244
心配だ・・・、心配だ・・・。
-244 いくら腰が低いからって巻き込んじゃ駄目でしょ-
可能な限り捜査に協力しようとしていた転生者達はデカルトの周辺を見廻していた、何となく失礼な行為だと俺個人は思っていたが大丈夫なのだろうか。
デカルト「あの・・・、どうかされましたか?」
ほら、不審に思われてんじゃ無いか。ちゃんとそれなりの理由があるんだろうな、目の前にいるのは王様なんだから嘘偽りなく言うんだぞ。
守「すみません、ただどうしてデカルトさんだけここに来て一緒に連れて来たという魔法班の方々が来ていないのかなと思いまして。」
デカルト「そうですよね、ただ別に忘れて来た訳じゃ無いんですよ。ここに来た時に城門等が崩れていたので直してから来ると申していたので後ほど全員揃うと思います。」
「城門」と聞いて体が小刻みに震えだした者がいた、ただ音もなく震えていたはずなのにそこにいる全員が予想していたかの様にその者の方へと振り向いた。
ハイラ「ごめんなさい・・・、私ですぅ~・・・。」
ムクル「王様、恐れながら申し上げますがどうやら久々に我慢出来なくなっちゃったみたいでして・・・。」
デカルト「あらまぁ・・・、15年振りに我慢できなくなっちゃったんですか?」
身に覚えのある光景にもう呆れてものも言えない様子の国王、所長はその場で改めて責任を感じて小刻みに震え始めた。と言うか・・・、泣きかけてね?
ガーガイ「王様、お待ちください!!」
あ・・・、そう言えばもう1名いたわ・・・。
デカルト「えっと・・・、貴女は?」
ガーガイ「私、大学院生のガーガイ・ヴァントと申します。実は犯人達の魔法により1時的にティアマットへと変身させられていたんですが、好美さんに『状態異常無効』を『付与』して頂いた『人化』するのを忘れて元々直りかけていた城門を再び壊しちゃったんです。なので・・・、責めるなら私を責めて下さい!!」
あーあ・・・、何となくだがどうしてガーガイがこう言ったのかを想像したくないわ。
デカルト「素晴らしい!!何と言う正直なお方なのでしょう!!その正直さに免じて貴女方の罪はお許しいたしましょう!!」
物凄く寛大な王様により2名の罪は許されたが何となく納得いっていないのがいる様に思えるのは俺だけだろうか。
ガーガイ「どうしてですか!!私は城門を壊したんですよ!!怒って下さいよ!!詰って下さいよ!!そして・・・、「このくそ龍が!!」って蹴り飛ばして下さいよ!!」
結愛「止めろや!!王様が困ってんじゃねぇか!!ドMを発揮してんじゃねぇ!!」
あの理事長さん・・・、王様の右手をご覧頂けませんか?
結愛「王様まで、何で鞭を持ってんですか!!」
デカルト「これですか?いや、先程そちらの方に手渡されまして・・・。」
まさか自前の鞭を普段から持ち歩いているとは・・・、こんな魚龍嫌だ。
デカルト「あらま、貴女は稀に見るバハムートでしたか。道理で綺麗な女性の方がご自分の事を「くそ龍」と仰っていた訳なんですね。」
納得しないで欲しい、バハムート全員がガーガイの様な性格では無いと願いたい。
一方その頃、ノームはこの強制収容所での捜査に赴く前に朝食の味噌汁を啜っていた時の事を思い出していた(と言うかエルフの朝食って結構和風なんだな、違うか)。
マイヤ(電話)「ドーラ(ノーム)、ちょっと良いか?」
ノーム「どうしたのよ、折角の味噌汁が冷めちゃうから手短にしてくれない?」
マイヤ(電話)「すまんな、今日ってネルパオン強制収容所に行くんだろ?その前におじいちゃんの家に寄ってくれないか?」
ノーム「別に構わないけど・・・。」
ノームは現場へと向かう途中で祖父の家へと立ち寄って受け取った物を改めて眺めた。
ノーム「お姉ちゃんに渡す様に言われたけど・・・、何でソフトキャンディなの?」
後で分かりますから。単純だけど結構重大な理由が・・・。