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流石にそう言う事は家でして頂きたい・・・。
-132 浴場-
いくら「何でもありの世界」だからって公共の場で男女が同じ釜の湯に浸かるなど許されるものなのだろうか、そう守が店に入りながら疑問に思っている時に番台にいた受付担当にまさかの言葉を発した。
好美「予約してた倉下です、そろそろ大丈夫ですか?」
番台「勿論です、お2人のお越しをお待ちしておりました。」
守は玄関先のポスターをしっかりと見ていなかったので気付いていなかった様だが、どうやら混浴露天風呂は予約制らしい。
守「おいおい、ナルリスさんのレストランで言った通り今日俺が真っ直ぐに帰ろうとしてたらどうするつもりなんだよ。」
好美「もう・・・、何年守の彼女をしてると思ってんの?守の考えなんてお見通しに決まってんじゃない。」
好美が死んでからのブランクが皆無だったかの様に思える位の記憶力に驚かされるのはきっと守だけではなく俺も同じだった、しかしこの世界に来てから結構な年月が経っているのに守の性格をはっきりと覚えているとは・・・。
好美「当たり前でしょ、守みたいな変態はこの世界にいなかったもん。」
守「おいおい、流石に勘弁してくれよ。」
確かにこの世界の住民が守の様な性格を露わにした場面を見た事が無い、まぁ平和なままに話を進行していきたいという気持ちがあったから出さなかったと言うのが正解だったのかもしれない(実際「2」の1話序盤で既に光とナルリスの間にガルナスが産まれていたので察してもらえるだろう)。
俺がぽかんとしている間に2人は露天風呂に入っていた、しかもビール片手に(どんだけ呑むつもりだよ)。
※健全な物語進行の為、2人には水着とタオルを着用してもらっています。
好美「はぁ・・・、やっぱり外の風に浸りながらのひとっ風呂はたまらないね。」
守「確かにそうだけど家の風呂で十分じゃないか?」
確かに高層マンションの最上階が故に作る事が出来た露天風呂があるというのにわざわざお風呂山に行く必要があったのだろうか、不思議で仕方が無かった守は湯船のお湯で顔を洗った。
好美「ほら・・・、うちのお風呂って私用と守用で別々じゃない?たまには良いかなって思ってさ、折角一緒に住んでいるのに・・・。」
守がちゃんと気付いているかどうか分からないがどうやら好美はずっと寂しかった様だ、きっと秀斗と会えなくなってしまった頃の美麗の様に。
ただ1つ言える事と言えば、自宅で別々になる様に露天風呂を設置したのは確か好美本人だったはず・・・。
好美「何よ、あれ結構な金額したのに自業自得って言う訳?」
いや、そんな事は申しておりませんです。何かすんません・・・。
守「まぁ、好美が良いなら別に良いんだけどさ・・・。」
おいおい、顔が赤くなっているぞ。今更ながらに初々しさを出してんじゃねぇよ。
守「それで?本当に露天風呂に入りたかっただけなのか?」
好美「どういう意味?それ以外の理由が必要だったの?」
守「別に・・・、必要無いけど・・・。」
ゆっくりと湯を楽しむ守の横で湯けむりをあげる浴槽に顔を埋める好美。
好美「良いじゃない、2人っきりで話したかったんだもん。」
守「そ、そうか・・・。何か悪かったな・・・。」
豚舎での仕事や王城での夜勤、そして自らのマンションの1階部分の店舗の経営によりなかなか取れなかった2人の時間を好美は大切にしたかったのだ。
好美「ねぇ守、私達これからどうしようか・・・。」
守「それ、どういう意味だよ。」
突然の恋人の発言に嫌な予感がする守、まさかな・・・。
どうなる守!!