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頼むから姉妹仲良くしてくれよ
-229 何の仕事をしているかは関係ないんだよ-
俺がいい加減本当に話を進めさせてくれと願わんばかりと思う中、まさか強制収容所の所長室で繰り広げられるとは思わなかった神同士の姉妹喧嘩がやっと終わりを告げようとしていた。正直この物語を書いていてこれほどほっとした瞬間が来たのは初めてと言っても過言では無い。
2柱の神々はあれから結構長い間言い争いをしていたみたいだが、疲れが出て来た様でそれから数分程沈黙が続いた後で一歩引いた次女が申し訳なさそうに声をかけた。
エリュー「あ・・・、あのさ・・・。今度一緒にナルリスさんの店にカレーを食べに行かねぇか、久々に姉御と過ごしたくなってよ。」
クォーツ「そうだな・・・、久々の再会だってのに喧嘩なんてしてちゃいけないよな。えっと・・・、光さんの顔が見たくなって来たからお前が良かったらなんだがその店に連れてってくれよ。」
何だよ、実の妹との会話なのに照れくさそうにせずにすんなよ。
クォーツ「アホか、長い間まともに話して無かったんだぞ。照れるに決まってんだろうが。」
そうなんですか、俺自身に妹がいないから分かんねぇけどそんなもんなんだろうな。ただ作者としては一先ず話を進めたいから早く握手でも何でもしてくれねぇかな。
エリュー「さっきあんたも言ってた通り照れくさいんだよ、ちょっと待てって。」
分かった、じゃああんたらが納得いくまで話し合えや。
それから数十分に渡り姉妹は思い出話を交えながら納得いくまで話し合った。正直に言えば俺もそうだったのだがその場にいた全員が呆れてしまうくらいに、ただ神同士での事なので流石に口出しできないと空気を読んだらしく・・・。
好美「ハイラさん、申し訳ないんですけどお茶頂いても良いですか?」
好美よく言ってくれたよ、多分その場にいた全員がその場から離れたいと思っていたはずだぜ。でも世の中って物はそこまで甘くないんだな。
ハイラ「あの・・・、実は私もそうしたいんですけどもう茶葉が無いんですよ。先程皆さんに振舞った分が最後だったんです、何かごめんなさい。」
所長さん、あんたには何の罪も無いから謝らなくても良いよ。それにまだ珈琲豆だってあるだろう?
ハイラ「いや・・・、それだと結愛さんが飲めないですから・・・、って誰なんですか!!」
そっか、所長さんは俺の存在を知らなかったんだな。どう言えば良いんだろう・・・、取り敢えずこの世界を創った者です、これからちょこちょこ話しかけると思いますので宜しくお願いします。
結愛「気にしないで下さいね、別にコイツの言葉全部に返事しなくても良いので。」
おい結愛、今なんつった。お前の存在自体を消すぞ、コラ。
結愛「いや・・・、聞き間違いだって。何も言ってねぇよ。」
その場で下手な口笛を吹いて知らんぷりを決める結愛、でも社長の言葉を全員が聞き逃しては無かった。
リンガルス「社長・・・、恐れ入りますがちゃんと謝った方が良いと思いますけど。」
光明「そうだぞ、お前がいなくなったら貝塚財閥はどうなるんだよ。」
結愛「リンガルス警部は良いとして光明、お前は会社の事しか頭にねぇのか!!俺達夫婦の事に関してはどうでも良いのかよ・・・!!」
この社長夫妻が喧嘩をするのはもはや日常茶飯事だが、先程の光明の言葉は結愛の心に深く刺さった様で妻は思わず泣き出してしまった。男勝りである大企業の社長と言っても1人の女性なのだ、ハッキリ言ってまずいと思うのだが。
光明「わ、分かったよ・・・。これが解決したら2人で食事にでも行こう。」
結愛「やだ、旅行に行きたい。光明と2人きりで過ごしたい。」
光明「それは・・・、流石に・・・。」
おい、光明?
光明「分かったよ、今度ダンラルタ王国のリゾート施設にでも行くか・・・。はぁ・・・。」
「はぁ・・・」って言いたいのは俺の方だぞ




