118
ナルの言っている事は真実なのだろうか。
-118 姉妹の再会-
ヴァンパイアの一言に大企業の筆頭株主親子はポカンとしていた、どう見ても3人の目の前には誰もいない。先日オーナーシェフが雇ったパティシエは何処にいると言うのだろうか。
真希子「ナル君、いくら私とあんたの関係でも嘘は良くないんじゃないかい?吸血鬼は人を裏切るのも平気な人種なんて聞いた事無いんだけどね。」
真希子睨みつけられたナルリスは必死に弁解しようとしていた、ただ台詞は先程の物と全く変わっていない様だ。
ナルリス「待って下さいよ、今まで俺が真希子さんに嘘を言った事が有りましたか?ただ雇ったばかりの新人が目の前にいるのは本当の話なんです、何なら本人に証明してもらいましょうか?」
真希子「確かに、当の本人の言葉を聞けたらあんたが本当の事を言っている事を証明できるね。ただ嘘だった場合、あんたは私に何をしてくれるんだい?」
ナルリス「そうですね・・・、この店の全権をお譲りします。」
現時点でもこの店が傘下となっている貝塚財閥の筆頭株主である真希子が店の全権を握っていると言っても過言では無いと言うのにこれ以上何を差し出すと言うのだろうか、ただナルリスの表情は自信に満ち溢れていた。
ナルリス「では真希子さん、俺が真実を言っているとなったら貴女はどうしてくれますか?」
確かにナルリスがリスクを負うなら、真希子もそれ相応のリスクを負うべきだ。オーナーシェフが言っている事は正しい、副店長はヴァンパイアの言葉を聞いて腕を組んで考え込んでいた。
真希子「そうだね・・・、もしもあんたが真実を言っているのなら私の持つ貝塚財閥の株・・・。」
女性「だーーーーーーーーーー!!」
突然真希子の言葉を女性の声が遮った、ただ何処からだと言うのか・・・。
真希子「え・・・?!誰だい、今の声は?守かい?」
守「母ちゃん・・・、俺があんなに高い声を出せると思うか?」
どう聞いても先程の声は女性、守の訳が無い。ただそこにいた全員が辺りを見廻していたがそれらしき人物は何処にもいなかったのでナルリスはため息をつきながら声をかけた。
ナルリス「オラちゃん、意地悪しないで姿を現わしたらどうなんだ。副店長に挨拶したいって言ったのは君の方だろう。」
オラ「すみません、恥ずかしかったんで。」
女性の声に反応したのは3人以外にいた様だ、ガルナスの同級生のホルであった。
ホル「あれ?この声・・・、何処かで聞いた事ある様な・・・。」
ナルリス「君は確かホル・マイヤーちゃんだったね、「マイヤー」か・・・・、何処かで聞いた事が有る気がするな。」
オラ「それもそうですよね・・・。」
するとオラは『人化』して突然姿を現わした、どうやらピクシーだった様だ。
ホル「やっぱり、お姉ちゃんだ!!」
ナルリス「え・・・?」
目の前で繰り広げられる姉妹の再会にただただポカンとしているヴァンパイア。
オラ「この子、私の妹なんです。」
ナルリス「だからか、特徴が似ているなと思っていたんだよ。」
談笑する3人の懐で黙っていないのが約1名・・・。
真希子「ナル君が言ってた事は本当だったみたいだね・・・、疑って悪かったよ・・・。」
ナルリス「それで、真希子さんは俺に何をしてくれるんです?」
どうやら2人の中で先程の勝負はまだ続いている様だ。
真希子「私が所有する貝塚財閥の株券を半分・・・。」
結愛「おば様!!何をお考えになっているんですか!!」
オラ「そうですよ、私なんかの為にそこまでしないで下さい!!」
流石にやりすぎ。




