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208

無事に事が運べばいいんだが・・・。


-208 対策が弊害に-


 父親の事が大好きで強制収容所の所長と同じくらいに泣き虫のマイコニドを守が必死に宥める中で友人の言葉に甘えた大企業の社長は貝塚警備の支社長に連絡を取る為に隣の給湯室へと向かった、そこでは丁度所長が紅茶を新しく淹れなおしていた最中であった。


ハイラ「どうかされました?もうちょっとで美味しい紅茶が出来上がるんですけど。」

結愛「所長さん、紅茶は楽しみなんですけど一先ず支社に連絡だけしようと思いまして。」

ハイラ「連絡・・・、ですか・・・。出来ますかね・・・。」


 ハイラの言葉の意味が分からなかった結愛は一先ず懐からスマホを取り出した、そして電話帳の画面を開こうとした時に所長の言葉の意味を知る事になった。


結愛「うそ・・・、マジかよ・・・。」


 そう、強制収容所のある孤島には携帯電話の電波が届いていなかったのだ。よく考えてみればこの孤島に来てすぐに会った係員のヂラークもインカムで話していたのはそのためだと思われた。


結愛「畜生・・・、気は乗らねぇがやってみるか・・・。」


 結愛は試しに夫・光明へと『念話』を飛ばしてみたがやはり反応が無い、実は先程以上に自分の魔力が著しく低下している事を感じていたので嫌な予感がしていたのだった。


結愛「何も使えないのかよ・・・、これじゃあ誰とも連絡が取れないじゃんかよ。」


 舌打ちを連発する結愛の横を淹れたばかりの紅茶が入ったポットを抱えた所長が偶然通りかかった、正直何回お茶を淹れに行けば気が済むんだと聞きたいが今はそれ所では無い。


ハイラ「あら、社長さんに言ってませんでしたっけ。」

結愛「所長さん・・・、何かあったんですか?」


 本来の業務上のレイトと同様に結愛もこの強制収容所に常駐していないので知らない事があって当然だ、1人困惑していたネクロマンサーはどうして夫と連絡を取ることが出来ないのか不思議で仕方が無いので所長の言葉に耳を傾ける事にしたのだった。


挿絵(By みてみん)


ハイラ「実は以前監視カメラの設置等を委託してた業者の方が忘れて行ったものだと思うんですけど、収容所内における情報の傍受や漏洩を防ぐ為の対策の1つとして携帯電話の電波を妨害する機器を設置したままになっているんです。ただ係員の間での連絡が取れないと困るからと周波数の違う電波を使用するインカムを用意して頂いたので折角だからそのままにしておこうという意見に纏まったんですよ、それから島の外の方々とは数か所に設置してある固定電話でしか連絡を取らない様になっていたんです。」


 所長の言葉で携帯が使えなくなった理由については十分納得したつもりだったが『念話』を使う事が出来ない今の結愛にとってこれ以上に不便な事はない、一先ず何とか支社や本社に連絡する方法が欲しかったのでハイラに許可を得る事にした。


結愛「所長さん、こちらのお電話をお借りしても宜しいでしょうか。」


 給湯室の壁にかけられていた固定電話を指差した結愛。


ハイラ「勿論です、私共にご協力出来る事があれば何でも仰ってください。」

結愛「助かります、お言葉に甘えさせて頂きます。」


 ハイラから許可を得た結愛はすぐ傍にあった固定電話の受話器を取って本社にいると思われる光明に電話をかけようとした、ただ受話器を外してから次の瞬間に手が止まってしまった。


結愛「あ・・・、あれ?」

ハイラ「あの社長さん、どうしました?」


 きっと誰もが通ると思われる事だと思われたが結愛は今までスマホを使って連絡を取っていた(ましてや『念話』を使っていた)身なので今まで電話番号を押す事が無かったから本社にある自分のデスクの電話番号を覚えていなかった、正直こんな事は元の世界にいた頃以来だったので焦っていたのが誰から見ても分かった。


結愛「大丈夫です、些細な事なんで。」

ハイラ「まさかご自分の会社の番号がお分かりにならないんですか?」


 大企業の代表取締役社長として今の状況はどうなのかと思ってしまうが今はツッコミを入れている場合ではない、しかし結愛は恥ずかしくなりながらスマホの電話帳を見ていた。


よくある件

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