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いくら何でも規模が大きすぎる・・・
-256 対照的な親子-
元の世界にいた頃からの長年に至る親子喧嘩が故にまさか優しい国王達や神々が守るこの世界を奪い取ろうというとんでもない事を言い出した義弘、勿論そんな事許される訳が無い、いや許す訳が無い、誰もが許さない。
結愛は必死だった、この世界に来てから自分のありのままを受け入れてくれた住民達に感謝していたからだ。勿論守を含めた元の世界からの転生者達にも、だから失いたくないという気持ちがとても大きかった。
結愛「義弘、西野町高校(元の世界での貝塚学園)の時からお前の自己中心的な考えが許せなかったんだよ。何でも金で解決しようとしやがって、金より大切な物があるって何で気付かないんだよ。お前と違って俺には分かるんだ、ここには金では決して買えない大切な物が山ほど転がってる。それをお前なんかに奪わせねぇ!!かかって来やがれ!!」
義弘「ほう、私が牢獄に閉じ込められていた間に馬鹿娘がほざく様になったな。私の実力というものを分かっていない様だ、遠慮なく行かせて貰おうじゃないか!!」
義弘が再び両手を空に向かって挙げると新たに黒球が出現した、よく見ると先程の物よりもとても大きくなっている上に1人しかいないはずなのに何故か5つも出現しているではないか。ハイラやハラルとやり合った時に本気を出していなかった事は一目瞭然だとしてどうして5つも出現しているのだろうか。
好美「守・・・、あれを見て!!」
好美が指差した方向を見てみると義弘の後方で4体のティアマットが同じ黒球を出現させていた、いくら結愛が強力なネクロマンサーだと言ってもこれでは太刀打ち出来そうにないが社長自身は必死になって自分が出せる最大威力の黒球を出現させた。
義弘「ハハハハハ・・・、馬鹿め!!大きいのは良いがたった1つでは無いか!!そんな物で私を倒そうとでも?!おふざけはやめておけ!!」
高笑いする義弘の後方を再び見てみるとティアマット達が泣いている様に見えた、どう考えても自分達の意志で戦っている様には見えない。
ティアマット「助けてくれ・・・、俺達はこんな事を望んでいない!!」
どうやらヌラルと同様に義弘に捕まっている混沌龍達の様だ、自分達の意志では無いと言うのならどうしてやめようとしないのだろうか。
義弘「無駄な足掻きはよせ、お前たちは今私に操られているのだ!!さぁ、世界を奪う手伝いをして貰おうじゃないか!!」
守「いい加減にしろ、くそ野郎が!!」
女手一つで自らを育ててくれた母親の事を侮辱した事を何よりも許せなかった守は勿論結愛に協力すると決めていた、しかし黒球なんて自分に出せるだろうか・・・。
そんな中、冷静さを取り戻していた好美が別の方法を取ったので義弘側の黒球が減少した。どうやらティアマット達に『状態異常無効』を『付与』して義弘による操り人形状態から解放した様だ。
ティアマット「ありがとう、何処の誰かは知らないが助かったよ。宜しければ私達も結愛さんに協力しても良いかな。」
義弘「馬鹿め、そんな事を言うなら馬鹿娘の前に全員殺してやる!!」
義弘は空中に浮かべていた黒球をティアマット達の方へと向けた、すると強制収容所の方から女性の叫び声が。
女性「やめろーーーーーーー!!」
勿論声の正体は捜査に協力して黒龍族の名誉を回復すると誓ったヌラル・ブラッディ本人だった、ヌラルは息を切らしながら結愛の隣へとやって来て同じように黒球を出現させた。どうやら本人にはただ事では無い事情がある様で・・・。
結愛「ヌラル!!どうして出て来たんだ!!皆と中にいろ!!」
ヌラル「黙って見てろってか!!あそこにいるのは俺の母親なんだぞ!!」
そう、義弘が殺そうとしていた混沌龍達の中にヌラルの母親・バハラがいたのだ。そりゃあ誰だって黙って見ている訳にもいかないと思ってしまう。
バハラ「ヌラル!!馬鹿な事を考えるんじゃ無いよ!!母ちゃんの事は良いから中に戻りなさい!!あんたには生きていて欲しいの、だから安全な所に逃げて!!」
ヌラル「嫌に決まってんだろ!!父ちゃんに続いて母ちゃんまで失うなんて俺は絶対嫌だね、母ちゃんは俺と一緒に帰りたくねぇのか?!平和な世界を見たくねぇのか?!」
ヌラルは必死だった