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そう言えばこれ「コメディ」だったわ・・・。
-200 らしさ-
まるで英雄かの様に格好良く登場したつもりの「全能の神」だったが転生者達による質問によりその場にずっこけてしまった、ただ俺はそれを見て「おいおい空気を読めよ」と言う気持ちも無くもなかったがこのスタイルこそこの物語だなと頷きたくもなった。
ビクター「お前らな・・・、それって今言う事か?特に倉下好美、ボートには行ってたけど緊急事態だと思って致し方なく天界から降りて来たのだ。これを見ろ、私が競艇場を出た直後のレースが15万舟だぞ!!俺だったら絶対取れてたね!!」
上級古龍が最後に発した言葉は舟券を買ってない奴がよく言う台詞だと思われるが正直言って今はそんな事を話している場合じゃないという事は誰にでも分かっていた、転生者達のお陰でその場の雰囲気が和んだのでビクターは本題に戻る事にしたが正直言って未だに今自分が見ている光景を理解しきれていない者が約1名。
リンガルス「あのすみません・・・、こちらの紳士の方は?」
ビクター「おや、私の事を「紳士」なんて言ってくれるのか。長生きはするものだな。」
ビクターの言う「長生き」は桁外れな物であるが今掘り下げるのはどうかと思ってしまうのは俺だけだろうか、というか「一柱の神」って結構有名な存在じゃ無いのか?
結愛「警部がこうやって言うのも無理もないさ、ビクター神様はこの世界に降りたり人前に出現する度に姿をコロコロ変える事が多いからな。」
そう言えばそうだな、確か最初光の前に現れた時は髭を蓄えたおじいさんの姿だったか。
ビクター「悪かった悪かった、本当は古龍の姿のままいるべきだとは思うんだけどそれだと目立つし近隣の住民達の邪魔になるだろう。迷惑をかける訳にはいかないと思っていつも『人化』しているけどどの姿でいるべきか定まらなくてね、いつも迷っているんだよ。」
好美「じゃあいっその事その姿にすれば良いじゃないですか?しっくりするし私は好きですよ。」
「好美の好み」か・・・、フッ・・・。
好美「ああ!!今鼻で笑ったでしょ、それじゃ私がスベったみたいじゃない。」
えっ?お前まさか俺がこう言うとウケると思っていたのか?
好美「それは無いけど・・・、別に私の事は良いじゃん!!いつ本題に戻るのよ!!」
そうだな、すまんすまん。それで?どうして結愛の考えがあり得ないと神様は仰っていたんですか?
ビクター「そうだよ、それを話しに来たんだよ。あのな、確かにお前らが言う「義弘派閥」の重岡という奴がこの世界に来たのは知っているよ?でも義弘程では無かったけど素行が悪かったからそいつにも、実は義弘にも1京円を与えなかったんだ。それに重岡に至ってはこっちの世界で全く働こうとしていなかったから無一文、だから超が付く程の高額である保釈金を払うのは全くもって不可能だという事だ。」
因みに茂手木は守の元恋人である森田真帆と同様に管轄外の別世界へと飛ばされてしまった様だ、兎に角結愛達はこの後どうするべきかが分かったのでリンガルスの運転する覆面パトカーへと乗り込んだ。
守「まさか何も悪い事していないのにパトカーに乗る事になるなんて・・・。」
ため息をつく守に結愛は悪戯心たっぷりのジョークをかました。
結愛「何言ってんだよ、お前は好美ちゃんのファーストキスとかを奪った癖にはとこの真帆ちゃんと付き合ってたじゃねぇか。」
リンガルス「ああー、それはいけませんね。ある意味銃刀法違反ですね。」
何を以って警部が「銃刀法違反」と言ったのかを想像したくはない、ただついついいけない想像をしてしまった好美達は顔を赤くしていた。
好美「結愛・・・、昼間っから何馬鹿な事言ってんのよ。」
結愛「ハハハ・・・、悪かったよ。でも少しは場が和んだだろ?」
確かに場は和んだ、しかし恋人達の顔は未だに赤いままだった。
結愛「お前らこそ昼間から何を想像してんだよ。」
守「べ・・・、別に何もねぇよ・・・。」
赤くなったところが何か怪しい。