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嫌な予感がするんだが・・・。
-171 次の予定-
一応俺の心中で予想はしていたのだが2人は注ぎの予定について何も考えてはいなかった、流石は行き当たりばったりでの旅行と言えるが守には気になっている事があった。
守「なぁ好美、折角バルファイ王国に来たんだから王城にでも顔を出してみないか?ほら、「親しき中にも礼儀あり」って言うだろ?」
守は王城に住むと思われるパルライの所に挨拶に行くべきだと思っていた、確かに好美と一緒に「暴徒の鱗」を経営している仲ではあったが3国の王の1人だからだ。
好美「行ってもいないと思うよ、城には本人が魔法(片手間)で動かしている鎧しかないもん。」
好美の言う通りだ、パルライ本人は常に店の味を狂わす事無く守る為に住み込みで働いているので王城に戻ることはよっぽどの事が無い限りはあり得ない話であった。
守「じゃあすぐにでもダンラルタ王国に向かうか?長かった国道ももうすぐ終わるだろうから10分もしない内に国境に着くと思うけど。」
貝塚財閥(と言うより結愛)による土地開発で3国間の行き来はこの十数年の間でかなり便利になった、はっきり言ってネフェテルサ王国からバルファイ王国、そしてダンラルタ王国までの距離よりも徳島・鳴門から香川・坂出(若しくは丸亀)までの距離の方が長いと思われる(神戸淡路鳴門自動車道等経由)。
好美「そうだね、朝風呂も入ったし美味しいご飯も食べたし・・・。あっ!!「あれ」やってない!!」
守「おいおい、いきなり大声出して何なんだよ。まだやってない事なんてあったか?」
守の質問に好美は身を乗り出して答えた、正直勢いにドン引きしてしまうレベルだった。
好美「あるじゃん!!温泉旅館に来たら風呂上がりに必ず(?)やる「あれ」!!」
2人は大抵の事はやったと思われるが強いて言うなら「瓶牛乳一気飲み」だろうか、俺なら「フルーツ牛乳」か「飲むヨーグルト」が良いかなぁ・・・。
好美「馬鹿ね、確かにそれもあるけどもっと重要な事があるでしょ?」
てめぇ・・・、遂に「馬鹿」って言いやがったな?!あのな・・・、その「馬鹿」が・・・、ってもう言い飽きたから良いか。それで?何を忘れていたって言うんだよ・・・。
好美「卓球よ、私守と旅館に来た時にしたいと思っていたの。憧れてたのよね、浴衣着てゆったりとラリーするの。」
ああ・・・、そっちか・・・。確かに日本にある大抵の温泉旅館には卓球台があるけどここは異世界だぞ(あくまでイメージ)、そんなのあるのか?
好美「番頭さんか女将さんに聞いてみる。」
すぐさま内線をフロントに繋いだ好美、何となくだが食事していた時以上に鼻息が荒くなっている様に見えた。
好美「あの・・・、すいません。ここって卓球台ってありますか?はい・・・、はい・・・。あっ、そうなんですか?!ちょっと待って下さいね?」
好美は内線を繋いだまま受話器を耳から放した、その様子を見て恋人の心中が気になって仕方がなかった守。
守「おい、どうしたって言うんだよ。」
好美「ここ・・・、卓球台無いって言うのよ。」
守「そうか・・・、それは残念だったな・・・。」
好美「でもね・・・。」
急に笑顔になった好美、その理由とは如何様の物なのだろうか。
守「「でも」って・・・、何だよ。」
好美「ここボーリング場があるんだってさ!!」
守「はい?」
まさかの「ボーリング場」に開いた口が塞がらなかった守、そう言えばこの2人って元の世界でボーリングなんてした事無かった様な・・・。
ショッピングかバイトか・・・、キス?