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食べ過ぎなの好美だけか?
-273 仲の良い姉妹-
朝早くにも関わらず調理場に高く積まれていた皿をひたすらに洗い続けていたある女性はどう考えても好美1人の仕業ではない勢いで未だに積まれ続ける丼を見ながら頬を掻いているイャンダを見て嫌な予感がしたので店長のいる方へと近づいて来た、先程までずっと皿洗いをしていたにも関わらず何故かタオルを使わなくても手がもう既に乾いてしまっていた。
イャンダ「おっと、ごめんねピューちゃん。ナイトの仕事で疲れているはずなのに皿洗いして貰っちゃって、無理しなくても良いからね。」
店長とオーナーの会話をラジオ感覚で聞いていたのはこの店のナイトマネージャーであるマー・・・。
ピューア「ニクシーだっての!!作者の癖にあんたまでちゃんと私の事を覚えてくれていないの?!」
すいません、ちゃんと覚えているんですけど一応必要な件かなと思いまして。大変失礼致しました、では改めて。
この店のナイトマネージャーであるニクシー・ピューアとイャンダは店が開店した頃以上に親しい仲となっていた、互いの事も「イャン」「ピューちゃん」と呼び合う位だ。
イャンダ「それにしても大丈夫?眠くなっていないの?」
ピューア「大丈夫よイャン、好きでやってる事だから気にしないで。それにまだ呑んでいないから眠気なんて来ていないもん。」
イャンダ「そう言ってくれるなら助かるけど、無理そうだったらいつでも言ってね?いつ上がってくれても構わないから。」
イャンダの放った「上がって」が「仕事から上がって」とピューアの部屋のある「上の階に上がって」の両方に聞こえたのは俺だけだろうか、まぁそんなしょうも無い事を気にしても仕方が無いか。
ピューア「ありがとう、でも私がいなかったら誰が満腹になった好美ちゃんを部屋まで運ぶっての?」
毎朝床に倒れてしまう位に食いまくる好美を夜勤明けの度に15階の家まで運んでいるニクシー、ここ最近の定番となってしまっているがそれなら一層守にいっぱい作って貰うか自分で料理したらどうなんだよ。
ピューア「あんたもありがとうね、でもこれも好きでしている事だから気にしないで。それにしてもよく食べるね、もう殆どの炊飯器が空なんだけど。」
こう言っていたピューアの顔が若干赤くなっている様に見えたのは気のせいだろうか、もしかして金髪が少し青みがかっているからその分赤く見えるのか。
それは良いとして明らかに米の進むペースが速すぎる、やはりピューアの「嫌な予感」が当たったのか?
ピューア「好美ちゃん、ちょっと聞きたいんだけど私に『状態異常無効』って『付与』出来る?最近腰痛が酷くって。」
ピューア自身はこの国での生活が長いが、やはり人魚族自体は陸上より水中での生活に慣れている為に魔力で尾鰭を足に変化させている時間が長いと腰に来る様だ。
好美「良いよ、と言うかもう『付与』したよ?」
口いっぱいに白飯を入れながら能力を『付与』した好美、こんなお行儀の悪い子が店のオーナーだなんて思えない。
ピューア「ありがとう、助かる。あら本当に腰の痛みが無くなったわ、それで?『透明化』してるけど遅刻しかけのあんたは痛くない訳?」
時計を確認してから誰もいないはずの好美の隣の席の方をギロリと睨みつけるピューア、まさかな・・・。
声「お姉ちゃんにはバレるか、腰は大丈夫だしバスもあるから遅刻しないって。」
ピューア「やっぱりメラだったの、ちゃんとご飯は用意していたでしょ?」
メラ「だって足りないんだもん、お腹空いちゃうんだもん。」
種族関係なく大食いは同じ事しか考えないのか、いや今心配するべきはそこではないか。
ピューア「あんたね、このまま行くと万引きと同じになっちゃうよ。今日は払っとくけど。」
あっぶね・・・。




