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癒しを求めて「植物楽園」へ・・・。


-148 暑さが故に-


 2人は駐車場にカペンを止めて下車し、出入口らしき建物へと歩き出した。入り口前に置かれたパンフレットには開設してまだ2~3カ月とあった、どうやらまだ結愛達すら足を踏み入れていない「未開の地」の様だがあの社長夫婦の場合は「忙しいから」というのが一番の理由だと言える。

 ただ2人はあまり良い予感がしていなかった、元の世界にいた頃に小説や漫画、そしてアニメに出て来ていた異世界の植物と言えばやはり「マンドラゴラ(マンドレーク)」など少し奇妙さのあるものばかりだと思っていたので「植物楽園」のイメージが全くもって無かったのだ。


好美「ねぇ・・・、何か入るの怖くない?他のお客さん少ないみたいだからそんなに人気じゃ無いんじゃないかな。」

守「いや・・・、そうじゃないだろ。平日だから少ないんじゃないかな。」


 確かに2人がここに来た今日は火曜日、大抵の住民が忙しく働いているはずだ。特にバルファイ王国は国土の殆どがビジネス街と化しているので皆慌ただしく動いていると思われる。

 一先ず恋人達は券売機で入場券を購入して中に入る事にした、元々この世界は比較的温暖な気候であったがその中でもバルファイ王国は元々砂漠地帯だったので気温が高く住民達の水分が奪われやすくなっており、どの店や施設の前にも自販機や給茶機が設置されている事が多かった。


挿絵(By みてみん)


好美「ああー・・・、暑い!!ここは沖縄なの(行った事無いけど)?!」

守「汗が全然止まらないな、バスタオルを使っても足らない位じゃ無いのか?」


 よくよく考えれば先程も言ったようにこの国は元々砂漠地帯、これは飽くまで推測だが水等を求めた先住民達がここに住み着いてオアシスを中心として都市開発を行っていたが故に元々少なかった木々を伐採等で皆無にしてしまったので他の2国に比べて現状の様に気温が高い日々が続いていると思われる。その上オフィスビルにあるエアコンの室外機から排出されるガスや行き交う車から出る物もその原因の1つだと言えよう、きっとパルライが今一番考えるべきなのはラーメンの新味のスープ開発ではなく環境問題と言いたいのは俺だけだろうか。

 兎に角涼を得たかった2人は給茶機でありったけの水を飲み干して中に入る事にした、どうやら出来るだけ外に出たくなかったのは施設の係員も同じだった様で出入口には自動改札機が設置されていた(徳島に全くないあれだな、此畜生め・・・)。

 改札を通り中に入ると冷水で満たされた大きな円形の池を中心に左右に道が分かれていた、この植物楽園は空気の入れ替えを常に行える様にと全体網上のドームで囲んでいて植物の側には中央の池からいつでも水をやれる様に小さな水路が張り巡らされていた。きっとこれは可能な限り涼し気な気分で植物を楽しんで欲しいというデザイナーならではの気配りと言えよう。

 そんな中、左側の通路を選んだ2人は時計回りに施設内を見て回る事にした。2人の想像に反してそこにあったのはまさかの・・・。


好美「これ・・・、もしかしてハイビスカスってやつ?」

守「ああ・・・、そうらしいな。」


 どうやら他の2国に比べて気温が高いという特性を活かして暑い場所で良く育つ植物が中心として栽培されていた様だ、それが故に通路の途中にあった2台の屋台で売られていたのもまさかの「アレ」だった。


守「バ・・・、バナナだね・・・。」

好美「隣はチョコバナナなんだ・・・。」


 どうせなら1つの屋台で売れよと言いたいが、売り子の2人が仲違いしたので別々に販売しているのだそうだ。ただ売れていたのが日本のお祭りなどでよく好まれる食べ物・・・。


好美「こっちは胡瓜の1本漬けなんだね・・・。」

守「かき氷もあったら完璧に日本だな・・・。」


 頬をヒクヒクさせる2人の目線の先には予想通りかき氷の屋台もあった、やはりこの国の者達が何よりも求めているのは「涼」しかない様だ。もういっその事上から水でもぶっかけちまえと言いたくもなってしまう、ただ俺も暑がりなので気持ちは分からなくもない。

 一通り植物を見て回り、ただただ涼しくなりたい住民達の要望に応える為だけに設置された冷たいメニューばかりの屋台飯を腹に押し込んだ2人は取り敢えず土産物屋へと入った。出入口の自動ドアを通った恋人達の目に真っ先に飛び込んで来たのはまさかの・・・。


守「ちんすこうか・・・、もう完璧に沖縄じゃんかよ。と言うか逆に喉乾くわ・・・。」

好美「駄目でしょ、思っていてもそんな事言っちゃ。」


 ・・・って、そう言ってるという事はお前も思ってたんかい!!


伝統の物なんだから大切にしようよ・・・。

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