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一先ず最終の5ゲーム目になった。
-174 向き不向きと男女-
何故か好美が圧倒的に有利なままゲームは進行していき、遂に5ゲーム目を迎えた。周囲の者達がクスクスと笑っている中で好美は一度でも投げ方を変える事をせずに現状を保っていた、守はただただ悔しくて仕方が無かった。
守「どう言う事だよ、今まで俺が連れとして来た事は何だったんだよ・・・。」
どんな人にだって向き不向きと言う物がある、きっとこれは好美にだって言える事だ。好美に向いたプレイの方法を最初に見出した美麗はかなり凄い人物、これが分かった今言える事はただ1つ。そう、守は心の中で美麗に謝るべきだという事である。
好美「凄いでしょ、私に勝てるとでも思ったの?」
踏ん反りがえっているがまだこの5ゲーム目においては勝負がついた訳では無い、今現在「(好美)203-199(守)」で十分逆転は可能と思われたがよく考えればもう既に最終フレームだった。
好美「守、諦めて負けを認める事ね。そして私にパフェをご馳走しなさい。」
そのままの流れで何気にデザートを要求したが罰ゲームなんて設定してなかった気がするのは俺だけだろうか、と言うより多分自らの勝ちがほぼほぼ確定したからそれを利用した様に思われたが・・・。
守「お前、さっきまでアホみたいに食ってたのにまだ食うってのかよ。」
好美「ボーリングしている内にお腹が空いてきちゃったの、デザートを食べなきゃ落ち着かないもん!!」
守「もう俺の負けが確定したみたいに言わないでくれるか、「勝負は下駄をはくまで分からない」って言うだろう。」
その上、デザートを要求されたくない理由はもう1つ存在した。
守「それにお前、このテーブルの上の物全部食いながらプレイしてたじゃねぇか。」
そう、好美はプレイ中にちょこちょこ自動販売機などへと向かいずっと買い食いしていた。それでもまだ腹が減った、デザートを食わせろと言うのか。全く・・・、我儘な大食い娘だな・・・。誰がそうさせたんだよ、徳島にいる父親の操か?それとも「暴徒の鱗」にいる元竜騎士達か?
好美「他の誰でもなくあんたじゃないの、私だけじゃなくて光さんも大食いキャラにしたくせに。」
あ・・・、俺の所為って事になってるのね・・・。何か・・・、すんません・・・。
好美「分かっているならそれで良いの、さてと・・・。」
気を取り直した様に好美はもうお馴染みと言える「あのフォーム」で5ゲーム目の第10フレームを始めた、相も変わらず幼稚な投げ方・・・。まるで女を捨てた様にも見える。
好美「何よ、全然捨ててないもん!!」
そうか?確かこの前牛乳を何にも注がずにパックから直接飲んでいたじゃ無いか。
好美「あれは・・・、お風呂から出たばかりだったから早く飲みたかったの。」
気持ちは分からなくもない、風呂で温まった後の牛乳程気分を良くしてくれるものは無い・・・、と思う。
好美「ほらね?あんただって飲むヨーグルトをパックから直接飲んでいるじゃない。」
あ・・・、あれは直接飲みやすいデザインだからそうしたかったんだよ。それにキャップが付いてるから冷蔵庫の中での保存が・・・、って俺は男だぞ!!それに直接飲んでも文句言われる筋合い無ぇわ!!
好美「あっそ・・・、もう良いわ。言い争いしてたらゲームがいつまでも終わらないし。」
おいおい、至って冷静じゃないか。やはり凄腕の経営者は違うね。
好美「分かってるじゃない、でも褒めても何も出ないんだからね。」
守「あ・・・、良かったらこちらをどうぞ。」
好美「それ私のビール!!姿が見えない奴に何あげてんのよ!!」
さーせん!!