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やっとチェックアウトした2人。


-178 空腹と財力、そして新たな事実-


 2人を乗せたカペンは「竜騎士の館」の駐車場を出てバルファイ王国を縦断する様に延びる真っ直ぐな国道を抜けてダンラルタ王国特有の山道へと近づいて来た、バルファイ王国には高層ビルがずっと並んでいたが国境を越えた瞬間から建物は数件だけがぽつぽつとあるだけとなっていた。


好美「同じ世界でも景色が全然違うね、バルファイ王国が都会ならダンラルタ王国はド田舎みたいな感じ。」


 確かに好美の言っている事は正しい、ダンラルタ王国は他の2国と比べては発展と開発が進んでいないのでそう見えても仕方が無い。

 守は周りのゆったりとした景色を見ながら山道の上り坂を走る為にギアを「5」から「4」に下げてエンジンの回転数とパワーを上げた、アクセルを踏んだ瞬間にエンジンが一気に動いていくのが体に伝わっていた。


カペン「ちょ・・・、ちょっと・・・。強すぎまへんか?無理したらあきまへんで。」

守「そうかな・・・、結構急な上り坂だと思うんだけど。」

カペン「だからって、彼女はんも乗ってはりますのにそないな運転したら危ないでっせ。」

守「その時はお前が何とかしてくれよ、世の中臨機応変って言うだろ。」

カペン「いや頼られましても・・・、ワテは運転された通りに動くしか出来まへんで。」


 愛車の言葉を聞いて深呼吸した守は改めてギアを「5」に戻した、丁度上り坂もなだらかになって来たので結構丁度良かったみたいだ。

 そんな中、好美からまさかの一言が・・・。


好美「ねぇ・・・、お腹空かない?」

守「いやいや、お前さっきボーリング場でかなり食ってからそんなに時間は経って無いのに何で腹が減るんだよ。」

好美「だって・・・、本当に空いたんだもん・・・。」


 流石にボーリングの5ゲームを無料でプレイしている間にカップ麺を(推定)20個以上食べていたというのに1時間も経たない内に腹が減る訳が無いと思うんだが、それに「無料」の意味が無くなる位に食ってたからちょっとは節約する事を考えた方が良いんじゃ無いのか?


好美「大丈夫よ、私達の財力を舐めないでよ。」


 別に舐めている訳では無い、金がある時だからからこそ大切に守る為に節約するべきだと言っているんだが。正直これから先、何があるか分からないからな。


好美「何よ、ただの平社員であるあんたなんかより私は儲けているから余計な心配しないでよ。」


 そっすか・・・、それは失礼しました。仕方が無い、取り敢えず話を進めますかね・・・。

 山道を登り切りかけた所に比較的新し気な建物が見えて来た、看板等をよく見ると「食事処」の様だ。守は自分も小腹を満たしたくなって来たのでその店の駐車場に車を止めて下車し、建物へと近づいた。時間が早かったからか、まだ店のドアには鍵がかかっていた。守の隣にいた好美は営業時間が気になっていたからか、周囲を見回していた。


好美「ねぇ・・・、これちょっと見てよ。」


 彼氏を手招きした好美の目の前では1枚の紙がガラス戸に貼り付けられていた、その紙には丁寧な書体でこう書かれていた。


お客様各位


本日はお越し頂き有難うございます、しかし申し訳ありませんが都合により暫くの間店を開店する事が出来なくなってしまいました。誠に勝手ながら開店の予定は「暫く未定」とさせて頂きますのでご了承頂きます様、お願い申し上げます。


好美「設備の問題かな・・・、見た感じは綺麗なテーブルやチェアが並んでいる様だけど。」

守「それとも人員の問題かな、ほらこの国って獣人族や鳥獣人族とかが殆どだから働き手がなかなか見つからなかったりするのかも。」

好美「それは無いんじゃないかな、その場合は皆『人化』して普通に働いているもん。」


 しかし恋人達が悩んでいても目の前の事実は変わらない、振り返って車へと向かおうとした2人をある男性の声が引き止めた。声の方に向くと青い髪をしていたこの店の店主らしきその男性は青いコックコートを着ていた、よっぽど青が好きなのだろうか。


挿絵(By みてみん)


男性「ああお客様でしたか、恐れ入りますがご覧の通りでして・・・。」


シンプルに、何故?

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