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喧嘩が終わらないと捜査は一向に進まなさそうだ
-230 次女が呼ばれた意味-
「ナルリスの店で久々に姉妹での食事を行う」という事で姉妹喧嘩をようやく終えた古龍達は事件解決の為に動き出そうとしていたが、やはりこの場においてストレートに事が進む訳が無いと言う事を神達が知らない訳が無かった。
好美「あの・・・、ご姉妹でのお話が済んだのは良いんですけどセリー神様やトゥーチ神様は仲間外れになっているままなんですか?ただの住民である私が意見して良いのか分かりませんけど流石にそろそろ4姉妹が揃っても良いのではないかと思うのですが。」
確かに好美の意見は間違ってはいない、クォーツ以外の2柱の心中にエリューと共に遊んだ記憶があったとしてもそれは「近所に住む仲の良い友達」としての物。姉妹が無邪気に遊んでいた頃から2000年以上経つのだからそろそろ全員が実の姉妹である事を話しても良いのではないかと思うのは当然の事だ、と言うより我々人間としての感覚からすれば物凄く遅すぎる様にも思える。と言うかいつの間にクォーツもTシャツ姿になったんだよ。
クォーツ「うーん・・・、確かにそうなんだけどよ。2000年以上も黙っていたんだぜ、それにまだ親父が反対しているかも知れんから俺が勝手に言っていいとも思えないんだよ。」
桁違いの年数を3姉妹として生きて来た古龍達にとって今更「実は4姉妹だった」と言っても信じて貰える筈がない、ただこのまま真実を放っておいて良いのだろうかという疑問が無いと言うと嘘になる。おい、と言うか服装に対するイジリは無視か?
エリュー「クォーツの姉御は良いとしてセリーやトゥーチにとって俺はただの「近所の姉ちゃん」だぞ、この期に及んで事実を言ったとしても絶対に避けられるに決まってるって。」
それもそうだ、俺自身が経験した事は無いのだがこれは人間界(下界)においても十分あり得る話でこの様子だと天界も下界もさほど変わらない物なのだと見受けられる。
結愛「でもこのまま黙っているのも心苦しく無いんですか?辛くないんですか?」
兄のシスコンに悩まされている社長も全くもって兄妹の間の仲を大切にしていない訳では無い、もしどうでも良いと思うのなら就職先や居住地を探す事など決してしない。
エリュー「その通りなんだけどな、俺は姉妹間の問題を解決するためにここに来た訳では無いんだぞ。」
確かに休日返上でわざわざ人里離れた強制収容所に来たと言うのに全くもって関係のない事柄に時間を費やしたくはない、正直このままの状態がずっと続くのなら家に帰って眠ってしまいたい。
クォーツ「じゃあこういうのはどうだ?この事件が解決した時に姉としてあいつらと会うのは、下手すればこの世界を揺るがしかねないかも知れない事件を解決したとなるとセリー達もお前の事を尊敬してくれるだろ?」
エリュー「それは良いけど、何処か大袈裟過ぎやしないか?」
クォーツ「何言ってんだよ、今回脱獄した貝塚義弘は上級賢者だぞ。舐めてかかるとこっちの身が危ないのはお前も分かるだろう!!」
エリュー「・・・分かったよ。」
少し嫌々ではあったが改めて捜査に協力する事を約束したエリューの言葉を聞いてやっと安心したクォーツはやっと捜査に着手し始めた、ただ先程とは違ってハイラ等に事件当時の写真ではなく以前設置していた監視カメラ自体を持って来る様にと指示を出した。
ハイラ「クォーツ神様、写真は必要無いんですか?」
クォーツ「ああ、やはり怪しいのは映し出された映像もそうだがカメラ自体だからな。それを調べるのが一番良いだろう、それにカメラを調べないとコイツを呼び出した意味が無くなるからな。」
周囲の者達は最後の一言の意味が全く分からないままだったのだが一先ず神様に言われた通りに現物を持って来る事にした、やはり一番怪しいのは魔力による細工が施されたとされる監視カメラだった様だ。ハイラは箱に入ったままの状態で例の監視カメラを手袋をはめた手で神に渡した、指紋等余計な物が付着するのを防ぐ為だったが今更遅く無いかと思ってしまうのは俺だけだろうか。
ハイラ「あの・・・、お待たせしました。」
クォーツ「悪いな、ありがとう。ほらエリュー、これを見てみてくれないか?」
所長に手渡された監視カメラを姉と共に見た妹は先程から禍々しさが全く変わる事無い魔力と共に身に覚えのある何かを感じ取った様だ、これは姉妹だから分かる事の様だ。
エリュー「なるほどな・・・、これで姉御が俺を呼び出したのも納得いったわ。」
え、どう言う事?