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図鑑を見なきゃ分からない存在って・・・。
-223 「龍」は敵だけでは無い-
数分後、所長が駆け足で自室から取って来た魔獣図鑑をじっくりと眺めた好美はこの世界に来てから未だに会った事の無い強大な魔獣の存在に開いた口が塞がらない思いでいた。自分なんかよりもはるか昔(?)にこっちの世界へと転生してきた光や渚からもこう言った話を聞いた事が無かったからだ、確かに好美自身がこの3国のみの世界から外に出た事は無い事は確かだがやはり「論より証拠」と言わんばかりで未だに存在を認めたくはないという気持ちが無かったと言えば嘘になる。
好美「えっと・・・、黒龍の上位種で混沌と女性の象徴されると同時に女性として描写される事が多い。ただし、ネフェテルサ、バルファイ、そしてダンラルタの3国でその姿を目にした事がある者はいなかったという・・・、ですって。」
図鑑に書いてあった通りの言葉をじっくりと読み込んだ好美の横からそこにいた全員にとって聞き覚えの無い女性の声がした、と言っても俺個人とすれば前回より久々の登場だから少し歳を取って成長したので仕方ないかと言う気持ちでもあったが。
女性「確かにブラックドラゴン自体がこの世界に出現するのは何百年ぶりだって言われています、正直私も大切な友達を勘違いしてしまったという経験をしてしまいましたので。」
好美「その声は・・・。」
全員が声のした事務室の入り口の方向へと振り向くとまるで結愛の様なパンツスーツの女性が立っていた、ただ少し長めの金髪で社長とは少し雰囲気が違う様に思われた。
ハイラ「あの・・・、誠に失礼ですが私自身が何もお伺いしていませんのでお名前を頂戴しても宜しいでしょうか。」
女性「これは所長さん、申し訳ありません。こちらのギルドカードで宜しければご覧いただけますか?」
ハイラは女性から手渡されたギルドカードを見て驚きを隠せずにいた、まさか自らの人生の上で目の前にいる「貴重な人物」に会う事が出来るとは思わなかったからだ。
ハイラ「「上級古龍使い(エンシェント・ドラゴンマスター)」、貴女本当なんですか?!」
女性「本当ですよ、ギルドカードは偽装のしようがないので。」
女性はずっと冷静を保っていた、嘘をついている訳ではないので勿論の事だろうか。そんな中で好美はハイラの持っていたギルドカードを改めて見てみた、そう言えばネフェテルサ王国にいる知り合いからこんな話を聞いた様な・・・。
好美「確かネフェテルサの王族にその様な方がいらっしゃると聞いた事がある様な・・・。」
女性「良かった、そうでしたら話は早いですね。」
ハイラ「あの・・・、どう言う事ですか?」
好美「ハイラさん、ギルドカードに書かれている名前を見て頂けますか?」
ハイラ「名前・・・、ですか・・・。」
ハイラはギルドカードの1番上に記載されていた名前を見て驚愕した。
ハイラ「えっ・・・、「ペプリ・ネフェテルサ」ですって?!まさかネフェテルサ王国の王女様?!」
好美「う・・・、噂は本当だったんだ・・・。でもどうしてその様な高貴なお方がこんな所に?!」
好美は意味が分からなかった、すぐ近くのダンラルタ王国の者が来るなら話は分からなくはないがどうして隣国のネフェテルサ王国の・・・、しかも王女様が?!
ペプリ「先程テレビのニュースを見て来たんですよ、それに光さんからここに守さんと好美さんがいるとお伺い致しまして。宜しければ私にも調査を手伝わせて頂けませんか?」
少し見ない間に大人になったなと感心してしまう俺、ただ本当に成長しかどうかは分からない。
好美「光さんからですか、相変わらずあの人はお喋りだな・・・。」
守「でも姉ちゃんが言うんだから信用できるわな、でも相手は黒龍だから古龍とは別物じゃ無いのか?」
好美「そこなのよ、同じ龍族でも互いに干渉し合わないってエリュー(一緒に働くサラマンダー)も言ってたから間違いないと思うの。」
頭を抱える好美達の会話を聞いていたのか、空から白髪の女性がゆっくりと降りて来た。
女性「確かに俺達と奴らは全くもって別物だ、でも皆には今までの恩義というものがあるからそれなりに協力させてくれよ。」
流石は神(?)




