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お前ら、はよ行け・・・。
-139 人手不足が故のエルフのもう1つの役割-
大切な要素と言える「移動手段」は確定したものの、2人は全くもって目的地を決めていなかった。大体は旅行雑誌などを読んで目的地や食事等を決める事が多いと思われるが「卒業旅行に行く」事だけしか決めていなかった恋人達は何1つ調べ物をしていなかった、と言うか天界や外界を除いては隣り合った3国しかないので別に決める必要は無いと思われるがどうするつもりなんだろうか・・・。
好美「別に良いんじゃない?「目的」って必要な物なの?」
確かに1番の目的は「旅行自体を楽しむ」事にあると思われる、目的地や何をしようかなどを予め決める必要は無いのかも知れない。もしかしたら行く場所で何かしらが見つかるとも言えるはずなのでそれに期待しても良いのかも知れない、行き当たりばったりと言う言葉があるのでそれに従ってみても楽しい可能性が無きにしも非ずだ。
守「一先ず出発するか、ずっとここにいても仕方ないんだし。」
好美「そうだね、ずっとこの駐車場にいたらルイズに迷惑を掛けるだけだからね、多分。」
ルイズ「多分じゃないわよ!!」
おいおい・・・、まさかお前、ずっとそこにいたのかよ・・・。
ルイズ「そんな事どうでも良いでしょ、それより早く行ってくれなきゃ他のお客さんが入れなくて困るでしょうよ。」
好美「分かってるよ、私達お客なのに何でそんな扱いされないといけないのよ・・・。」
ルイズ「「何で」か知りたい・・・?」
小刻みに体を震わせながら好美達の正面へと振り向き直すルイズ、女将の見た目は昨日とは打って変わって・・・。
好美「あんた・・・、今日は何でそんな格好なの?」
ルイズ「この旅館も人手不足なの、私が仕方なく駐車場の整理や警備を担当してもおかしくないのよ。」
そう、ルイズは水色の制服に警察官とほぼ同様の服装を身につけていたのだ。何処からどう見ても旅館の女将には見えない、と言うかいくら人手不足だからって女将がそこまでする必要があるのかよ。
ルイズ「うちの仕事はシフト制なの、今日は私が駐車場係な訳で別に仕事が固定されている訳じゃ無いのよ。」
守「ハハハ・・・、こりゃいの一番に相談すべきは1人しかいない様だな・・・。」
一方、「暴徒の鱗 ビル下店」では・・・。
結愛「ハックション、ハーックション!!うーん・・・、風邪引いちまったかな・・・。」
デルア「おいおい結愛、いくら何でも胡椒のかけすぎじゃねぇのか?」
結愛「無意識にかけてたからな・・・、やらかしちまったわ・・・。」
結愛のパンツスーツが胡椒やラーメンのスープ、そして少量の涎に塗れる中で場面は旅館の駐車場に戻り・・・。
ルイズ「兎に角、あんた達に出て貰わないと駐車場の入り口の前に車が溜まって仕方ないから早く行きなさい!!」
好美「もう・・・、それがお客に対する態度な訳なの?」
ルイズ「もう会計が終わったんだからあんた達なんて用済みよ、早く行ってくれない?」
おい待て、何処かで聞いた事がある様な台詞だが権利的な物を考えろ!!
ルイズ「何言ってんのあんた、訳分かんない・・・。」
まぁ、良い事にしておくか・・・。取り敢えず2人共、今は旅館の迷惑にならない様に早く出てやれ。
好美「あんたもなの・・・、そこまで言わなくても良いじゃないのよ。」
守「取り敢えず車に乗ろう、ずっとここにいても時間が無駄になるだけだよ。」
好美「守がそう言うなら・・・、うん・・・。」
少し抵抗していた好美と共に車に乗り込んだ守、一先ずクリスタルに魔力を流し込んでエンジンを起動した後にギアを「2」に入れた(実は作者もこうしています)。
好美「ねぇ、細かい事だけど何で「1」じゃなくて「2」に入れたの?」
守「うーん・・・、母ちゃんがそうしてたから・・・。」
だから、はよ行け・・・。