116
多くの仲間達に見守られながら結愛は指輪を受け取った・・・。
-116 歓喜する一方で-
旦那から指輪を受け取った結愛は顔を赤くしながら嬉し涙を流し始めた、結愛につられた周囲の女性数人もハンカチ片手に泣き始めた事には俺も驚かされた。
好美「何言ってんのよ、こんなに感動的なシーンを見て泣かない女なんていないよ。」
美麗「そうだよ、あんたって女って物を全く分かって無いね。」
す・・・、すんません・・・。でもやっぱり結婚絡みのシーンは皆を幸せにしてくれる物だな、次は誰の番なんだろうね・・・。例えば守とか秀斗とか・・・。
2人「アホか、最近になってやっと同棲し始めたばかりなのに早すぎるにも程があるだろ。」
おいおいお前ら、そんなに長々とした台詞をよくハモって言えたな。恋人達の目を見てみろ、やばくなっているぞ・・・。
守「え・・・、あ・・・、こ・・・、好美さん?何かございましたでしょうか?」
何だその丁寧語、呂律が回って無いのか「鬼の好美」を避けているのか?
守「言うなって・・・、バレるだろうが。」
好美「何よ、私は私と結婚する気無いの?」
俺、知~らない。
守「お・・・、おい!!仕方ないな・・・、えっと・・・、あの・・・、結婚まで色々順番って物があるじゃないですか・・・。」
好美「順番って何よ、聞こうじゃないの。」
酒が回って顔つきが怪しくなっている好美に対して守はどうやって説明しようというのだろうか、期待期待・・・。
守「あのですね・・・、確かに俺達って元の世界でも付き合っていましたけどブランクって物があるじゃないですか。」
好美「そのブランクの間、あんたは真帆と楽しそうにしてたもんね。私がずっと1人で淋しくしている間も青春していた訳よね。」
美麗「それ私も見てたもん、私は好美の味方になるよ。」
秀斗「まずいな・・・、俺ちょっと外すわ。」
結愛達の周辺とは逆に、自分の座っている席が修羅場になりそうな雰囲気を感じ取った秀斗は何とか逃げようとしていた。しかし世の中そこまで甘くはない様だ、席を外そうとする彼氏の着ていた服の袖を美麗が強く掴んでいた。
美麗「秀斗、何処に行こうとしてんのよ。」
秀斗「ちょっと・・・、お水を頂きに・・・。」
すると丁度通りかかったミーレンが秀斗のグラスに水を注いだ、ある意味空気が読めている事は賞賛に値するだろう。
ミーレン「安心して下さい、水はたっぷりありますよ。」
あれ?どっかで聞いた事のある様な台詞だな、でも今は気にしないでおこう・・・。
ミーレン「私だってテレビのバラエティ番組が好きなんです、何処の国で撮影されているかは知りませんけど。」
確かに、どうしてこの世界で日本のテレビが見えるのかは未だに不明だ。まぁ、多分ビクター・ラルーの仕業だろうが今は置いといて・・・。
秀斗は注がれた水を眺めながら数秒程震えた後、一気に飲み干して再び立ち上がろうとした。その様子をまた偶然見かけたミーレンがやって来て・・・。
ミーレン「あらら、お水がお好きなんですね。じゃあ、このピッチャーを置いときますね。」
本当にある意味空気の読めているダーク・エルフのお陰で逃げ道が無くなった秀斗はどうにか席を離れる事が出来ないかと深く考え込んだ後、数回程辺りを見廻して・・・。
秀斗「俺・・・、ちょっとトイレ・・・。」
美麗「もう・・・、水の飲みすぎだよ。でも私も行きたくなったから行こうかな。」
秀斗「え・・・、あ・・・、そっすか・・・。」
その後2人は仲良く手を繋いで修羅場を離れた、ただ守は大丈夫なのだろうか。
出来れば修羅場は避けたいんですけど・・・。