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220

視点は十人十色、夫婦でも違う事はよくあるのだ


-220 社長と副社長の視点-


 以前設置されていた監視カメラの映像を眺めていた副社長はずっと親指の先を軽く噛んでいた、どうやら本人が先程から言っていた「嫌な予感」が本当に当たってしまった様だ。


光明「義弘め・・・、ずっと同じ映像が流れる様に監視カメラをいじくってやがったか。」


 妻が気付いた通りに画面の中にいた義弘が動かずにいた事も根拠として言えるのだが光明は別の視点からの根拠を見つけていた、一見単純な物だと思われるが久々に見た義弘の姿に震えが止まらなくなっていたので気付かなかった様だ。大企業の社長と言ってもやはり人間、小さな見落としも十分にあり得る。


結愛「死んだ様にずっと動いてないから俺も「まさか」と思っていたが光明もそう思うか?」

光明「ああ、それに端に映っている窓を見てくれるか?」

結愛「窓だって?!」


 結愛達は光明が指差した方向へと目線を動かした、それから数秒後・・・。


守「ん?!そ・・・、そうか!!」


 1人で何かに気付いた守の袖をぐっと掴みながら訳が分からなくなっている好美はせがむ様に彼氏が気付いた事を聞き出す事にした。


好美「何、何が「そうか!!」なの?」

守「ほら、映像に映っている時間帯表示を照らし合わせながら端に映る窓を見てみろよ。」


 恋人に言われた通りにする好美・・・、右下に表示されている時間帯表示は午後8時を示していたが窓の景色は変わらず牢獄全体も昼間の様に明るいままだった。


好美「あれ?このカメラって時間帯表示が壊れているのかな、ずっと昼間みたい。」

光明「そうなんだ、早送りだが正確に映っている時間帯表示はちゃんと動いているのにも関わらずずっと牢獄の中には日光が差し込んでいるんだ、この事から義弘がずっと同じ映像が録画されていく様にカメラ自体をいじくったという事が分かるんだよ。」


 光明の推理を聞いて結愛は少し違和感を感じていた、本当は嫌だったが元の世界にいた頃の父親の姿を少し思い出していた。


結愛「でもよ・・・、光明には悪いけど何となくそうとは思えないんだよ。」

光明「あくまで推理というか推測だから構わないよ、それよりどういう事か教えてくれないか?」

結愛「光明じゃあるまいし、義弘の奴がカメラをいじれると思えないんだが。」


 基本的に機械のセッティング等は黒服達を中心とした周囲の人間に任せっきりだったので機械に改造を施せるほどの技術を持っているとは思えなかったのだ、そこで光明は監視カメラ自体を直に見てみる事にした。


挿絵(By みてみん)


光明「ハイラさん、当社の機械に交換する前の監視カメラは保管されていますか?」

ハイラ「はい、所長室の奥にある隠し金庫の中で厳重に保管しています。」

光明「そこまでですか?ただのカメラですよ、少し大袈裟過ぎやしませんか?」


 光明の意見は分からなくもない、しかし「たかがカメラ」ではなく「されどカメラ」だった様だ。ハイラに大型モニターを元の映像に戻して貰った一同は一先ず事務所を離れて所長室へと戻る事にした、自室へと入った所長は部屋の隅で壁の一部を取り外して中から金庫を取り出した。ダイヤル式のロックで厳重に管理されている様に見受けられるのが一目瞭然であったのは言うまでもない、ただ問題が一つ。


好美「ハイラさん、いちいちメモを見ないと回せないんですか?長い間所長をされているんですよね?」


 確かにそうだ、先程の副所長の言葉から最低でも15年以上ここの所長を務めている事が分かっている。


ハイラ「私自身忘れやすい性格なんでメモを見ながらでないと安心して回せないんですよ、3回外したら大騒動になってしまいますので。」


 これはこれで大袈裟ではないかと思う一同、しかし全員の心中の察したのか後から所長室に入って来た副所長が横入りして簡単に説明した。


ムクル「ハイラさんに代わって私が説明致しましょう、その金庫なんですが3回ダイヤルを間違えてしまうと暫くの間鍵が開かなくなってしまう上にいじけて出て来なくなっちゃうんですよ。」


どう言う事?

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