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結愛は自社のセキュリティに絶対の自信があった
-247 新たな情報-
光明が電話を取りに向かってからも結愛は依然として研究生の話を聞いていた、完璧なはずの自社のセキュリティが簡単に破られてたまるものかという思いでいっぱいだった。
結愛「ガーガイ、その清掃員にどうやって声をかけられたかは思い出せるか?」
ガーガイ「えっと・・・、「ここでは経験できない様な凄い事をしてやるからついて来い」と言われたので堪らなくなってつい・・・。」
どうやらこのバハムートが連れ去られた理由は相も変わらずと言うよりもうお馴染みとなってしまった本人の「ドMな性格」であった、何となく嫌な予感はしていたがやっぱりか・・・。
結愛「お前な、誰にでも自分の本性を丸出しにしてんじゃねぇよ。恥ずかしくねぇのか?」
諦めろ結愛、ガーガイと同様の方々は「恥ずかしい」と言う気持ちも顔を赤くする位に喜んでしまうんだからな。
結愛「確かにそうだな・・・、今に始まった事じゃないからもうツッコむ気も起らねぇ。」
ガーガイ「あの・・・、本当にすみません・・・。」
おいこら、本当にそう思っているのか?まさかと思うが「自分は今辱めを受けている」という意味で喜んでいる訳じゃないよな、顔が赤いんだが違うよな。
ガーガイ「え?そんな訳無いじゃないですか、この期に及んで。」
そうか・・・、じゃあもうこれ以上は何も聞かないでおくわ・・・。はぁ・・・、取り敢えず話を進めるぞ。
ただ結愛自身には不審な点が浮上していた様で顎に手を当ててずっと考え込んでいた。
結愛「それにしてもその清掃員、やたらとガーガイについて詳しく無いか?」
確かに学生と話す事が無い学内の清掃員が、しかも入ったばかりの「ド」新人がどうしてガーガイについてやたらと詳しいのだろうか。
理事長がそんな疑問を抱えていると息を切らしながら小走りで牢獄へと戻ってきた副理事長が結愛の肩を軽く叩いた。
光明「結愛・・・、あの・・・、清掃員の・・・、情・・・、報・・・、掴・・・、んだ・・・。」
結愛「分かった、分かったから落ち着けよ。」
今にも倒れそうな旦那を落ち着かせるために最善を尽くそうとする妻、それにしてもどうして急に能力が使えなくなったのだろうかが今最大の疑問だ。
結愛「守、悪いが水か何か持ってないか?ご覧の有り様だから頼むよ。」
正直藁にも縋る様な気持ちだった、ただ守はこういう時の為にもしっかりと対策を施していた様で。
守「水で良いなら。」
そう言うと『アイテムボックス』から水の入ったペットボトルを取り出した、因みにだが本来は好美が酒を吞み過ぎた時に渡すつもりで備えていた物だけど今はそんな事などどうでも良かった。ペットボトルを受け取った結愛は勢いよく蓋を開けて光明に飲ませた、ただ大量の水を急激に飲み込んだために光明は落ち着きを取り戻すどころか噎せてしまった様だ。
光明「ゲホっ・・・、ゲホっ・・・。お前な、助かったけどもうちょっと加減って物を知れよ。」
結愛「それ所じゃないだろ、心配したんだぞ。」
光明「走って来ただけで死ぬわけじゃあるまいし・・・、まぁ感謝するよ。」
結愛「テメェな、それが助けた奴に対する態度かよ!!」
光明の態度に対し機嫌を悪くした結愛が「今までの努力を返せや」と言わんばかりに勢いよく背中を叩いたので光明は大声で叫んでしまった。
光明「ぎゃぁぁぁあああああ!!」
これは完璧に光明が悪い、今のは誰だって傷つく。
結愛「それで?例の清掃員がどうかしたのか?」
光明「それがな、別の場所の掃除を指示されても無視して同じ場所に行ってたらしいんだ。」
え・・・、
ガチですか?




