242
あの・・・、そちらの方はどなたなんですか?
-242 妹の存在-
未だに捜査が進んでいるかどうかがはっきり言って微妙と言える中、感動の(?)再会を迎えたエルフ達は涙ながらに抱き合おうとしていたが俺は何となく違和感を覚えていた。よく見ればハイラが先程会った女性は髪の色がピンク、しかし記憶が正しければ所長の妹であるノーム(ドーラ)・クランデル・林田は金髪だったはず・・・。見ない間に本人が「染めた」と言うなら話は別になって来るかも知れないが何となくおかしい。
ハイラ「「お姉ちゃん」ってあんた待ってよ、私の記憶が正しかったら私の事を「お姉ちゃん」なんて呼んで無かったじゃない!!」
確かにハイラが言っている事は正しい、今1番欲しいのは結愛が先程使っていた『虚偽判定』だった様な気がする。そう言えば結愛は今能力が使えないはずなのにどうしてそれだけ使えるのだろうかと疑問に思ってしまうが誰も不審に思わないのだろうか。
好美「結愛、あのピンクの髪の人はハイラさんの妹さんなの?」
結愛「いや・・・、所長さんの様子から見たら違う人みたいだ。ただギリギリ使える『虚偽判定』でも本人が嘘を言っていると出てはいないからな、もしかしたら昔一緒に遊んでいた近所の友達なのかも知れないな」
きっと今すべきことはエルフ達の様子を優しい目で見守る事だろう、どうせ捜査なんて進む訳が無いんだから。
ハイラ「何よあんた、私達が捜査の邪魔をしているっての?」
女性「そうよ、私達は100年振りの再会を喜んでいるだけじゃない。」
感動の再会を邪魔したくないのは俺も、そしてきっと守も一緒だよ?でも今は何を優先させるべきか分かるだろ?特にあんたらは警察なんだから特にじゃないのか?
守「お・・・、おい!!俺を巻き込むな!!」
あの・・・、再会したというそちらの女性についてご紹介をお願い出来ませんかね?
ハイラ「この子は警察学校時代の後輩でラクラと言います、学校以外でもアルバイト等でも一緒だった事が多かったので殆ど姉妹の様なものだったんですが最近は音沙汰無しだったんで何処にいるのかも分からなかったんです。まさかネフェテルサ王国警察に所属していたとは、私も歳を取るもんですね。」
ラクラ「お姉ちゃん、私刑事になったよ。見直してくれた?」
ハイラ「あんたが刑事だって?!世も末だわ・・・。」
何となく意味が深そうな一言だが今はそれを探っている場合では無いと言わんばかりに「ゴホン!!」という咳払いが・・・。
男性「お2人さん、そろそろ良いかね?貝塚財閥の社長さんをお待たせしたら悪いだろう。」
ラクラ「林田署長・・・、ごめんなさい・・・。」
おいおい、そこは「申し訳ありません。」だろ・・・、ってあれ?
希「良いんだよ、ラクラ君だったら何でも許しちゃう。」
まるで自分の娘の様にラクラを可愛がっている林田署長は目の前で涙目になっているエルフの事なら何でも許してしまう様になっていたらしい、この光景をネスタやノームが見たらどう言うのだろうか(何となく修羅場になるっぽいので想像はしたくない)・・・、と思ったらあらまぁ・・・。
女性「署長、いやお義父さん!!帰ったら覚悟しときなさいよ!!」
えっ・・・、嘘・・・。まさか・・・?まじですか・・・?
希「こらノーム君、仕事中は「お義父さん」はやめなさいと何度言えば分かるのかね。」
ノーム「悪いのはどっちなのよ、今日という今日はお義母さんに言いつけるからね!!覚悟していなさいよ!!」
義理とはいえど親子同士の喧嘩は付き物だ、ましてや日本と変わらないこの世界では尚更なのだろうなと思わされる。種族の違いはやはり関係の無い事。そんな中・・・。
ハイラ「もしかしてドーラ・・・、ドーラなの・・・?」
ノーム「お爺ちゃんから聞いていたけど貴女が私のお姉ちゃんね、ずっと前から会いたいと思っていたのよ。こんな形になるとは思っていなかったけど会えて嬉しい・・・。」
ハイラ「ドーラ・・・、生きてたー!!」
ノーム「お姉ちゃん、勝手に私を殺さないでくれる?!」
ベタ・・・。