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能力の失敗が続く転生者達
-193 おい!!-
顔を赤くしながら元の場所へと『瞬間移動』した渚が少しニヤついていた気がしていたが俺は何となくその理由を想像したくは無かった、しかしそこには不自然さがあったのでドゥーンは少し不穏に思いながら質問してみた。
ドゥーン「渚さん・・・、帰って来られて早々で聞きづらいんですが何かあったんですか?」
ただただ俯瞰で見ていた俺は酒類卸の店長を見て本当に勇気のある奴だなと思うばかりであった、そんな中でドゥーンに質問された渚はより一層顔を赤くしていた。
渚「馬鹿だね、女の私に何て事を聞くんだい。」
いや、ただ状況が分かっていないだけなのだが・・・。
渚「でもね、少し良い物を見た様な気分だったんだ。今ちょっと思い出したんだけど・・・、〇〇〇〇(自主規制)たね。」
あまり「○○○○」の中を想像しないで頂きたいと思いつつ話を進めて行くとしたいのだが空気の読めない者が約1名・・・。
ドゥーン「あの・・・、全くもって状況が分からないのですがちゃんと説明して頂けませんか?」
おい、聞くんじゃない!!空気読みやがれ!!
渚「だからね、私が『瞬間移動』したらうちの1号車の店主が・・・。」
あんたも改めて詳しく説明しようとせんでええ!!もう・・・、油断も隙も無いな・・・。取り敢えず食材が元に戻ったんだから早くランバルの所に送らないといけないだろうがよ、でもあれ・・・?そう言えば「ダンラルタ王城御中」になっていなかったか?
渚「そりゃそうさね、デカルトさんに頼まれた通り「ダンラルタ王城」で領収証を書いて貰ったからね。そうなって当然じゃ無いか。」
ただ俺は1つ不安に思っていた事があった、あのドケチな鬼嫁である王妃のプーラがデカルトの行動を簡単に許すとは思えない。王城の経費からすれば少額での投資になるのかも知れないが、一般人としての目線から考えると莫大な金額であったので領収証を見た時の王妃の表情を想像すると怖くなって来た。本当に大丈夫なのだろうか。
ドゥーン「一先ず食材が腐らない内に送ってしまった方が良いでしょう、今度は私がお送り致しましょうか?」
渚「大丈夫大丈夫、次こそ私がちゃんと送るさね。「暴徒の鱗」の信用を落とす訳にもいかないからね。」
ドゥーン「そうですか、では恐れ入りますがお願い出来ますでしょうか。」
改めて店主にお願いされた渚は落ち着く為に深呼吸した後に『転送』を行った、どうやら今回はちゃんとランバルの所へと送れた様だが・・・?
デカルト(念話)「渚さん、本当にリスト通りに買ったんですか?!想像していたよりも大量になっている様な気がするのですが・・・。」
実は割引を受けた事で調子に乗った渚はバルフ酒類卸で自分の屋台で使う用の食材をも購入していた、それが一緒に国王達がいる「鉱山下の大蜥蜴」へと『転送』されてしまったらしい。まさかと思うがこの食材も王城の金で買った訳じゃ無いよな?
渚「あんたは馬鹿かい、前にも言ったけど私がネコババする訳が無いじゃ無いか。ほら、ここに屋台の経費が入った封筒があるだろう?」
渚は自慢気になりながら封筒を胸の前で振っていた、ただ国王の事を蔑ろにするのは良くないと思うのだが・・・?
デカルト(念話)「あの・・・、聞こえてますかね?もしかして寝ちゃってます?」
渚(念話)「ああ・・・、悪かったね。ちょっとこっちで色々あってさ、間違えてうちで使う食材も送っちゃったみたいなんだよ。今から取りに行くから許しておくれ。」
デカルト(念話)「焦りましたよ、ただでさえ高額なので妻に何を言われるかと思ってヒヤヒヤしていたんですから。」
渚(念話)「あんたね、こんな事聞いて良いのか分からないけどそんな調子でよく国王が務まるね。」
腰の低さも度を越えてしまうのは良くないと思うのは俺だけだろうか、はぁ・・・。
この世界は本当に大丈夫なのだろうか