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270

いよいよデルアが兄の店へと向かう日が来たが?


-270 女子達の朝-


 好美と楽し気にイャンダをおちょくってから数日後の午前8:00、やっとの思いで取得した有給休暇を迎えたデルアはいつも通りのモーニングルーティンを行った後にエレベーターで1階まで降りて街中まで繰り出した。いつもなら店の中から見るだけだった景色も視点が違うと新鮮だと思っていたデルアは少し上機嫌になりながら街を散策しつつ兄の店へと向かった、ただ朝早くに副店長が外出した事を知らなかったオーナーが店で大騒ぎしていた事を知らずに・・・。


好美「ねぇ!!デルアは何処に行ったのよ!!私の朝ごはんはどうなってんの?!」

イャンダ「ちょっと待ってよ、今魔力保冷庫(冷蔵庫)を確認してくるからさ。」


 自分の週休日はいつもどうしているのだろうかと頭を掻いて悩みながら冷蔵庫を開けたイャンダは庫内の中央に置かれていた皿に添付されていたメモ用紙を見つけた、書き方から見るにどうやら好美が先程の様な態度を取る事を予想していた様だ。


デルア(メモ)「好美ちゃんが朝来たらこれを温めて出して下さい、多分怒りも納まると思いますので。」


 イャンダがメモの通りに皿に盛られた料理を温めると好美は端のテーブル席で大人しく食事をしていた、正直言ってこれではイャンダとデルアのどちらが店長なのか分からなくなる。と言うよりイャンダが異動した際に週休日はどうするべきなのかが分からなくなるのがオチだ、まぁ残るのが好美の事を色々と知り尽くしているらしきデルアだから大丈夫と思うが、今からこれでは心配で仕方が無い。


イャンダ「いっその事、守君をうちで雇うか?いや待て・・・、本人にも職業選択の自由はあるんだからそんな事は言えない・・・。あぁ・・・、この店本当に大丈夫なのかな・・・。」


 店長が頭を抱えていた時、デルアは街の中心部から数々の露店が集まる場所を抜け出した後に暫く歩を進ませて兄の店へと到着した。やはり兄の拘りを最大限に活かせるように店は家と隣同士になっていて家の真横には家庭菜園が広がっていた、これ以上に新鮮な野菜を提供する方法など見つからないだろうなと感心していると家から慌てた様子のハーフ・ヴァンパイアの女子高生・ガルナスが出て来た(さり気に久々の登場だな)。


ガルナス「行って来まーす!!」


 デルアは家を出て全速力で走り出そうとしたその女子高生を全力で止めた、家の中から義姉の声が聞こえたからだ。


光「ガルナス!!あんた、またお弁当忘れてるよ!!」

デルア「おっと・・・、朝早くから騒がしい女の子だな。ほら、まだ間に合うから落ち着いて取っておいで。」

ガルナス「あれ?叔父さん、いらっしゃい。お母さん、ここまで持って来てくれる?」

光「あんたね、母親を家政婦みたいに使わないの!!・・・って、デル君じゃないの!!」

デルア「おはようございます、お義姉さん。取り敢えずお弁当をお願いします。」

光「はいはい、申し訳ないけどそこにいる犯人を取り押さえておいてくれる?」


 冗談交じりで自分の娘を「犯人」と呼ぶ光、どうやらこの家の住民は皆毎日楽しそうに過ごしている様だ。何となくだが自分もその一員になりたくなってくるが今はそれ所では無い、出発時間までまだ余裕があるはずなのにバス停まで全力走りしようとする犯人を取り押さえるのが先決だ。


デルア「分かりました・・・。ほらガルちゃん、まだ余裕があるからこれでも食べて待っていなよ。」


 『アイテムボックス』からバランス栄養食を取り出してガルナスに与えたデルア、本人の様子から見るに朝食を食べていない様に思えた。もしも目の前にいるのが好美だったらって思うと怖くなってしまったなんて本人の前では絶対に言えない。


ガルナス「助かる、いつもバス停横にある売店のおにぎりが数量限定で早い者勝ちだから急いで行かないと買えなかったのよね。今日はもう無理っぽいけどこれで何とかなりそう。」


 好美の所有するビルの真下にあるバス停に貝塚学園のバスが停まる様になってから、その真横で朝早くから通学する腹ペコ学生達の為にコノミーマートの従業員達が出店を出して納品されるおにぎりの一部を販売する様になった様だ。ここだけの話だが腹一杯食べて欲しいと言う気持ちから出店用のおにぎりは通常の物より大きく作られている、因みに一番人気はツナマヨだそうだ(運動部員の殆どが買うので発売5分後には無くなるらしい)。


挿絵(By みてみん)


ナルリス「ガル、そんなにツナマヨが食べたいって言うならこれ持ってけ。」

ガルナス「パパありがとう、あのさ・・・、良かったら鮭おにぎりもくれない?」

ナルリス「相変わらず食いしん坊だな、全く・・・。」


おにぎりは美味い、以上

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