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結愛の本来の目的とは・・・。
-114 本当の理由と記念日-
とにかく結愛は真希子に頭が上がらなかった、言い出したら聞かない(思い立ったら即行動派)の性格だからという事もあるが、やはり貝塚財閥の筆頭株主なので実質、会社の実権を握っているのが真希子だという方が大きな理由だろう。ただ筆頭株主であるが故にあの「最悪な高校時代」が幕を閉じるきっかけとなったあの緊急株主総会で真希子が貝塚財閥や貝塚学園を義弘の魔の手から救ったのも事実なので、結愛は真希子にずっと感謝していたのだ。
そんな中、2人が今いるレストランの副店長でもある筆頭株主はずっと会社の事で頭を抱える社長に切望する事が有った。
真希子「結愛ちゃん、あんたね、折角の祝いの席なんだから仕事を忘れて楽しんだらどうなんだい?」
確かに真希子は決して間違った事を言ってはいない、結愛は恩人の顔をチラリと見ると一息ついて目の前の酒を一気に煽った。
結愛「そうですね、今からでも遅くないなら楽しみたいと思います。」
男性「何だ、その浮かない顔は。てっきり俺の分まで楽しんでいるのかと思っていたぜ。」
株主の向こう側から聞き覚えのある男性の声がしたので結愛が覗き込むと、そこには貝塚財閥副社長で旦那の光明がいた。どうやら2人の会話等を『察知』して『瞬間移動』して来た様だ。
結愛「光明じゃねぇか、どうしてここに?!」
光明「「どうして」じゃねぇだろ、お前が有給届け1枚だけを残していきなり消えたから急いで仕事を終わらせて来たんだろうが。」
いや、いきなり提出して消えた訳では無い。実は数日前から提出していたが、秘書のヒドゥラに頼んで直前まで隠して貰っていたらしい。
光明「お前1人で楽しみやがって、今日が何の日か忘れたんじゃないだろうな!!」
結愛「光明、てめぇ・・・、そういう台詞は普通女である俺が言うもんなんだぞ!!」
あーあ・・・、また始まった・・・。どうしてこの2人は最近ずっと会う度に喧嘩しているのかね、遅れて来た「倦怠期」ってやつか?
2人「うっせぇ、黙ってろやこの野郎!!」
何だとてめぇら、もう・・・、2人で勝手にやってろや!!
光明「あのな、そんなに自分が女だってアピールするなら女らしい事でもしてみろや!!」
結愛「てめぇ・・・、言いやがったな・・・、やってやんよ!!」
真希子「2人共、待ちな!!」
祝いの場が険悪ムード一色になりかけていたので慌てて止めに入る真希子、代表取締役夫婦はここでも筆頭株主には従う様だ。
真希子「あんた達ね、みっともないと思わないのかい?そう言うのは2人だけの時にやりな。それと結愛ちゃん、有給届けを隠していたのは良くないね、何か理由があったんじゃないのかい?」
2人に対して同級生の親として冷静に言葉をかける真希子に応える様に結愛は重い口を開いた。
結愛「実は今日、本当は光明に内緒で2人で過ごす準備をしようと思っていたんです。」
真希子「どう言う事だい?聞こうじゃないか。」
光明「その前に真希子さん、今日が何の日か覚えておられますか?」
結愛と違って決して真希子の事を「おば様」と呼ばない光明、それは良いとして・・・。
副社長に質問された副店長はカレンダーをチラリと見た。
真希子「確か・・・、「あれ」があった日かい?!よく覚えているよ、あの後皆で食べたカレーが美味しかったんだよね。」
そう、結愛が社長に就任するきっかけとなった「緊急株主総会」の日だったのだ。
光明「そして俺と結愛が付き合い始めた日・・・、それと俺達の「結婚記念日」なんです。」
真希子「何だって?!それはめでたいじゃないか!!何で先に言わないんだい!!」
結愛「すみません、どうしてもサプライズを用意したかったんです。それでなんですけどおば様・・・、あれをお借りしても宜しいでしょうか?」
おいてめぇ、何をする気だ!!




