199
2人は可能な限り捜査に協力する事にした。
-199 過去を思い出して-
恋人達は貝塚学園の入学センター長を兼任するアーク・ワイズマンのリンガルス警部に話せるだけの事を話した、先程結愛の話を含めた『念話』が上手く行かなくなった事や渚の『転送』により送られた荷物が的外れの場所に届いてしまっていた事等だ。しかしその場にいた転生者達の心中には共通してある疑問が生じていた、今回の義弘脱獄事件に転生者達の能力が関係しているのだろうか。
一先ず社長達の疑問を解決するためにリンガルスは3国警察の、しかもそのごく一部の者しか知らない重要事項を思い出していた。これが事件解決の糸口になれば・・・、という一心での行動に俺は敬意を表するばかりであった。
リンガルス「それでは皆さんに一つ質問です、ネルパオン強制収容所では貝塚義弘の様な強大な魔力を持つ犯罪者達をどういった方法で幽閉していると思いますか?」
結愛は以前望まないままに行った父親との面会での事を思い出した、あの時の義弘はどの様な様子だっただろうか。
結愛「確か・・・、手枷と足枷を付けられていた様な。」
リンガルス「そうです、実はあの手枷と足枷はとある国にひっそりと住む少数民族達しか掘削する事が許されていない希少な鉱石を使った特別製でどんな強大な魔力でも封じてしまうというとんでもない物なんです。実は私もその掘削の現場や少数民族の住む国も知りません、ましてやどの様な種族の民族なのかも知りません。ただ今言える事は両方の枷の鍵を持っているのは強制収容所長や選ばれた職員達と今申し上げた少数民族の長のみだという事だけなんです。もしかしたらその中に協力者(裏切者)がいるのかも知れません。」
結愛「ただな・・・、1つ引っ掛かる事があるんだ・・・。」
守・好美「何・・・?」
結愛は元の世界にいた頃、それも「最悪の高校時代」が幕を下ろしてから数日後の事を思い出していた。
結愛「守・・・、義弘は元の世界にいた頃にどのようにして刑務所を出たか覚えているか?」
守「確か・・・、あの頃は義弘派閥の・・・、あーっ!!」
結愛「思い出したか・・・。」
同級生として高校時代を過ごした2人の間のみで展開される会話に全くついて行く事が出来なくなってしまっている好美とリンガルスは何となくだが疎外感を感じてならなかった、一体守は何を思い出したのだろうか。
好美「何よ、こんな時に2人だけで盛り上がらないでくれる?」
リンガルス「恐れ入りますが私達にも分かる様にご説明をお願い出来ますでしょうか。」
結愛「悪い、実は俺達は高校時代に会社の緊急株主総会に出席した事があったんだけどさ。」
守「うんうん、あの時は英雄の様にやって来た母ちゃんが格好よかったんだよな・・・。」
いやいや、思い出すのは良いんだが脱線はしない方が良いんじゃ無いのか?
守「そうだな・・・、えっと・・・、そこで俺達は大株主の中に義弘にペコペコしてた奴らがいたのを見たんだよ。」
結愛「そうそう、まさか学校の先生に紛れているとは思わなかったな。」
おいおい、結愛まで脱線しようとすんなって・・・。
結愛「チィッ・・・、相も変わらず騒がしい作者だな・・・。」
こらテメェ、今何つった?!
結愛「何でもねぇよ・・・、はぁ・・・、「義弘派閥」って呼ばれてた今言った奴らの内の1人が逮捕されたばかりの義弘の為に保釈金を払って義弘を連れて逃げちまったんだよ。」
守「結愛は今回もその1人が裏で保釈金を払っていたんじゃ無いかって考えていたんだ。」
するとその時、天から聞き覚えのある声が響き渡った。
声「安心しろ、今聞いていたがそれは絶対にあり得ん!!」
転生者達「まさか、その声は・・・。」
そこにいた全員が窓を開けて外を見ると3人の声に答える様に天から巨大な龍が舞い降りた後に『人化』して見覚えのある男性の姿へと変身した、それを見た3人は堰が崩れたかの様に声をかけた。
結愛「あんたは・・・、ビクター神様!!」
守「あ・・・、あの時はご馳走様でした!!」
好美「あれ?今日はボート行かないんですか?」
おい好美、それ今聞く事か?