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またロラーシュの所為で謝る事になるとは・・・。
-184 習わしを守る為-
突如現れた国王は地上に降り立ってすぐに『人化』し、転生者達が見慣れた男性の姿へと変身した。ただつい先程まで部屋の掃除を行っていたせいか、動きやすい恰好としてピューアと同じ小豆色のジャージを着ていた。何となくだが以前にも見た様な件があった様な気がするのは俺だけだろうか、確か前回は「赤鬼(渚)」ではなく「紫武者(真希子)」だったか。
渚「あんたね・・・、一応王様なんだから外に出る前には着替えたらどうなんだい。」
デカルト「すみません、王城の者がご迷惑をお掛けしていると聞いたので急いで行かなきゃと思ってこのまま来てしまいました。」
何よりも国民の事を大切に想うデカルトの信念の強さが故の行動に頭が上がらなかった3人、ただそんな中でも国王が来たにも関わらずにずっと読書に耽っている大臣の方に全員が視線を向けた。
デカルト「ロラーシュ、またお前は国民の方々にご迷惑をお掛けして申し訳ないと思わないのか。」
今頃になってやっと王が来た事に気付いたロラーシュ、よっぽど好きな本を読んでいたのか、それとも仕事なんてくそくらえと思ってしまっているのかと皆頭を抱えるばかりであった。
ロラーシュ「国王様、どうしてこの様な場所に?!しかもその様ななりで!!」
飽くまで白を切るロラーシュ、しかし国王の事を決して舐めてはいけない。
デカルト「好美さん達から聞いたぞ、弟さんがこれから開こうとしている洋食屋の開店をお前だけの都合で遅らせている上に店主としての権限を奪おうとしただと?!私はその様な事を命令した覚えはない、すぐに謝罪して開店の準備を手伝うのだ!!」
ロラーシュ「し・・・、しかし王様・・・。恐れながら申し上げます、私はこちらの渚さんの下での修業の真っ最中ですし、新しく店を造るのは流石に景観等の観点からまずいかと・・・。」
デカルトはロラーシュをより強く睨みつけた。
デカルト「何だ、私に口答えをするのか。」
ロラーシュ「いえ、とんでもないです!!申し訳ございません!!」
王の叱責により深く頭を下げた大臣の様子を見たデカルトは転生者達に声をかけた、その優しい口調からは王の腰の低さが伺えた。
デカルト「申し訳ありません、本人もこの通り反省していますのでお許し頂けませんか?私からもお願い致します。」
デカルトは3人に向かって深々と頭を下げた、しかし本当に謝るべきなのは転生者達にでは無いと思うが?
好美「あの・・・、デカルトさん。頭を上げて下さい、ただとても言いづらいんですけど私達では無く大臣の弟さんに謝るべきではないでしょうか。」
確かに好美が言っている事は正しい、1番迷惑を被っているのはロラーシュの弟であるランバルだ。
デカルト「そうですね・・・、恐れ入りますがその弟さんの所までご案内をお願い出来ますか?良かったら私の背に乗って下さい。」
国王はそう言うと『人化』を解除して元の姿に戻り、自ら頭を下げて好美を背中へと案内した。
守「じゃあ、俺達は後から追いかけますので。」
デカルト「すみません、助かります。」
今思えばデカルトも車に同乗すれば良いのではとツッコミを入れたかったが、やはり国王に逆らうべきでは無いのでやめておこう。好美を乗せたデカルトは大空高く飛び上がり好美の指差した方向へと直進し始めた、元の世界にいた頃の好美は重度の高所恐怖症だったが自宅の場所が場所なだけに今ではすっかり平気になった様だ。
好美「改めて見ると良い景色ですね、この自然を壊さない様に私達も頑張らないと。」
デカルト「そうですね、昔から良い物はやはりそのまま残しておくべきだという考えから「景観を損なう建物を建ててはいけない」と代々の国王に伝わっている位ですからね。」
ここは京都か!!