227~228
こりゃあ、義弘の逮捕は遠いぞ・・・。
-227 本来の「次女」-
一刻の猶予も許されない事態となっているはずなのに全くもって捜査を進めようとしない転生者達、確かに数々の新キャラクター達の登場や新事実の発覚などで脱線が多かったがそろそろ本気で話を進めて行きたいんだが大丈夫なのだろうか。良いんだよな、え?
結愛「お前な、神々の御前で何喧嘩腰になってんだよ。それに気になる事がまだあるだろうが。」
いや、そうこうしている内に義弘の行方がより一層分からなくなってしまうが大丈夫なのかよ。
好美「これからちゃんとしていくから良いじゃ無いのよ、それに私達は警察の人間じゃないんだから別に良いでしょ。」
リンガルス「すみません、一応私警察の人間なんですけど・・・。」
またまた存在を忘れられていた可能性が浮上していたリンガルス警部を横目に結愛は少し引っ掛かっていた事を聞いてみる事に、出来れば事件に関係している事を聞いて欲しいと願いたいのだが。
結愛「クォーツ神様、少しよろしいでしょうか?」
流石に神様にはいつもの口調で話しかけはしない様だ、そこは立派な社長(いや大人)と言った所か。
クォーツ「良いぜ、俺で良かったら何でも聞けよ。」
こんな事言いたくないけど神様って軽ぅ・・・。
結愛「先程「腹違いの妹」と仰っていましたがどう言う事なのでしょうか。」
社長の問いかけに少し答えづらそうに頭を掻く「一柱の神」。
クォーツ「うーん・・・、悩むほどの事じゃないんだが他の神々や下界の民達への示しがつかないから言わない様にしていたんだけど実は俺達の親父のギャンブル癖は今に始まった事じゃ無かったんだがまだマシになった方なんだよ。」
確かに気づけば競艇場やらパチンコ屋に行っている様に思える「全知全能の神」、和やかでゆったりとした生活を送っているのは良いが本当に神がそんなんで良いのかと思ってしまう。
好美「確かにこの前もパチンコで負けたって言ってましたよね、と言うか今更なんですけど天界にパチンコ屋ってあるんですね。」
クォーツ「実はな、親父がこの世界を転生者に合わせて色々と作り替えた時に天界にギャンブル場を造りまくったらしいんだよ。前からちょこちょこと地球(いや日本)を散策して気に入った物をこっちの世界にもと思って天界と下界の両方に施設を自分勝手に作ったって聞いたぜ、ただそれが意外と両方の世界の住民達にウケたみたいだから俺も反対できなくなっちまってな。小遣い程度にやってるだけみたいだからって出来るだけ止めはしない様にしているんだが昔はそれ以上に浮気癖も酷くてよ、俺が産まれた200年後に愛人との間に出来たのがコイツ。事実上は本来コイツが次女で、「「一柱の神」の1柱」って訳。」
好美「あの・・・、「事実上」と言うのは?」
クォーツ「コイツが産まれた数年後に母親のサラマンダーがコイツを連れて逃げる様に引っ越しちまったからセリーとトゥーチはこの事実を知らないんだよ、俺もいずれは話さないといけないんじゃないかと親父に聞いてみたんだが頑なに拒否されてな。まだ4姉妹だという事を奴らが知らないんだ、だから「事実上」って訳。」
すると長女の放った一言に食らいついたエリュー、ただ先程とは打って変った様子なのだが・・・?
