって話じゃ無かったの?」
最初にバイトの1人として海斗を任された好美はいつかきっと結愛がそろそろ兄を戻して欲しいと言ってくるのではないかと思っていた、しかしこの流れだと話が変わってきているがどう言う事なのだろうか。
結愛(念話)「確かに元々はそうする予定だったんだけどよ、その施設長をやってるババァが「海斗にはまだ外で社会について勉強させるべきなのでは」と言って来てんだ。それにそこのナイトマネージャーになる人物は既に見つけてあるから今度紹介するってよ。」
好美(念話)「結愛、私の方は助かるから別に良いんだけど今言った人って確か身内の人じゃ無かったの?「ババァ」なんて言って大丈夫?」
結愛(念話)「大丈夫だよ、こんな会話聞いてねぇって。」
女性(念話)「誰が「ババァ」だって?!」
好美(念話)「だ・・・、誰?!」
好美は突然脳内に流れ込んで来た声に驚きを隠せない好美、それにしても相も変わらず「ババァ」って言葉にすぐ反応する人だなぁ・・・。
結愛(念話)「お、叔母様、とんでもないですよ。高田馬場と間違えたのでは?」
美玖(念話)「何言ってんだい、ここは異世界だよ?何で東京の地名が出るんだい。」
誤魔化し方が下手




