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自分が原因なんだが・・・。
-160 お疲れ様-
ネットで空室が有る事を事前に知っていたので予約を取れるという事は既に知っていたのだが好美は少し不安になっていた、もしかしたらサイトの更新が遅くなっていただけで実際はもう既に満室になっていたのではないかと。だから言っただろ、ボートなんてやってる間があるならはよ予約取れやって。
好美「仕方無いじゃ無いのよ、どうしても自信のあるレースだったんだから。」
自信があるからって外れたら意味が無いだろう、それに10万って・・・。
好美「何よ、過ぎた事をごちゃごちゃ言わないでよ。もう過去の話として水に流したんだからさ。」
電話の向こうの男性は好美が何をしているのかが全くもって分からなかった、見えている訳じゃ無いから当然の事だ。
男性(電話)「あの・・・、よろしいでしょうか。」
好美「あ・・・、ごめんなさい。何の話をしてたんでしたっけ。」
男性は改まった様に一息ついて予約の確認をする事に。
男性(電話)「ご予約のご確認です、この後17:00に2名様でのご予約で大丈夫ですね?」
好美「はい、間違いありません。」
電話の向こうから聞こえる音声のみで男性が名簿に必要項目を書き込んでいる事が伺える中、男性は一番大切な事を聞き忘れていたのを思い出した。
男性(電話)「あの・・・、今更で恐れ入りますがお客様のお名前をお伺いしても宜しいでしょうか。」
1番に忘れてはならない項目、どうして飛ばしてしまったのかを聞きたくなってしまうのは俺だけだろうか。
好美「「宝田」です、宝田でお願いします。」
男性(電話)「恐れ入ります、虚偽等での予約間違いを防ぐ為に下のお名前もお願い出来ますでしょうか。」
男性のお願いに少し怖気付きながらも言われた通りにする好美。
好美「宝田・・・、好美です。宝田好美。」
まさかの答えにより運転席で顔を赤らめる守、まぁそうなってもおかしくはないか。
守「お・・・、おい・・・。俺達まだ・・・。」
好美「守まで赤くなっちゃって何よ、文句でもある訳?」
守「べ・・・、別に何でも無いです。」
ただ「何でも無い」事を即座に知ったのは暫くの間静かにしていたアイツだった。
カペン「守はん、動揺しすぎでっせ。今さっきやってエンストしかけてましたやろ。」
守「お前な・・・、何ハッキリと言ってくれてんだよ。」
守が照れている事を良い事に少しからかってやろうと考えた好美。
好美「嬉しいんでしょ?素直に言ってみなよ。」
守「ば・・・、馬鹿・・・、運転に支障をきたすだろうがよ。」
支障をきたすも何も、もう既に旅館の駐車場にいるじゃねぇかよ。
好美「そうだよ、守自身が白線の内側にキッチリとカペンちゃんを止めていたじゃない。」
カペン「ホンマでっせ、真希子はんでもあんなに何度も切り返ししてまへんでしたわ。」
白線内のど真ん中を意識しすぎて何度も何度も前進と後退を繰り返していた守、そりゃあ運転されている車としても溜まった物では無い。
好美「取り敢えずエンジン切ったら?カペンちゃんも休ませてあげないと。」
守「うん・・・、そうだな。」
守が好美に言われた通りカペンのエンジンを切ると好美は助手席から「運転お疲れさまと」言わんばかりに体を寄せ、両手を彼氏の首に添えた後に深くキスをした。
結果が良ければ良いって事にしておくか・・・。