252
義弘の作戦とは
-252 禁じられた行為-
幼少時代から受験を意識した教育を徹底されていたのでその頃からずっと憎んでいた父親の出現に怒りを隠せなくなってしまっている結愛の横で高校時代に共に戦った守も義弘に向けて睨みを利かせていた、決して大きくはない窓から見えない場所にいたはずなのだが今までずっと手錠により制限されていた魔力が大放出しだした義弘には僅かな気配で気付かれていた様だ。
義弘「馬鹿娘の横にいるのは宝田 守だな?貴様にも散々苦労させられた、聞けば俺を社長の座から引き摺り下ろしやがった筆頭株主の宝田真希子の息子と言うじゃないか。真希子を出せ、奴の持ち株を全て奪い取って再び貝塚財閥を私の物にしてやる。」
結愛「また「馬鹿娘」と呼びやがって・・・、それに守や真希子さんには何の罪もねぇだろ!!俺の恩人たちを巻き込むのはやめろ!!」
まさかこの異世界で繰り広げられるとは思われなかった口喧嘩に希や好美達がおずおずとしていた中、転生者達のいた牢獄にダンラルタ王国警察の巡査たちが駆け込んで来た。
巡査「これは林田署長、ご足労ありがとうございます。」
希「構わないよ、それより一緒に義弘の行方を追っていたプニ君は何処にいるのかね?」
巡査「警部なら用事を済ませてからこちらに来るとお聞きしています、少し時間が掛かるかも知れないとも仰っていました。」
希「ほう、そうか・・・。ご丁寧にどうもありがとう。」
巡査「何を仰いますやら、例には及びません。」
これは後で分かった事なのだがダンラルタ王国警察に配属された者は種族関係なく徹底した言語教育を受けるようになっている様だ、まさかこれは以前プニが少しチャラかったからなのだろうか。
そんな中、城門の方向から相当大きな爆発音がした。
義弘「ハハハ・・・、この私を長年に渡りこんなチンケな場所に閉じ込めやがって。これからこの収容所を全てこの城門の様にしてやろうか。」
どうやら義弘による「次の作戦」とはこのネルパオン強制収容所を崩壊させて今まで自分を苦しめて来た奴らに復讐する事だった、だがしかし・・・。
声「おい、貝塚義弘さんよ。まさかあんたの次の作戦ってのはコイツの事か?」
希「こ・・・、この声は・・・。」
声の方向へと転生者達が振り向くとそこでは先程会話に出て来たダンラルタ王国警察の警部であるレイブンのプニが高らかに笑っていた、本人の足元には既に破壊された何らかの物体が何個も何個も転がっていた。
プニ「残念だったな、俺は今警部だが以前は爆弾処理班に所属していたんだ。爆弾自体ずっと触って無かったから上手く出来るか不安だったが身に付いていた技術は体が覚えている物だな、ご覧の通り全て解除させて貰ったぜ。」
義弘「くぅっ・・・、調子に乗りやがって・・・!!」
勝ち誇った顔をするプニ、ただ今すべきは即座に状況を報告する事では無いだろうか。
希「プニ君、大活躍してくれた事は感謝しているがこれはどう言う事だね!!」
プニ「申し訳ありません、すぐ近くの海上で逮捕寸前まで追い込んだのですが上陸した際にいらっしゃった王城の魔法班の方々や係員の方を人質に取られてしまったので迂闊に手を出せなかったんです。」
爆弾処理班のリーダーをしていた頃とは打って変ったかの様に丁寧な口調をしているプニ、いじりたいのは山々だが今はそれ所ではない。ただプニの言葉により希は未だに危機が去った訳では無い事を改めて実感した、因みに魔法班の者達は防御魔法で逃れた様だ。
希「そうだ、あそこには魔法班の方々が・・・!!義弘、これ以上罪を重ねるな!!頼むから人質を解放して俺の話を聞いてくれ!!」
義弘「馬鹿者、私が他人を信用して言う事を聞くとでも思ったか。爆弾が駄目ならこれで私の実力を証明して見せようではないか!!」
そう言うと空に向かって高らかに両手を延ばしてハイラと同様に巨大な黒球を出現させた、それを見て誰より驚いているのは他でも無いリンガルス警部だった。
リンガルス「あの野郎・・・、署長・・・、こうなってしまったのは迂闊にも彼に魔法を教えた私の責任です。私の責任です、私が何とかします!!」
希「リンガルス!!言いたい事は分かるが3国においての戦闘行為は重罪だ、友のお前を犯罪者にしたくない、お願いだからやめてくれ!!」
リンガルス「頼む、やらせてくれ!!奴の魔力を永遠に封じ込めてやる!!」
どうなる、リンガルス!!




