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198

こうなってしまっては仕方が無い・・・。


-198 「アイツ」の影響?-


 警部の申し出を受け入れた恋人達は折角の卒業旅行を中止せざるを得なかった、手枷足枷を付けられた死刑囚と言っても莫大な魔力を持つアーク・ワイズマンである貝塚財閥前社長が孤島の収容所から脱獄してしまったので事は一刻を争う。


結愛「馬鹿野郎、アイツの事を「前社長」って言ってんじゃねぇよ。奴は貝塚財閥の「汚点」だぞ、今俺や光明が苦労しているのは明らかにアイツの所為だって分かんねぇのかよ。」


 確かに義弘が行って来た鬼畜の所業の数々は誠に許しがたい、その気持ちは元の世界で結愛と共に貝塚学園に通っていた守も同じであった。それが故に理事長兼社長や入学センター長に自分も可能な限り協力したかったが1つ疑問が生じていた、さっきから感じていた「違和感」は何処から来るものなのだろうか。


守「なぁ結愛、さっきから気になっていた事があるんだけどお前に聞いても良いのかな。」

結愛(電話)「何だよ守、余所余所しいな。俺達は高校時代からの友達だろ、何でも気兼ねなく聞けよ。」


 確かに「あの頃」は2人共ただの同級生同士、しかし今守は「肉屋で働く豚の飼育員」で結愛は「大企業の代表取締役社長」なのでそれなりに距離を感じてしまう。しかしネクロマンサーによる気にしなくても良いと言わんばかりの対応と今はそれ所じゃないと言う気持ちの強さから素直に気になっている事を打ち明けてみる事にした、これはきっと助手席に座っている好美も同じだろうと思われた。


守「何でネクロマンサーのお前が『念話』じゃなくて電話にしてんだよ、『念話』の方が手間が省けるから良いんじゃねぇのか?」


 守の言う通りだ、父親程では無いが強大な魔力を得た結愛からすればいちいち機械を操作して電話するよりも『念話』を飛ばす方が数倍マシだと思われるが敢えて能力を使用しなかった理由は何だったのだろうか。


挿絵(By みてみん)


結愛(電話)「あのな、俺だって出来る事なら『念話』を使っていたさ。ただ『念話』どころか『察知』や『探知』も上手く出来なくなってんだよ、だから今回は緊急だから致し方なく電話を使う事にしたんだけどお前たちが携帯を持っていてくれて本当に助かったぜ。」

守「じゃあ・・・、実は俺達が今何処にいるのかも全く分からないって事なのか?」

結愛(電話)「いや、「全く」と言うと嘘になるな。ダンラルタ王国の何処かにいるのだけはぼんやりと分かるんだがそこまでだな、申し訳ないんだけど出来るだけダンラルタ王国から離れた方が良いと思うし詳しく話を聞きたいからうちの本社まで来てくれないか?」


 好美は守にカペンを路肩に止める様にお願いした上で『瞬間移動』で結愛のいる貝塚財閥本社に向かう事にした、しかし・・・。


好美「どうしよう、『察知』と『探知』が上手く行かない!!」


 今更発覚した事なのだが転生者達が受け継いで来た『瞬間移動』は『察知』と『探知』を応用したものだったのだ、しかし両方が上手く行かないとなると元も子もない。


結愛(電話)「バルファイ王国にある貝塚財閥や貝塚学園の場所も分からないか?」

好美「うん・・・、難しいかも・・・。」


 守は出来るだけ発言しない様にした、自分より圧倒的に長い間この世界にいる2人に意見したとしてどうにかなるとは思えなかったのだ。


結愛(電話)「一先ずゆっくりでも良いからこっちに近づいて来てくれ、今は何よりもその場から避難する事を優先するべきだろうからな。」


 決してネクロマンサーが言っている事は間違いでは無い、実は少しづつだが移動していたので丁度国境にいた2人は急ぎつつも安全を保つ形で貝塚財閥本社を目指した。

 十数分後、敷地内に巨大なビル群が並ぶ貝塚財閥本社の前に到着した恋人達を結愛が迎え入れた。


結愛「無事だったんだな、良かった!!さっき電話で話して貰ったリンガルス警部が待っているから一緒について来てくれ!!」


 社長の案内で貝塚学園の入学センターへと向かった2人は入学センター長に振舞われたコーヒーを啜りながらソファに座った、正直ここも安心して良い場所なのか分からないが身近で信頼出来る人間が誰もいないよりは幾分かはマシだ。


リンガルス「ご足労感謝致します、恐れながら私も社長も今回の事態を不審に思っていたので是非お話をお伺いしたかったんですよ。」

結愛「頼むよ、何でも良いからお前らに話せる事を何でも教えてくれないか?」


そこまで結愛が頭を下げるとは・・・。

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