エリュー「姉御、まだあいつらは俺の事を知らないのかよ。くそ親父も話す気が無いんじゃないのか?それと俺のお袋は「サラマンダー」じゃねぇ、「アーク・サラマンダー」だ。いい加減覚えろや。」
おいおい、急に口調が悪くなりやがったな。と言うか気になったんだが4姉妹の内の3柱が結愛と同じ口調って良いのかよ。
結愛「おい、ちょっと待てよ。それじゃ俺の口調が悪いみたいじゃねぇか!!これは義弘に対する反感の気持ちの表れなんだから良いだろうが!!」
クォーツ「あのな、世の中の事柄には何でも理由があるはずなんだからそれを聞かずに否定するのは良くねぇぞ。」
エリュー「俺だってな、姉御を呼ぶ度にあの口調をするの嫌なんだぞ!!」
-228 夜勤時にやってた「儀式」の下らない理由-
またもや放っておけない一言が飛び出したが何となく事件の解決が遠のきそうなので今は触れるべきではないと個人的に思ってしまったけどきっとこいつらは聞くんだろうなと密かにため息をつく俺、もう良いから適当にやってくれや。
好美「嫌々でやってた・・・、んですか?エリュー・・・、神様。」
エリュー「止めてくれよ、他人行儀にされるのは堅苦しくて嫌いなんだよ。お願いだから今まで通りエリューって呼んでくれよ。」
堅苦しいのが苦手と言う性格まで結愛に似てやがる、これは何かの暗示なのだろうか。
好美「じゃあエリュー、いつもの「あれ」って嫌々でやってたの?」
エリュー「そりゃあそうさ、ただただ腹ペコになった実の姉を呼び出すのに何であんなに大袈裟な事をしなきゃいけないんだよ。そもそも好美もおかしいと思わないのか?お供え物が「一晩置いたカレー」だぞ、もう馬鹿馬鹿しくて仕方が無ぇわ。」
エリューが飽きれていたのは「儀式」の事だと俺も含めてそこにいた全員が分かっていたのだが、別の解釈をしてしまっていたのが約1名。おっと・・・、約1柱。
クォーツ「お前な、光さんが作った「一晩置いたカレー」を馬鹿にしてんじゃねぇ!!俺はあれ以上に美味い物を食った事がねぇ、約3000年生きてきたが一度もだ!!」
かの有名な「一柱の神」の口から出た一言に唖然とする一同、正直今まで何を食ってきたのかを聞きたかったが今はやめておいた方が賢明か。
エリュー「じゃあ今まで何を食って来たんだよ、答えによっては「一柱の神」という言葉に傷が付いちまうぞ!!」
あ、妹さんが聞いてくれたわ。何か・・・、あざっす。
クォーツ「仕方がねぇだろ、母ちゃんの料理がくそ不味かったんだからよ!!一番マシな料理(?)がマヨネーズをかけた茹でアスパラガスだぞ、思い出すだけで恥ずかしくなっちまうわ!!」
そう言えば以前、トゥーチがハヤシライスに惚れていた様なそうでなかった様な・・・。まさかその様な原因があったなんて、人間界では偶に聞く話だが天界でもあり得るんだな。
クォーツ「てめぇ食った事があんのかよ、食った事があるってのかよ!!」
エリュー「あるよ、王城での夜勤の時に何回も食わせて貰ったよ!!確かに美味いよ、それは認めるさ!!ただ1週間に一度の楽しみに協力させられる俺の身にもなってくれ!!」
近年は神々が地上に降り立つ場面が増えて来てはいたがやはりハイラ達の様にまだその様な光景に慣れていない者もいなくはない。
エリュー「でも光さんや好美達の前では何度も降りているんだろ?「儀式」無しで普通に降りちゃ駄目なのかよ!!」
妹に正論を言われた長女は少し後ずさりしたがこのまま引き下がるのも釈然としないので何とか反論してみる事に。
クォーツ「確かにそうだけどよ・・・、ただ・・・、俺達は神なんだぞ!!カッコよく降りて来ても良いじゃねぇかよ!!」
エリュー「そんな下らない理由かよ!!もっと神らしい事を言えや!!」
クォーツ「その場の雰囲気を大切にしたいって時もあるだろ、やはり神として神らしく・・・、神々しく降りて来ちゃいけないのかよ!!」
エリュー「馬鹿か、いちいち「呼び出し」をしなくちゃいけねぇ俺の身にもなれ!!」
あらあら、もう「儀式」とも言わなくなっちゃったよ。「呆れ」の力ってそこまで強大な物なのか?
クォーツ「だってよ・・・、折角綺麗な月が出ていたんだから神々しく登場したいじゃん・・・。」
エリュー「そう言うけど雨の日だってちゃんと呼び出せってうるさかったじゃねぇかよ、大き目の1部屋を使うのに将軍長を説得するの苦労したんだから感謝しろよな。それに・・・。」
クォーツ「「それに」・・・、って何だよ。気になるから早く言えって。」
大きくため息をつく妹、やっと姉妹の喧嘩が終わりを告げるのだろうか。
エリュー「あのカレーならより具沢山になったものが光さんの御主人のお店で普通に食えるぞ、変装でもして行って来いや。」
クォーツ「あのな・・・、俺はそこまで有名じゃねぇ!!」
そっちかい!!




