212
光明の現在が気になる結愛。
-212 新兵器と護身用兵器-
社長夫妻がこの世界に転生してから今に至るまでこの様な事は無かった、携帯電話若しくは固定電話関係なく光明は何があっても必ず結愛からの電話に出る様にしていた。ハッキリ言ってこんな事は初めてだ、下手すれば線状降水帯レベルの大雨でも降るのではないか・・・?
一旦所長室に戻った結愛は所長が淹れてくれた紅茶を飲みつつ少し時間を置いて再度電話をかける事にした、個人的にはオレンジジュース(若しくはコーラ)が飲みたかったが決して今は言ってはいけないタイミングだ(と言うより正直に言ってしまえば我儘キャラが根付いてしまうのでそれは困りものになってしまう)。
結愛「光明の奴・・・、いつまで話してるつもりなんだよ。まさか俺という可愛い(?)妻がいるというのに別の女と遊んでいる訳じゃないよな・・・。」
「最悪の高校時代」から一途に結愛の事を想っていた光明に限ってその様な事は無いと思うのだが、ただ最近の2人は会う度に喧嘩ばかりしているイメージがあったのでもしかしたら・・・。
結愛「てめぇな、この前だって家であれやこれやをしたというのに馬鹿な事を言ってんじゃねえぞ。それとさっきから気になってたが俺の台詞に何で「?(はてな)」が付いてんだよ、何処からどう見ても可愛い女子だろうがよ!!」
結愛、はっきり言わせて貰うけど「?」でも我慢した方なんだぞ。それとこれは個人的なイメージだけど、可愛い女子はそんな乱暴な口調はしないの!!
結愛「こんなキャラにしたのは誰なんだよ!!俺は生まれてから(そして死んでから)ずっとこれでいるんだから今更キャラを変えろだなんて言われても無理な相談だぞ!!」
そっすか・・・、だったらそれを貫いて下さいよ・・・。俺なんかと違ってご結婚もされているんでもう何も言わないでおいて話を進める事にします・・・。
結愛は給湯室の固定電話での連絡を諦めて自分の持っている携帯電話を使用する事にした、でも確かここって電波が通って無いはずだからどうするつもりなんだろうか。
結愛「はぁ~・・・、このタイミングであれを使う事になるとはな・・・。『念話』が使えないなんてな、これ以上不便な事なんてないぜ。」
社長の一言はかなり大きな独り言だったので隣にいた守達に丸聞こえだった、まさかと思うがこのタイミングで会社の宣伝をしようと考えてはいないか?
結愛「何だよ、流石に俺だって空気をちゃんと読むわ。緊急事態が起きてるってのに宣伝なんてする馬鹿が何処にいるってんだよ。」
守「それより結愛、「あれ」って何なんだよ。気になるじゃねぇか。」
確かにどうしても周りが気になってしまう独り言の言い方だな、「あれ」が何なのか聞かせてもらおうか。
結愛「そうだよな、悪かった。実は以前『作成』で作った人工衛星を打ち上げたんだけど用途を全く考えずにその場のノリで作ったもんだからちゃんと使えるかどうかを確かめて無いんだよ、一応テストとして俺と光明専用の無線機の電波が出る様にしてんだけどずっとほったらかしだったから正常に作動するかどうか。」
好美「物は試しって言うじゃない、一先ず光明さんに呼びかけてみたら?」
結愛「分かったよ・・・、ちょっと待ってろ・・・。」
結愛は『アイテムボックス』からバブル時代に流行った肩掛け式の電話を取り出した、貝塚財閥の製品(?)にしては偉く古い物が出て来た気がしたのは俺だけだろうか。
結愛「あ、間違えた。これは今度義弘に会った時使う用としてじいちゃんの物をこっそりパクったやつだ。」
守「おいおい、会長ってそんな時代遅れの物を使ってたのか?」
結愛「いや、今(結愛が死ぬ直前)は俺達と同じ様にスマホを使っているんだぜ。これは俺がガキの時にじいちゃんに貰った思い出の品ってやつなんだ。」
好美「でもその「思い出の品」で何をするつもりだったの・・・?」
結愛「いや・・・、えっと・・・、その・・・。」
俺は個人的に結愛が何をするつもりだったのか想像したくなかったが、きっと真っ赤な飛沫が飛び散っている悲惨な光景になりそうな・・・。
結愛「使わない事を祈っているがな、飽くまで「護身用」って奴だよ。」
結愛本人は「護身用」と言ってはいるが持って来る物はもう少し考えるべきだと思うのだが、と言うか勝手に御遺族の物をパクって来んな!!
可哀想な博・・・。