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ちゃんと弁償か修理しろって・・・。
-235 やらかし案件の後処理-
エリューは何事もなかったかのように友へと『状態異常無効』を『付与』する様にと好美に頼んだが何か忘れてはいないだろうかとどうしても考えてしまう俺、まぁその理由はすぐに分かったので助かりはしたが。
ハイラ「ちょっと待って下さいよ、いくら牢獄と言っても公共の場所なんで焦げたままにしないで頂けませんかね!!」
好美「ごめんなさい、ただこんな経験初めてなので少し苦戦してまして。」
確かに転生者関係で神々からの加護が与えられたのは渚のエボⅢだったはずだ、ただ話の流れ上での事とは言えまさか車に加護を付与する事になるとはクォーツ自身も思ってはいなかっただろう。まぁ、今はそれ所では無いのが明らかなのだが。
ハイラ「苦戦しておられるのは好美さんの様子から見て分かりますよ、でも天井がこのままだと私国王様に怒られちゃいますよ!!」
この強制収容所は国土から少し離れた孤島に建設されているが一応はコッカトリスのデカルトが国王を務めるダンラルタ王国の管理下にある、流石にこのままではまずいと思った好美はどうやって今の状況を伝えようか考えながらデカルトに『念話』を飛ばす事に。
好美(念話)「デカルトさん・・・、ちょっと良いですか?」
デカルト(念話)「あら好美さんじゃないですか・・・、どうかされました?」
デカルトを含む3国の王が腰の低い性格をしていてホッとした好美、ただ流石に怒らせてしまうのではないかと心配しながら真実を伝える事に。
好美(念話)「あの・・・、ネルパオン強制収容所で脱獄事件があった事をご存知ですか?」
デカルト(念話)「勿論です、警察に協力すべく王城の方からも死刑囚の捕獲の為軍隊を派遣致しておりますが。」
好美(念話)「実はその捜査でバルファイ王国警察のリンガルス警部や貝塚財閥の社長夫妻と一緒に現地へと来ているんですが・・・?」
デカルト(念話)「そうなんですか?正直余り安全な場所だとは思えないんですけど大丈夫ですか?宜しければ軍隊の一部をそちらに向かわせましょうか?」
如何なる時でもこの世界の住民の事を1番に考えるデカルト、隣のネフェテルサ王国の国民であっても同様に大切に想っている様だ。
好美(念話)「大丈夫ですよ、所長さん達と一緒にいますので安心して下さい。ただ・・・、その時・・・。」
デカルト(念話)「はい・・・?」
好美の意味深な口調が気になって仕方が無い国王。
好美(念話)「義弘がいた牢獄の天井を魔法(能力)で焦がしてしまいまして・・・。」
デカルト(念話)「ハハハ・・・、何だそんな事ですか。大丈夫ですよ、今度王城の清掃班がそちらに向かう予定なのですがその時殺菌の為に火魔法で天井や床を一旦焦がすんで問題ありませんよ。手間が省けたんで寧ろ有難うございます。」
国王の返答に安心した好美は胸を撫でおろした、ただ『念話』はまだ終わっていない。デカルト側にはどうしても気になる事が1点あった様だ。
デカルト(念話)「それより好美さん、魔法が使えたんですか?」
好美(念話)「以前からですけど、転生者は皆使えると思いますよ。」
デカルト(念話)「すみません、説明が足りませんでした。そういう訳じゃ無くて・・・、収容所内で魔法が使えたんですか?」
好美(念話)「普通に使えましたけど、それがどうしたんです?」
デカルト(念話)「そうなんですか・・・、まずいな・・・。実は受刑者の脱獄を防ぐ為に『魔術阻害』という特殊な魔法を収容所全体にかけているんですがそれが解けちゃったみたいですね・・・、まずいな・・・。急ぎ軍隊の魔法班の一部をそちらに向かわせますのでハイラさんにそうお伝えいただけますか?」
国王との『念話』を終えた好美は天井を眺めながら頭を抱えるハイラにデカルトからの伝言を伝えた、『念話』なので周囲にいる数人にも聞こえていたと思われるが・・・。
ハイラ「えっ?!魔法班が来るんですか?!嘘でしょ!!」
驚きを隠せないハイラ、どうやら『念話』の能力もかなり衰弱してしまっていた様だ。
好美「何か問題でも?」
ハイラ「だって・・・、城門壊しちゃった事がバレちゃうじゃないですか!!」
自己中か!!そっちかい!!