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268

デルアが悩む理由は?


-268 兄に会う為、話す為-


 デルアは兄の「妻・光の採れたて野菜を使った料理を出したい」という拘りを知っていたので連絡をするのに少し抵抗していた、「街の中心(一等地・好美のビルが建っている所)に店を出さないか」という王の提案を断った位だから流石に自分の提案が兄の邪魔になるのではないかと思っていたからだ。


デルア「でも昔から考えていた事だからな、ちゃんと兄貴に話さないと・・・。」


 拉麵屋の副店長は深くため息をつきながらキンキンに冷やしたはずのお茶を啜った、しかしぬるくなっていた上に味を全く感じなかった。

 お茶の入ったグラスを置いてナルリスに『念話』を送ろうとしたが、少し考える事があった様だ。


デルア「でもな・・・、こういう話って顔を合わせて直接話すべきだよな。」


 弟の様子を『察知』したのか、噂の兄の方から『念話』が。


ナルリス(念話)「デル、浮かない表情してどうかしたか?イャンダさんが心配してるから思わず『念話』しちゃったけど大丈夫か?」


 話の流れから察するにどうやら調理場の奥にある小部屋からなかなか出て来ようとしないデルアの事を心配したイャンダが『念話』を送っていた様だ、別に『察知』や『探知』を使った訳では無い様だが今はそれ所では無い。それにイャンダ自身にも思う事があった、デルアが不安に思っている原因は自分にあるという事だ。話を持ち出した好美(店のオーナー)は自宅で酒盛りをしていると言うのに・・・、何となく可哀想な気がする。


挿絵(By みてみん)


ナルリス(念話)「俺で良かったら話聞くぞ、話してみろよ。」

デルア(念話)「それは助かるけど、兄貴も今(AM11:00頃)仕事(仕込み)中だろ?邪魔する訳にはいかないよ。」

ナルリス(念話)「別に『念話』だから手を動かしながら出来るじゃないか、それにまだ光が収穫だから案外ゆっくり出来るんだよ。」


 ナルリスの最後の一言は余計だった、やはりこの「光の野菜を使う」という拘りは今でも変わらない様だ。言い方が悪いかも知れないがこの拘りが弟の夢を邪魔していた。


デルア「そうだよ、兄貴の事を悪く言う奴は誰だって許せねぇぞ。」


 あ・・・、聞こえてたんですね・・・。大変申し訳ございません。


ナルリス(念話)「どうした、いつもの「アイツ」か?また余計な事を?」

デルア(念話)「ああ、でも兄貴は気にしないでくれ(と言うより無かった事にして欲しい)。」


 「光の野菜を使う」という何よりの兄の拘りを守りながら自分も拉麵屋を続けるにはどうするべきか・・・、悩みに悩んだデルアは一先ず兄に提案してみる事に。


デルア(念話)「兄貴、今度兄貴の店に行って良いか?」

ナルリス(念話)「何だよ、兄弟なんだから余所余所しくすんなって。いつでも大歓迎だから来いよ、何なら俺が予約を入れておこうか?」

デルア(念話)「いや、久々に兄貴の料理も食べたいんだけどそれ以上に興味がある事があってね。」

ナルリス(念話)「ふーん・・・、分かったよ。じゃあ取り敢えず仕込みに戻るな。」

デルア(念話)「俺も戻るわ、イャンにこれ以上迷惑を掛けたくないし。」


 兄との『念話』を切ったデルアは腕まくりをして調理場に戻った、中では1升の米研ぎを終えたイャンダが醤油ダレに漬け込んでいた叉焼を切っていた。因みにこの「ビル下店」ではこの時に出た切り落としを炒飯に使う事が多い、これは好美のアイデアだという。ただ自分の肴に回す分が減るが良かったのだろうか、まぁ俺からすればどうでも良い話なんだけど。


イャンダ「デル・・・、もう大丈夫なのか?」

デルア「ああ、悪かったな。俺の事、兄貴に話してくれたんだって?」

イャンダ「俺が原因の1つでもあるからな、何か悪かったな。」

デルア「謝るなよ、寧ろイャンには感謝しているんだ。ただ今度有休を貰っても良いか?兄貴に会いに行こうと思って。」

イャンダ「別に良いけど、すぐ近くなんだからそこまでする必要は無いんじゃないか?」

デルア「念の為だよ、俺が休んでいると好美ちゃんが何を言い出すか分からないからさ。」

好美(念話)「何よ、私抜きで何コソコソ話してんの?給料下げるよ?」

デルア(念話)「え・・・、それはちょっと困るな・・・。」

イャンダ(念話)「好美ちゃん、流石にそれは上司の横暴だって・・・。」


労働基準法って一体・・・

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