②
2人は引っ越し作業を進めて行った。
-② レベル違いなプレゼント-
早速2人はケデールから送られてきた荷物を好美の家の空き部屋へと入って行った、まさか今でも未開の地があったとは、作者としても驚かされる。
好美「すみません、ケデールさん。お忙しいのにお手伝い頂いちゃって。」
ケデール「良いんだよ、好美ちゃんにはいつも贔屓にしてもらっているからね。それより守が迷惑をかけていないかい?」
好美「昨日の今日で何かトラブルがあったらビックリですよ、大丈夫です。ご心配なく。それにしても良いんですか?いきなり守を有休にして貰っちゃって、この時期お店お忙しいんでしょう。」
ケデール「気にしなくても良いよ、それにちゃんと従業員に有休を与えないとそれこそ法律違反になっちゃうからね。」
どうやらこの世界にも日本の「働き方改革」の様な物が存在する様だ。そんな中、守は1人表情を曇らせていた。目の前の恋人はこっちの世界に来た時も一途に自分の事を想っていてくれたというのに、それに対して自分はどうなんだ。例え軽い気持ちでは無かったとしても、一度好美の事を裏切ってしまった様な気がしてならなかった。
1人浮かない顔をしている守の心情を察したのか、実は事前に真希子から真帆の事を聞いていた好美は守の事をけしかけてみる事にした。
好美「ねぇ、守。私が死んでから他の女の子と付き合ったりしたの?」
「まずい・・・」と思った守は言葉を慎重に選びながら答えた、もしも一言でも誤ると大げんかになりかねない。
追い詰められた様な気分だった守は正直に話す事を選んだ。
守「実は幼少の頃からの幼馴染と付き合っていたんだ、真帆って言うんだけどね。その子も俺と同時に毒を盛られてこことは別の世界へ飛ばされたらしいんだ、今はあっちの世界で子供がいるらしい。」
好美は数秒の間沈黙した後突然笑い出した。
守「な・・・、何?」
好美「もう、何真面目な顔で語ってんの?ウケるんですけど!!」
目の前で大爆笑する恋人にどうする事の出来ない守は、1人立ちすくんでいた。
好美「あのね、こっちには結愛や真希子さんがいるんだよ。知ってたに決まってんじゃん。」
好美は涙ながらに笑い続けた。
守「結愛か、やられた!!」
好美は守が悔しがる中、話し続けた。
好美「それにね、真帆は私のはとこなの。全部筒抜けだったんだよ。」
実は守に好美からの手紙を渡す裏ではとこ同士の手紙の受け渡しをしていた結愛。
好美「ごめんごめん、お詫びと言っちゃなんだけど部屋をロフト付にしておいたから。」
守「えっ?!」
守は驚きを隠せなかった、先程荷物を運び込んだ時はロフトなど見当たらなかったからだ。改めて部屋を見廻してみると本当にロフトがあった。
守「良いの?大家さんに怒られない?」
好美「何言ってんの、私がここの大家だもん。良いに決まってんじゃん、それと・・・。」
2人はロフトへと上がり、奥にある小さな扉から外に出た、出た先には小さなバルコニーが。そして・・・。
好美「守用の露天風呂を作っちゃいました!!」
守はその場に倒れ込んだ、そしてこの世界は何でもありだと改めて実感した。
守「良いの?」
好美「私用もあるから構わないよ。」
そんな中、家の中から電話の音が。どうやら玄関横の内線らしい。守が電話を取ると相手は「暴徒の鱗」店長、イャンダ・コロニーだった。
イャンダの目的とは・・・。