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186~187

流石に怒られないか?


-186 普段優しいコッカトリスは怒ると怖い-


 好美にこれ以上飲まれてたまるかと言わんばかりに焦った様子で手に持っていたコーラを一気に口にした守は国王の前だという事にも関わらず大きなゲップをしてしましった、第三者として様子を見ているだけの俺からすれば原因は好美にあるのか守にあるのかが分からない。しかし仲睦まじい恋人達の様子を見ていたデカルトは好美を乗せて地上に降り立った後にただただ笑うだけだったが顔が引きつっていない事を願うばかりであった。


守「王様、大変失礼致しました。申し訳ありません。」


 頭を深々と下げて謝る守、それに対して腰の低さに定評がある国王は全てを笑って許してくれた様だ。


挿絵(By みてみん)


デカルト「ハハハ・・・、楽しそうで何よりじゃないですか。私も学生時代に妻と付き合っていた頃の事を思い出してしまいましたよ。」


 デカルト達の学生時代が何年前の話なのかは全くもって想像がつきそうにも無かったが、今はハッキリ言ってどうでも良い話だ。と言うよりあんたら、ここには遊びに来た訳じゃ無いだろう?


守「分かってるよ、好美がいけないんだぞ。ずっと王様の背に乗って遊んでいたから。」

デカルト「まぁまぁ守さん、良いじゃないですか。誰だって何もかもを忘れて無邪気に楽しみたい時だってあるはずです、今回は私の顔に免じて許してあげて頂けませんか?」

守「王様がそう仰るなら・・・。」


 致し方なく好美を許した守、でも心中はずっともやもやしているままだった。


デカルト「一先ず入りましょう、このままだと大臣の弟さんに迷惑をかけるだけですから。」


 店に何の用事も無い訳では無いがこのままだとただの迷惑駐車だ、早く店に入った方が賢明だと皆が思うだろう。


好美「分かったよ・・・、早くこの問題を解決して旅行に戻りたいもん。」


 ビジネストークをしている時が多いので2人がまだ卒業旅行の最中だった事をついつい忘れてしまっていた俺、作者からすれば恋人達にはもっとほのぼのとした異世界ライフを楽しんで欲しいのだがそうは問屋が卸さないらしい。

 そんな中、店の中からずっと様子を伺っていたランバルは店にも入らずにずっと遊んでいる者達にしびれを切らして外に出て来た。


ランバル「あの・・・、うちの店の前でずっと何をされているんですか?」

デカルト「すみません、本当はすぐにお店の中に入ろうと思っていたのですがついつい楽しくなってしまいまして。」


 いつもと違う格好だからか、自分の目の前にいるのが国王だとなかなか気づかないランバル。やはりデカルトが小豆色のジャージで外に出て来るのはまずかったのではと思ってしまう。


ランバル「「店の中に入る」って・・・、うちはまだ都合が悪くて開店出来ない状態なんで何もご提供する事が出来ないんですよ。」

デカルト「その「お店の御都合」の為に私が来たんです、ご迷惑をお掛けした原因を作ってしまったのですから。本当に申し訳ございません。」

ランバル「謝らないで下さいよ、それより「原因を作ってしまった」とは・・・、ん?」


 目の前で頭を下げる男性の顔を改めてまじまじと見るランバル、想像上で数回程見た覚えのある服装を重ねてみると・・・。


ランバル「国王様では無いですか!!なぜこの様な寂れた所に?!」

デカルト「何を仰います、素敵なテーブルセットの揃った良いお店では無いですか。開店したら私も通わせて下さい。」

ランバル「王様自ら、恐れ多いですがそれはいつになる事やら。」

デカルト「先程申し上げた通りその原因を作った張本人は私でございます、明日にでも開店できる様に食材等を王城の方で手配させて下さい。」


 国王の言葉にじんわりと涙を流すランバル、しかし黙っていないのが兄の大臣だった。


ロラーシュ「そんな・・・、あんまりです!!個々の店主は他でも無いこの私なんですよ!!私の許可無しにどうして開店させようとしているんですか!!」

デカルト「ロラーシュ、この期に及んでまだその様な言葉を抜かすか。いい加減にしろ!!」


 今まででこの様なデカルトを見た事が有っただろうか、いや無いはずだ・・・。


-187 拘っているが故に-


 大臣の無責任な行動と発言に怒りがピークに達した国王はロラーシュを自宅謹慎処分にしようとしたがそれは流石に渚が許さなかった、屋台で修業をしている時のロラーシュの表情を一番間近で見ていた店主はぐんぐんと伸びる本人の実力を認めていたし買っていた。


