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ハッキリ言って食べ過ぎの好美・・・。
-112 スイーツは別腹と話のきっかけ-
街の中心部で1番大きなビルの所有者、そして15階建てのマンションの大家は会場にある全員の為にスライムが丹精を込めて作ったケーキを半分程食べ尽くしてしまったが故にその場に倒れ込んでしまった。はっきり言って自業自得・・・。
真希子「好美ちゃん、いくら「デザートは別腹」とは言っても酷すぎやしないかい?ちょっとは周りの皆の事も考えなよ。」
恋人の母親に正論を言われてシュンとしてしまった好美から少し離れた所から、再び歓声が沸き起こった。何があったのだろうか。
ナルリス「私の予想通り、こう言う事もあり得ると思っていたのでプルちゃん本人にお願いしてあちらのケーキとは別にミニサイズのスイーツセットを作ってもらいました。「まだ一口も食べて無いよ」という方からどうぞお召し上がり下さい。」
自分が食べ尽くしたケーキとは別の甘い香りに誘われた好美は新たに調理場から出て来たスイーツ達に目をやってしまった、ただ流石にこれらをも食べ尽くしてしまうと自己中心的に思えるのは俺だけだろうか。ああ・・・、見てる(と言うか妄想している)だけってのも辛い物だな。よし・・・、後で冷蔵庫にあるケーキでも食うかな。
好美「何よ、あんたも私に隠れてスイーツを楽しむつもりな訳?」
な・・・、何を仰っているんですか!!この国でもかなりの実力をお持ちの起業家である好美さんを差し置いてこそこそ甘い物を俺が食べる訳無いじゃないですか。ほら、あちらに色とりどりのスイーツがありますし、まだそちらの巨大ケーキも残って・・・、ない。
好美「守!!何食べ尽くしてくれてんのよ!!」
守「待てよ、これはお前1人の物じゃないだろ。」
確かに守の言っている事は正論だ、元はと言えば悪いのは好美の方だと思うのだが・・・。
好美「何?この私に文句でもある訳?」
な・・・、何もございません。それに好美さん、ケーキを食べているのは守だけじゃないみたいですよ。
好美「え?!嘘でしょ?!」
ほら、よく御覧なさい。守の隣で口をもごもごさせている人間がいるじゃないですか。
好美「美麗!!あんたもなの?!」
美麗「私だって女の子だもん、甘い物食べたいもん。」
さてと・・・、こっち側の女子2人は守に任せておいてっと・・・。
守「やめろよ!!俺にどう処理しろってんだよ!!」
大丈夫だって、お前は俺と違って2人の事を知り尽くしているだろ?
守「まぁ・・・、何とかやってみるわ。話を続けろよ。」
すまんな、ずっとこの調子だと全く前に行かんから助かるぜ。よし・・・。
顔を赤くしながら新たな事業のヒントを得た結愛はテーブルに並べられたミニスイーツを食べながら考えていた、勿論これから事業展開していく「貝塚運送」についてだ。
結愛「うーん・・・、やっぱり企業向きの運送サービスも考えないといけないかもな。飲食店と卸業者の間の懸け橋的な、ただな・・・。」
真希子「珍しく深刻そうな顔してどうしたんだい。」
美味いスイーツを食べながらも、眉間にしわを寄せる社長を気にかけて声をかけた筆頭株主。別に金の心配は必要無いのだが・・・?
真希子「別にあんたが社長になってから経営難に陥った事なんて無いだろうに。」
結愛「ババ・・・、おば様・・・。」
真希子「私に協力出来る事は無いかい?仲間なんだから言ってごらんよ。」
思わずクリームを吹き出した結愛、真希子の聴力は年齢に関係無く良好らしい。
真希子「珍しいね、そこまで深刻なのかい?」
結愛「すみません、運送事業を展開するのに中型トラックだけで足りるか不安でしてね。」
と言うより結愛、この世界って「大型」あったか?




