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やはりロラーシュは有名人だ。
-180 力になれるか-
やはり一国の王城で大臣をしているからか、もしくは過去のやらかしをナルリスから聞いていたからか、好美がロラーシュの事を知らない訳が無かった。きっと渚の屋台での修業の相談を受けていた1人だったからという理由が1番だと思われるが好美にとってはどれでも無かった様だ、好美が大臣の過去のやらかしを始めて知ったのはテレビのニュースでだった上に王城の者であった事があるのはパン屋でひっそりと働く王族達だけであった。
ランバル「ああ・・・、あのニュースですか・・・。あれが報道された時私も恥ずかしくて顔を赤くしちゃいましたよ、本当に情けなくて仕方ありませんでした。」
兄の黒歴史を滲む汗を拭いながら話す弟、ただ今聞きたいのはそんな事では無い。
守「それで・・・、ロラーシュ大臣がこの店に来た時に何を言ったんです?」
ランバル「ああ・・・、そうでしたね。ついつい忘れかけていましたよ。」
顔を赤くしながら頭を何度も下げる店主、どうやらこういった行動は癖だと言っても良い位によくやってしまうらしい。
ランバル「私も小耳に挟んだだけの話だったんですが兄は王様から「暴徒の鱗」という拉麵屋の支店をこの国に出す為に修業をして来る様に命じられた様なんですね、ただその直後に何処からか私が店を出すと言う話を聞きつけて飛ぶ様に帰って来たんです。この店の開店を数日後に控えていたその時、そこのドアを勢いよく開けて私に言って来たんです。」
ランバルは店の出入口を指差しながら続きを語った。
ランバル「「ランバル、良かったら洋食と拉麺を融合した店を出そう!!俺が今受けている修業が終わるまで店を開けずに待っててくれ!!絶対だぞ!!」とだけ私に告げてすぐに出て行きました、兄は昔から言い出したら聞かない人でしたから私も何も出来なくて今に至る訳なんです。」
守「そうですか・・・、困ったもんですね・・・。好美、何とか出来ないか?」
その場で力になれそうなのは他でも無く好美だった、やはり優秀な起業家なうえに「暴徒の鱗」の経営者の1人だからだ。
好美「私?うーん・・・、ちょっと考えてみないと・・・。」
流石に他店の、ましてや渚の経営する屋台の事に付け入るのは気が引けた、ただ話の流れが読めない店主はただただその場でポカンとしていた。
ランバル「あの・・・、どう言う事です?」
好美はため息をつきながら懐から名刺入れを取り出した、まさか折角の卒業旅行中に2回もこれを出してビジネスの話をする事になるとは・・・。
好美「実は私・・・、こういう者なんです・・・。」
好美から名刺を受け取ったランバルはただただ驚きを隠せずにいた。
ランバル「えっ?「暴徒の鱗」のオーナーさんなんですか?!」
好美「べ・・・、別店舗のですけど・・・。それに普段は王城で夜勤もしていますので。」
ランバル「何と言いますか・・・、謙虚な方なんですね・・・。」
どちらかと言うと好美の場合は「ドケチだから」という理由の方がピッタリだと思われるが、今は気にしないのが身の為な気がする。
好美「いえ・・・、店の売り上げと家賃収入だけでは足らなくて・・・。」
ランバル「あの・・・、どんな消費生活されているんです?」
殆どが酒代。
好美「私の事は良いんですよ、今はこのお店の事を考えないと。」
すぐに脱線しようとするランバルを必死に戻そうとする好美、その行動は間違っていないときっと誰もが思うはずだ。
ランバル「そうですよね、今はこの「鉱山下の大蜥蜴」の事を考えませんとね」
好美「あの・・・、凄い名前ですね・・・。」
守「まさかと思いますけど・・・。」
ランバル「はい、私も一応メタルリザードなんで。」
何となく予感していた通り・・・。