渚「待っておくれ、国王様の気持ちは分かるけど私はどうなるんだい。もうすぐ自分の店を持てるまでの所までやっと来れたんだから最後までやらせてあげてくれないかい?」

デカルト「渚さん、これは王城内での話なんです。申し訳ありませんがもう少々お待ち頂けませんか。」


 大臣に対する怒りを露わにしつつもお世話になっている渚への敬意を忘れない国王、やはり何よりも国民を大切にしたいという信念が垣間見える。


ランバル「あの・・・、私が聞いて良いのか分かりませんが兄のお店はどうされるおつもりなんですか?」


 これに関してはロラーシュ本人も知らなかった様だ、正直腹が立って仕方が無いがそれが故の今回の行動だと思うと納得がいく。


デカルト「こうなってしまっては仕方がありませんね・・・。」


 国王が深くため息をついて落ち着きを取り戻して飲み水を求めたので素直に従うランバル、今自分に出来る事はきっとこれしかないと言わんばかりの様子と言った所か。


挿絵(By みてみん)


デカルト「ふぅ~・・・、ありがとうございます。さて、本題に入りましょう。確かにロラーシュには拉麵屋の修業をして来る様に申し上げたのは他でも無く私であります、しかしこんなに早く事が進んでしまうと思いませんでしたので新店の建設を未だ行っていなかったのです。実は王城の脇に随分前から使っていなかった物置代わりの平屋があるのですがそちらを改装して拉麵屋にしようと考えていたんです、しかし拉麵屋の修業は困難な物だとお伺いしておりましたのでまだ建設業者を呼んでいなかったのです。それが故に店の完成予定も未定でしたのでしびれを切らしたロラーシュの下に弟さんのお店の情報が入って今回の騒動になってしまった様です、本当に申し訳ございません。」


 改めて水を1口飲んだ後に深々と頭を下げる国王に物怖じしてしまう洋食屋の店主、まさか自分の夢だった店の開店が本当に国王を巻き込んでしまう騒動に発展してしまうとは思いもしなかった。


デカルト「あの・・・、恐れ入りますがお店の従業員は採用されているんですか?」


 確かに店を開店させたからって店員が全くいないと店が回らず仕舞いですぐに閉店に追い込まれてしまう、しかし開店がいつになるのかが全く見えていなかったので・・・。


ランバル「まだ1人も・・・、求人情報誌にも募集をかける事も出来ていないんです。この様な状況ですのでお気持ちは嬉しいのですが明日開店と仰られましても・・・。」

デカルト「そうですよね、なので本採用の従業員がある程度揃うまで王城から使用人を数名ほどお貸しいたしましょう。」


 国王の言葉に黙っていなかったのは大臣だ。


ロラーシュ「それはなりません!!王城だって人手不足だと言うのに何を仰っているのですか!!」

デカルト「お前の行動が原因だろう、お前にその台詞を吐く権利など無い!!各部署から数名ずつ引き抜けば何とかなるはずだ、迷惑も承知だが私が直接連絡を入れよう。お前には一切口出しはさせないからな、分かったら修業に戻るんだ。」

ロラーシュ「は・・・、はい・・・。」


 デカルトの叱責に肩を落としながら店の外に出るロラーシュ、流石に今回の叱責は効いたようだ。


デカルト「渚さんすみません、またうちの大臣がご迷惑をお掛けしますが宜しくお願い致します。」

渚「ロラーシュの事は私に任せな、今はこの店を開店する準備をしなきゃだろ。それに私にできる事があれば何でも言っておくれ。」

デカルト「何と心強い、では一先ず私は王城に戻って各部署に連絡を入れますので食材の準備をお願い出来ますか?領収証は私の名前でお願い致します。」


 デカルトのお願いを聞き入れた渚はランバルから必要な食材のリストを受け取ったがそれを見て驚愕していた、何故なら・・・。


渚「これ全部高級食材じゃ無いか、経費不足で今夜営業できるか不安になって来たよ・・・。」


お金戻って来るんだから良いじゃ無いか・・・。

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