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265

誰だって人事異動は動揺しちゃうよね・・・


-265 再会の反応はまさかの・・・-


 人事異動をじっくりと眺めたデルアは1人喫煙所にいた、未だに自分は夢を見ているのではないかと思えて仕方無かったのだ。確かに数日前からの噂は自分も聞いていた、しかし「人の噂も七十五日」と言うので余り気にしない様にしていたがまさか本当になってしまうとは。

 気持ちが落ち着くまで数本に渡り喫煙していたつもりだったが動揺を隠しきれないデルアの下に同僚の将軍長アーク・ジェネラルがやって来た、一先ず煙草の先に火を点けながらゆっくりと席に着きながら吸った煙を一気に吐き出して一言。


同僚「デルア、良かったじゃねぇか。竜将軍ドラグーンなんてなかなかなれねぇもんだぞ、なのにどうしてそんな曇った表情をしているんだ。それにその本数、お前にしちゃあ異常だぞ」

デルア(当時)「そうか?さっきから1本しか吸ってないつもりなんだが。」


 嘘だ、本人はポカンとしたままだったので気付いてなかっただけかも知れないがデルアの前にある灰皿はもう既にシケモクが6本程・・・。


同僚「そうだよ、その銘柄を吸っているのはこの王城でお前しかいないから誰だって分かるさ。」


 この王城で働く従業員や国王軍合わせて数十名の喫煙者がいたがデルアと同じ銘柄を吸う者はいなかった、まぁそう言うのは好みの問題だから別に構わないのだが。

 実はと言うとデルアは心中で葛藤していた、確かに竜将軍は他の軍人と一線を画して前線で活躍する存在でなれれば名誉な事ではあるのだが自分より先に竜将軍として活躍するイャンダの姿をよく見ていたので「本当に自分に務まるだろうか」という気持ちがデルアを抵抗させていたのだ。


デルア(当時)「だってイャンダさんって器用で凄い人じゃん、俺あの人みたいに出来る気がしないんだよね。」

同僚「自身持てって、他の将軍長達もお前の活躍を認めているんだから大丈夫だよ。」

デルア(当時)「そうか?そう言ってくれるなら嬉しいんだけどさ。」

同僚「だけど・・・、何だよ。」


 この数年程前より(国王が認めた上における)正当防衛以外の戦闘行為が法律で禁じられるという知らせを受けた当時のバルファイ国王の命により、更なる技術向上を図って竜将軍まで上り詰めた者達が厨房を担当するという決まりが出来たのだがその決まりがデルアの頭を悩ませていた。


デルア(当時)「いやな、俺ガキの頃から料理なんてした事無くてよ。お前には話したと思うんだけど兄貴の作った料理が美味すぎて俺は手伝っても皿洗いとかばっかだったから全然なんだよ、一回試しに作ってみた目玉焼きまで失敗した事があるんだから正直無理って言いたいんだよ。」


 それから数本もの煙草を燻らせながら愚痴を溢してから数日後の朝7:55(因みに一応定時は9:00)、厨房担当としての初出勤日を迎えたデルアは一先ず使い慣れたロッカールームにて先日渡されたコックコートに着替えた後に恐る恐る厨房の扉を開いた。


デルア(当時)「お・・・、おはようございます・・・。」


 緊張感を隠しきれないデルアをその日のランチタイムへと向けて入念に仕込みをしていたイャンダが出迎えた、イャンダはデルアの姿を見るなり茹でた大量のアスパラガスの入った笊を置いて駆け寄った。


イャンダ(当時)「デル!!待ってたぜ!!」

デルア(当時)「イ・・・、イャンダさん・・・。お久しぶりです・・・。」

イャンダ(当時)「何だよ、余所余所しいな。俺達は学生時代に同じ釜の飯を食った仲間じゃねぇかよ!!」


挿絵(By みてみん)


 デルアがこうなってしまうのも無理は無い、イャンダ本人が言った通り魔学校に通っていた当時の2人は経済学部の同級生だったがつい数日前まで「竜将軍」と「将軍長」だったのでデルアにとってイャンダは言わば「上司」であり「憧れの存在」だったのだ。


イャンダ(当時)「あの時みたいに話しかけてくれよ、その方がお互いにやりやすいだろ?」

デルア(当時)「あ・・・、ああ・・・。そうだな・・・、イャン。これからもよろ・・・。」


 デルアの言葉を待つ事の無かったイャンダは勢いよく抱き着いた、デルアは周りに他の人がいなかった事が幸いだった気持ちでいた。


デルア(当時)「何だよ急に・・・、気持ち悪いからやめろって!!」

イャンダ(当時)「デル、今までずっと待たせやがって!!寂しかったんだぞ!!」


え・・・、嘘やろ?

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