205
またですか・・・?
-205 許される為に-
所長の真っ直ぐな言葉に口をまごつかせる副所長が少し顔が赤くなっていた気がした恋人達はどこからどう見てもムクルが片思いをしている様に見えていた、しかし本人がおどおどとしていた理由は別であった。勿論、「あれ」である。
所長「ムクルさん・・・、私に・・・、嘘ついたんですか・・・?」
再び泣き出しそうになっていた所長、何処からどう見てもムクルがやらかした様にしか思えない。ただ折角素に戻っていたというのにこれではなかなか話が進まない、早く所長をあやして貰いたいのだが・・・。
ムクル「ああ・・・、所長、申し訳ありません。今度所長が大好きなソフトキャンディー買って来てあげますから許して下さいよ・・・。」
別に悪い訳では無いのだがソフトキャンディーで上司を何とか宥めようとする副所長、本当にこんな調子で大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。
所長「うっ・・・、うっ・・・、何味?」
正直「そこかよ」と突っ込みたくなったが今は所長の機嫌を直す事が先決である。
ムクル「えっと・・・、グレープ味でよろしいでしょうか。」
結構チョイスがベタな気がするが、本当に良いのか?
所長「ねぇ・・・、ラムネ・・・、ラムネ味じゃ駄目なの?」
ムクル「ラムネ味ね、今度近くの雑貨屋で買って来ますから許して下さいね。」
転生者達が見守る中ラムネ味のソフトキャンディーが手に入る事が確約された所長は一気に機嫌を直した、ただこの孤島に一番近い雑貨屋を含めて3国にある店という店で今ラムネ味のソフトキャンディーが入手困難となっているのだが大丈夫なのだろうか。
所長「明日には買って来てね、約束だよ!!」
因みに入手困難なそのソフトキャンディーは最短でも入荷が1週間先となっている上に人気のラムネ味は発注しても生産量自体が少ないので必ず店に商品が来るとは限らない。
ムクル「わ・・・、分かりました。分かりましたのでお客様方への対応をお願い出来ますでしょうか。」
おいおい、本当にそんな約束して大丈夫か?もし買えず仕舞いだったら明日また大泣きするかも知れないぞ。
まぁ、良いか。どうせ俺には何の関係もない事だから話を進める事にしようかね。
所長「大変失礼致しました、私ここの所長をしておりますハイラと申します。」
再び御手洗から戻ってきたハイラはトイレの個室でやっと見つけ出した名刺を差し出しながらソファに座りすっかり冷めてしまった紅茶を口にした、そんな中ムクルはいい機会だと思って以前から気になっていた事を聞いてみる事にした。
ハイラ「あらま、私の癖の所為で折角のお茶がすっかり冷めてしまいましたね。あちらで淹れなおしてきますね。」
ムクル「あの所長、その前によろしいですか?」
こら、お茶を淹れようとするタイミングで話しかけたらまた泣きだしちゃうんじゃないのか?
ハイラ「何よ、今お楽しみのお茶タイムなのに・・・。」
ムクル「お許しください、ソフトキャンディー2個買って来ますので。」
因みに近くの店では「お一人様1個まで」という個数制限が設けられている。
ハイラ「じゃあグレープも買って来てくれたら許してあげる、それで何なの?」
未だに「子供モード」から戻らないハイラ、多分トイレに行く間が無かったからだと推測される。
ムクル「あの・・・、先日もお伺い致しましたが監視カメラの委託業者の方はどちらにおられるのですか?宜しければお会いさせて頂きたいのですが。」
ハイラ「人見知りが激しい方なんですが、皆さんとはもうお会いしているみたいですよ?」
意味不明・・・。




